新たな発見や想像しえないインスピレーションを得られるのは、旅の大きな醍醐味の一つ。
日本一のバーテンダーは、ロンドンの有名バーや街を巡った中で一体どのようなインスピレーションを得て、そこからどのようなカクテルを生み出したのでしょうか?
というわけで今回の記事企画は『ボンベイ・サファイア プレミアクリュ』のカクテルコンペティションで日本一に輝いた加藤晋悟さん(THE SAILING BAR/奈良・桜井市)が行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所(正式名:ラヴァーストーク蒸溜所)』およびロンドンバーツアーへの密着取材シリーズ。
今回は、加藤さんが10数軒巡ったロンドンのバーでの発見や学び、そしてロンドンの様々なスポットを訪れて得られたインスピレーションなど、旅の内容を振り返ります。
また、記事の後半では、今回の旅の集大成として加藤さんが考案した『ボンベイ・サファイア プレミアクリュ』のオリジナルカクテルについて、レシピとともにご紹介します。
⇒日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』前編 – アンバサダーが語るボタニカルへのこだわりとは?
⇒日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 – こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは?
バー巡り編 – 人気店を巡る中で見えた日本とロンドンのバーの違い
「ロンドンのバー巡りは、正直とても楽しみにしていました」と語る加藤さん。
それも無理はありません。
今回訪問するバーは、“世界のベストバー50”などのアワードにランクインするバーを中心に、バーテンダーならきっと一度は憧れるような有名なバーばかり。
その中でも、特に印象的だったのは、世界的に有名なバーテンダー、エリック・ロリンツさんのバー「KWANT」と、日本人の中村充宏さんがへッドバーテンダーとして活躍する「The Churchill Bar & Terrace」です。
まず、ロンドンきっての高級地区にある「KWANT」は、一見ティキバー(トロピカルカクテルのバー)を思わせる内装ですが「ティキバーではなく、エリックが好きなものを集めたバーといった感じです」と、こちらで勤務する安部直柔(なおなり)さん(取材当時)は説明します。
そう、実はこちらのバーでも日本人が活躍していたのです。
「ロンドンではジンカクテルはかなり人気のカテゴリーですし、ネグローニやマティーニ、ギムレットはよくオーダーがあります。特にネグローニは人気ですし、どのお店もツイスト(アレンジ)したものをメニューに載せています」とペドロさん。
「たしかにどのお店もメニューにネグローニが載っていましたし、そもそも日本のバーはメニューがないお店も多い中で、今回訪問したすべてのお店にメニューがありました」と加藤さん。
それに対し安部さん「ロンドンでは(来客数のボリュームが圧倒的なので)カクテル作りにおいてとにかく早さが求められます。メニューを作ることであらかじめ材料をプレミックスしておける、という一面もあります」と、ロンドンのバー事情について語りました。
一方、ハイアット リージェンシー ロンドン内にある「The Churchill Bar & Terrace」では、中村さんがロンドンでのバーキャリアについて教えてくれました。
「まずは何より労働ビザの取得が大変です。ですが、海外のホテルバーは売り上げの規模が違いますし、お客さまからもホテルからもバーはとても重要視されています。いわゆるバーマネージャーよりさらに上の役職があり、それはやりがいにつながる要素かもしれません」と、日本との違いについて語りました。
「早い時間から営業しているバーが多く、どのお店にもエスプレッソマシーンがあるのは印象的でした。バーとカフェの境界線がないようにすら感じました」と加藤さんが語るように、営業スタイルも異なることから、バーテンダーのキャリア構成も多様なのかもしれません。
