テキーラというと、罰ゲームドリンクのイメージが強いため「ものすごく度数が高いお酒」と思っている方も多いお酒。
なかには90度前後あると思っている方もいるほど。
しかし実は、テキーラのアルコール度数は38〜40度前後。
蒸留酒ですから、ある程度度数は高いものの、そこまで高いわけではありません。
本記事では、テキーラの度数についての解説と「キツいお酒」のイメージの背景について解説していきます。
記事後半ではウイスキーやジン、ウォッカなど他の蒸留酒と度数を比較し、テキーラのアルコール度数がお酒の中ではどの程度の位置付けなのか見ていきます。
お酒には主に醸造酒と蒸留酒の2タイプがあり、醸造酒は発酵させただけのお酒でビールやワインなどがこれにあたり、度数は低いのが特徴。
蒸留酒は発酵後、蒸留(ようするに精製)という工程を加えたたお酒で、度数が高くなる。ウイスキーやテキーラ、焼酎などがこれにあたる。
テキーラの「ものすごく度数が高いお酒」というイメージは飲み方によるもの?
テキーラは、度数40度前後とウイスキーなどと変わらないにも関わらず、「キツいお酒」や「ものすごく度数が高いお酒」など何かとマイナスイメージが強いお酒でもあります。
これにはテキーラ独特の飲み方が関係していると思われます。
そう、あのショットで一気飲みをする、あの飲み方です。
ショットで40度前後のお酒を一気飲みしたら、キツいのは当然です。
これはテキーラに限らず言えることで、ウイスキーだって同様の飲み方をしたらかなりキツいです。
テキーラ愛好家である筆者でも、ショットで一気飲みはさすがにキツいと感じます。
テキーラの場合、人生で初めて飲むテキーラはおそらくショットで一気飲みという飲み方で味わうでしょう。(人生初のテキーラがショットではなく味わって飲むという方は相当稀かと)
それなら、感覚的にウイスキーなどより「度数が高くキツいお酒」というイメージが焼きついても不思議ではありません。
そもそもテキーラの度数は法律で決められている
テキーラは実は、原産地呼称制度といって、産地や定義などが法律で細かく定められているお酒。
メキシコの定められた州(テキーラ5州)でしか造れないお酒なのです。
その定義は非常に細かく、原料の決まりなどだけではなく、アルコール度数も細かく定められています。
このように、テキーラと呼ばれるお酒は、35〜55度の度数でなければならないのです。
実際のところ、大半のテキーラは38度もしくは40度となっており、度数は低めに抑えるのが主流となっています。
テキーラの原料はアガベと呼ばれる多肉植物で、見た目はアロエそっくりです。(サボテンではありません)
テキーラを名乗るには、アガベのなかでもアガベ・アスール・テキラーナ(英名ブルーアガベ)という品種を使用しなければなりません。
お酒の原料の中では甘みは強い方です。(味もアロエに似ている)
ウイスキーやジン、ウォッカなど他の蒸留酒と度数を比較
テキーラの度数について分かったところで、ウイスキーやジンなどの他の蒸留酒の度数と比較して見ましょう。
テキーラ以外の蒸留酒は、国によって違いはあれど、基本的にテキーラのような厳密なアルコール度数の制限はありません。
酒の種類 | アルコール度数 |
テキーラ | 38〜40% |
ウイスキー | 40〜60% |
ジン | 40〜50% |
ウォッカ | 40%〜 |
ラム | 40〜50% |
焼酎 | 25% |
ウイスキーは基本40〜50度(ほとんどの国で40度以上が義務付けられている)ですが、カスクストレングスやシングルバレルと呼ばれるシリーズになると50〜60度前後になり、テキーラと比べると度数が高い銘柄がほとんどです。
ジンやウォッカも同様、多くは40〜50度ですが、ウォッカに至ってはなんと90度を超えるものもあります。
ラムも基本は40〜50度ですが、151プルーフというシリーズになると、その度数は75.5度となります。
さすがに焼酎は、25度がほとんどですから、それよりはテキーラの度数が高くなりますが、テキーラが多くの蒸留酒より度数が低いのは明らかです。
このことからも、テキーラの度数が決して高すぎるわけではないことが分かります。
最後に…実はテキーラは美味しいお酒である
罰ゲームドリンクのイメージが強く、キツいお酒と思われることが多いテキーラですが、実はそんなにキツいお酒ではなく、しっかり味わってみると美味しいお酒なのです。
そもそも、法律で厳しく定められていることからも分かるように、生産者たちはより美味しいテキーラを造ろうとしているわけです。
実際世界を見れば、アメリカではハリウッドスターたちの間で大人気となり、「テキーラはセレブのお酒」と言われるほど贅沢な味わいのお酒でもあります。
日本でも少しずつテキーラの人気が高まってきており、特にプレミアムテキーラと呼ばれる本格的に味わうためのテキーラが人気を集めています。
ショットで一気飲みするのも一つの飲み方ですが、度数が決して高すぎるお酒ではないと分かった今、ぜひテキーラをしっかり味わってみてください。
もしかするとハマるかもしれませんね。
それではこの辺で。
以上「テキーラの度数は高すぎるわけでない!他の蒸留酒と度数を比較」でした。
【参考文献】
世界の名酒事典2017年版|講談社