バーテンダーへの8つの質問 – Bar BenFiddich / 東京・新宿

偶然でした。
小・中・高とずっと野球をやってて、とにかく野球のことしか知らないし、自衛隊に入った野球部の先輩もいたものですから、自分もそのまま自衛隊に入ろうかなと思っていました。ところがいざ野球部を引退してみると、初めて世界が開けた気がしたんです。閉塞感のある、ある意味では特殊な世界にいたから、自分が解放された気がして弾けたんでしょうね。漠然と「東京に行きたい」と思うようになったのもその頃です。それで、野球部を引退後の高校3年の時に、地元のゴルフ場のレストランでウェイターのバイトを始めました。そこでホテルの専門学校の存在を知って入学しました。専門学校時代もホテルでウェイターをやっていて、目の前のカッコイイ人がソムリエだったもんですから、その時はソムリエを目指していたんです。ただ、就職したホテルで配属されたのがBARでして…それでバーテンダーになりました。

アブサンですね。アブサンに出会ったことで20代の時は狂ったように調べて、それに使われているボタニカルを自分で育てるようにもなり、時には実験もしたり…
あの時の情熱が今の自分を体系立ててくれました。なのでアブサンに恩義も感じているんです。

実家の農家の仕事ですね。埼玉の奥地にある実家では元々酪農を営んでいました。兄貴が継がなかったので僕にも農業大学への進学を勧められたことがあったのだけれども、当時は僕も継ぐのが嫌で東京に出てきました。それが今では田舎の良さ、農業の良さがわかる年齢になりました。
結局は実家の区画を借りて、自分で色々なボタニカルを育てていますし、先祖代々の土地は今後バーテンダーをしながら守っていきたいと思っています。

最近は植物図鑑アプリが優秀なので、その辺に生えてる草っぱの写真を撮って、名前を一日一つ覚えるようにしています。今まで気にもとめてなかった雑草の名前を覚えるのが日課なんです。

実家の畑で草いじりをしてる時ですね。自分のペースでゆっくりのんびりやる。その時だけ東京の喧騒を忘れさせてくれます。カクテルのアイディアが浮かぶのもこの時間だったりするんですよ。

未来より過去が好きなタイプなので、年代問わず過去に移住してみたいですね。現在僕が飲んでる酒類の嗜好品と、過去に嗜まれていた酒類の嗜好品を飲み比べてみたいです。純粋に興味があるんです。

趣味でアフリカのウガンダ行った際に、パスポート不所持という理由で銃を持った不良警官に拘束された時ですね(笑)
現地を案内してくれたウガンダ人に電話して、その後助けてもらいました。日本では絶対にできない体験でしたね。

BenFiddichというBARを20年、30年、40年、そして50年と存続させ、カウンターに立ち続けられるように努めます。
それから、実家の土地を利用して6〜7年前からジュニパーベリー(ジンの軸として使用されるボタニカル)の木を育てているんですけど、ジュニパーベリー農家としてやっていけたら良いなと思っています。世界的に見ても、ジュニパーベリーを計画的に栽培している農家っていないんですよ。実際にやってみて大変だと感じたし、非効率ではあるんですけど、BARにはなくてはならないジンに欠かせないジュニパーベリーも育てられるバーテンダーだったらカッコイイなと。それで去年新たに70株植えているんです。
やっぱり畑で色々なものを育てるのが楽しいんですよね。