バーに行く上で、どんなバーテンダーがカウンターに立っているのか、気になる方は少なくないのでは?
「バーテンダーへの8つの質問」は、対象となるバーテンダーの人となりに迫る8つの質問をインタビュー形式で展開し、バーテンダーとそのバーについて知ってもらおうという記事シリーズです。
今回特集するのは、京都市・祇園にあるハーブリキュールや自家製リキュールなどリキュールを豊富に揃え、そのカクテルにも力を入れているバー「喫酒 幾星(きっしゅ いくせい)」。8つの質問にお答えいただくのは、オーナーバーテンダーの織田浩彰さんです。
8つの質問 – 織田浩彰さん
1. バーテンダーになろうと思ったワケを教えてください。
大学生のときからバーテンダーに憧れて、有名店の門を叩き、10年間の修行のあと念願の自分のお店を持ちました…と言えればよかったのですがそうではなく、法律を仕事にすることを目標に、20代は苦学生として過ごしました。その当時、糊口(ここう)をしのぐためにアルバイトしようと、知人から紹介してもらったのがスペインバルでして…その仕事をとおしてお酒の世界に興味を持ち始めたことがキッカケですね。
結局は20代後半で法律家の道を諦めましたから、それまで勉強に割いていた時間をお酒のほうに振り向けられるようになり、バーテンダーとして本腰を入れるようになりました。
今思えば、スペインは近代リキュールの発祥の地ですし、結局自分の興味が行き着いた先もリキュール…2014年に開業した「喫酒 幾星」もリキュールを中心としたお店です。最初のお店がスペインバルだったことは、ある意味では運命だったのかもしれませんね。
2. あなたが一番好きなカクテルorお酒の銘柄は何ですか?
オーダーが多いカクテルではありませんが、シャンゼリゼは個人的に好きですね。
もともとブランデーカクテルが好きでして、例えばブランデーにレモンジュースを加えただけのものを飲むと、ものすごく不味い。お互い殺し合うんですね。そんな2つがリキュールによって見事に手をつなぐ様は、まさにカクテル然としていて、調和という言葉がぴったりだと感じるんです。
3. もしもバーテンダーじゃなかったらどんな仕事がしたいですか?
みんなに言っているんですが、才能があれば数学者になりたかったですね。
数学と聞くと、なんだかロジカルで難しいもののようにイメージする方が多いように思われますが、決してそんなことはなくて“エッセンス的な美しさ”というものが主眼なんです。ですからこれはカクテルと似てるというか…むしろそのものであって、やはり似た職業だと思いますね。
4. 日課としていること、またはマイルールは何かありますか?
活字になっているものは何でも好きで、なるべく毎日目を通すようにしています。
これも難しい本をたくさん読むということではなくて、例えばホットペッパーのようなチラシやファッション誌、盆栽の鑑賞の仕方から使いもしない工業製品のカタログまで、自分が知らないことが書いてあるものはなんでも面白いと感じるんです。就活生じゃないんですが、会社四季報もさまざまな発見があってよかったですね。オススメですよ。
5. 趣味やお気に入りの時間は?
最近はめっきりできなくなりましたが、もともと街歩きが好きで、大阪なんかはほぼ全ての駅に梅田から徒歩で行ったことがあります。
Google Mapsは大好きですが、街歩きのときは使いません。デジタルの離散的な情報は便利だとは思いますが、たまにはアナログの連続的な体験をしたいんですね。適当に選んだ喫茶店に入って、沸かしすぎて煮詰まってしまったコーヒーにたっぷりと砂糖を入れて飲んだりするのも最高なんですよ。
6. もしも移住できるとしたらどこが良いですか?
初めての海外旅行の旅先であるトルコのイスタンブールですかね。
乾いた街の空気と人々の雑踏、見慣れないアラビア語表記と、初めて飲んだラク(トルコのアニス風味の蒸溜酒)の味…今でも鮮明に覚えています。一見バーとは関係なさそうなトルコですが、蒸溜の歴史はアラビア文化圏からラテン語文化圏にもたらされました。ここはその入口となった場所です。街並みも美しいですし、ぜひ一度住んでみたいですね。
7. 人生で最もエキサイティングだった瞬間は?
先ほどの回答のとおり、かなり若くして行ったトルコとフランスへの旅行ですかね。
その文化に大きな刺激を受けた一方で、気をつけているつもりだったんですが、トルコではぼったくりバーにひっかかってしまいまして、200ユーロぐらい取られました(笑)。当時はユーロが高かったので、30,000円を超えていたと思います。そのとき助けてくれた人とは今でも友人ですし、人生で初めて乗ったパトカーが海外だったというのも、今考えれば良い思い出ですね。
8. 今後の目標ややりたいことを教えてください。
緊急事態宣言中に「水売り」と題してノンアルコールバーをやっていたんですが、これが意外に面白くて、引き続き研究したいですね。
アルコールがおいしいのは論をまちませんが、場面と人を選ぶのはアルコールの宿命です。その点ノンアルコールカクテルは、よりユニバーサルなものとしてこれからより支持されていくでしょうし、今から始めるのはとても面白いことだと思います。
「喫酒 幾星 / 京都市」について
お店の紹介
世界の草木の香りを集めた「飲む香水」リキュールへの扉を開けていただくためのバーです。カクテルの副材料から主材料へ。リキュールを美味しく飲むためのカクテルを常に考えています。私設薬草園で採取した季節の植物を使った自家製リキュールも。液体窒素、蒸溜器、芳香蒸溜水など、最新の技術も奇を衒わず、気軽に飲んでいただけるカクテルに仕立てられるよう努力しています。
メニュー例
2杯で3,500円前後、3杯で5,000円弱くらいが平均的なお値段です。
店舗情報
住所:京都府京都市東山区弁財天町15 スペース新橋3F東 << MAPをみる >>
営業:16:00〜1:00 日曜定休 ※時短要請中は営業時間に変更あり
電話:075-551-1610
SNS:[Instagram] [Facebook] [Twitter]
公式HP:https://www.ixey26.com/
⇒バーテンダーへの8つの質問
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