クラフトビールでよく目にする「IBU」の意味とは?

IBUとは?

近年日本でもクラフトビールがブームとなり、実に多くの銘柄を目にするようになりました。
これまで大手メーカーのビールしか飲まなかったという方も、色々な銘柄を飲むようになったのではないでしょうか?

より身近になったクラフトビールですが、銘柄をチェックしていると「IBU」という用語を目にすることがあります。
ピルスナーやペールエール、IPAなどのビールのタイプを表す専門用語は、すでにご存知の方も多いかもしれませんが、このIBUについてはそれほど知られていません。

ビールタイプ同様、知っておくと銘柄選びに役立つ用語です。
本記事では、IBUとは何を表す用語なのか簡単に解説していきます。

IBUとは国際苦味単位のこと

まず先に結論から言うと、IBUとは国際苦味単位(International Bitterness Units)のことを指します。
そのビールがどれだけ苦いかを表した数値ということですね。

詳しく見ていきましょう。
まずビールの苦味というのは、主原料である大麦麦芽ではなく、もう一つの欠かせない原料・ホップによってもたられています。
このホップの使用量が多いとIBUは高くなる傾向があると言われています。
ただ量が多ければ良いわけでなく、ホップの煮込み時間、またホップの種類によってもIBUは左右されるようです。

IBUの決め手となるホップ

IBUは1〜上限のない数値で表されます。
すべてのビールに記されているわけではありませんが、IPAなど苦味をウリにするビールではしばしば目にすることができます。

どれくらいならIBUが高いと言えるのか?

参考までに、どれぐらいがIBUの基準値かというと…
日本の大手メーカーのビールのIBUは20前後と言われています。
それに対して、IPAなど苦味の強さをウリにするビールの場合、40を超えるモノも多く、モノによっては100前後という高いIBUを誇るものもあります。

一般的には40を超えれば十分IBUが高いと言ってよいでしょう。
ちなみにIBUは100前後が限界と言われていましたが、近年は100を超える銘柄も多く出回っています。

ホップは、ビールの苦味だけでなく、香りにも大きな影響を与えています。
麦茶とほぼ同じ原料にも関わらず、(アルコールの有無は抜きにしても)ビールだけやたらと植物系の香りが高く、苦味が強いのはこのホップによるものです。
麦だけのお酒には基本的に苦味はなく甘くなります。

IBUが高いと必ず苦いのか?

IPAと思われるビールが並んでいる

IBUは、あくまで苦味の元となる成分の量にすぎないので、正確に苦味を表したものではありません

例えば、一般的に麦芽量が多いビールは、芳醇な味わいが強くなり苦味を感じにくくなります。
そのためたとえIBUが高かったとしても、それ以下のビールの方が苦味を感じるということもありえます。

また、これは筆者の主観ですが、日本人は辛味を伴った苦味についてより苦いと感じることが多いように感じます。
つまり濃厚なビールより、キレのあるビールの方が苦味を強く感じるということです。
実際、苦いとされるIPAを飲んでも「いつものビールより甘い」という方さえいます。(いつものビールはいわゆる大手メーカーの淡麗辛口ビール)
このように人によって味覚は違うので、IBUが高いからといって必ずしも苦く感じるというものではありません。

苦味成分が多く含まれているという事実はあるにしても、あくまで参考程度にするのが良いということでしょう。
このあたりは日本酒でいう酒度と似ていますね。

酒度とは、簡単にいうと日本酒の甘辛度合いを表したもので、数値が低ければ甘く、高ければ辛いとされるものです。

IBU値が高いビール

せっかくですのIBUが高いビール少しだけご紹介しましょう。

ルイネーション・ダブルIPA [ストーン]

IBU:100

この銘柄を手がけるストーンブリューイングは、アメリカの超有名クラフトブリュワリーで、IPAにおけるパイオニア的な存在で、近年のブームを創り、IPAを世に広めた存在と言っても過言ではありません。
このルイネーションは、あとにしっかり残るパンチのある苦味が特徴的ですが、それでいながらバランスが良く、飲みごたえがあります。
驚くほど評価が高いビールで、世界的に有名な辛口ビール評価サイト「Ratebeer」ではなんと99点をつけています。(2017年6月22日時点)

ハードコアIPA [ブリュードッグ]

IBU:150

ルイネーション同様、ダブルIPA(もしくはインペリアルIPA)と呼ばれる通常のIPAより苦味を効かせたタイプのもので、手がけるのはもはや日本でも有名なブリュードッグです。
IBU150という驚愕の数値が出ていますが、嫌味な苦味はなく、ブリュードッグ特有のグレープフルーツ系の香りによって、複雑でバランスの良い仕上がりとなっています。
アルコール度数9.2%と高めになっているので味わいにボリュームがあり、とても飲みごたえのあるIPAです。
ちなみに、こちらの銘柄もRatebeerで99点をつけています。
(Ratebeerが実は辛口評価じゃないのでは?と思うかもしれませんが、50点前後のものや、そもそもスコアすらつかない銘柄が多いです)

志賀高原ビールIPA

IBU:60

数ある日本のクラフトブリュワリーの中でも、とりわけ有名な志賀高原ビール。IPAを定番としているブリュワリーとしても有名です。
上記銘柄と比べるとIBUは低く感じるかもしれませんが、60ですから十分に高いと言えるでしょう。
筆者はもう5年ほど飲んでいない銘柄なので、味はうろ覚えなのですが、麦の風味がしっかりしていて、苦味はむしろ心地よかったと思います。
とても評価が高い銘柄ですので、一度は飲んでみてください。

まとめ

ここまでIBUとは何を表すのか、そしてIBU値の高い銘柄をいくつかご紹介してきました。

最後に簡単にまとめると…

  • IBUは苦味を表す数値で数値が高いほど苦い。
  • IBUはホップの量など使用状況によって左右される。
  • あくまで数値で必ずしも苦いわけではない。

こういった予め味わいのヒントをくれるような指標は、私たち消費者にとってはとてもありがたいものです。
より自分が求める銘柄選びをしやすくなりますからね。
とはいえ、あくまで参考程度に。

それではこの辺で。
以上「クラフトビールでよく目にする「IBU」の意味とは?」でした。

参考記事:IBU -ビール用語辞典|サンクトガーレン

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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