他にも10数店舗のバーを訪れましたが「BGMとして(日本では定番の)ジャズを流していたお店が1軒だけしかなかったことには驚きました。音量も大きく、アップテンポの音楽を流しているお店も多かったですし、お客様同士の会話のボリュームも大きかったですね。それに、バーテンダーさんたちは基本的にみな盛り上げ上手でショーマンシップに溢れていました。そして何より、とてもフレンドリーな接客スタイルは印象的でした」と加藤さん。
また「カクテルのベースに、例えばジンとウイスキーといったように、2種類のスピリッツを使っているメニューが多かったことに驚きました。それに、メニューブックのデザインの凝り方も素晴らしく、参考になりました」と、日本のバーとの違いについて語りました。
ロンドンの食、文化、街並み編 – 都会と自然、伝統と革新の融合
ロンドンではもちろん食事も堪能。
今回は、アフリカ料理やインド料理など『ボンベイ・サファイア』のボタニカルにちなんだ地域のレストランを中心に訪問しました。
「スパイス使いが非常に上手く、日本のそれよりスパイスらしさを感じました。行列ができている店も少なくなく、アフリカ料理やインド料理がロンドンでは流行っているのだと参考になりました」と加藤さん。
ちなみに、今回訪問したバーの多くで、シグネチャーメニューの一つとしてブラッディメアリーが載っており、そのほとんどがかなりエッジの効いたスパイシーな味わいだったのですが、「ブラッディメアリーも、スパイス感溢れる料理に負けないように味の設計がされているのかもしれませんね」と加藤さんは振り返りました。
その他『大英博物館』や『ビッグベン』『バッキンガム宮殿』など、ロンドンの定番スポットも訪問。
「大英博物館はとにかく大きく、見せ方のダイナミックさも圧倒的でした。ビッグベンやバッキンガム宮殿も細部に至るまでの豪華絢爛さに圧倒されましたし、ただディテールに凝るだけではなく、見せ方という点で非常に参考になりました」と、加藤さんはバー以外からもインスピレーションを得た様子。
また、ロンドンの街全体の雰囲気や文化については「もちろん大都会ではあるのですが、随所に自然もあったのは印象的でした。公園での散歩をルーティーンとしている人も少なくないそうで、ロンドンの人は自然が好きなのだと思いました。ボンベイ・サファイアの蒸溜所でも、大自然の中に近代的な蒸溜所があって、ブランド自体も伝統と革新を重んじていましたし、ロンドンの人たちは“都会と自然”、“伝統と革新”といったように、本来なら相反するものを融合させることに長けているのかもしれないと思いました」と語り、今回の旅を総括しました。
ロンドンの旅を経て創作したボンベイ・サファイアカクテルとは?
ロンドンの旅から帰国した加藤さんは、今回の旅の集大成として『ボンベイ・サファイア プレミアクリュ』を使ったオリジナルカクテルを考案。
「今回の旅の中で特に印象的だったのが、早い時間からオープンし、本格的なコーヒーやエスプレッソを提供するバーが多かったこと。そして2種類のベーススピリッツを使ったカクテルのメニューが多かったことです。眠気も覚めるような香ばしいアロマが漂う空間で味わった、2種類のスピリッツからなる重厚かつ複雑なカクテルは、私の好奇心を満たし、そして創造力をかきたてるインスピレーションの源となりました」
そう話す加藤さんが創作したカクテルは…
Eye-opener(アイオープナー)
①ボンベイ・サファイア プレミアクリュ / 30ml
②デュワーズ 12年 / 20ml
③オレンジキュラソー / 15ml
④コーヒーリキュール / 15ml
⑤ラズベリーピューレ / 10ml
⑥コーヒーオイル / 5drop
①〜⑤をシェイクしグラスに注ぎ、仕上げに⑥を垂らす
カクテルのコンセプトについては次のように語ります。
「ともにヴィクトリア女王に関するエピソードを有し、また“かきたてる創造力”と“いつも胸に好奇心を”をそれぞれキーワードとして掲げる、まさに秘められた可能性を見つけ出す今回の旅に相応しいスピリッツ、ボンベイ・サファイア プレミアクリュとデュワーズをカクテルのベースとしました。ジンとウイスキーという、タイプの異なるスピリッツが醸し出す驚きの相乗効果、そして目の覚めるようなコーヒーのアロマ漂うこのカクテルが、皆さまの新たな価値観と可能性を開く一杯になれるように…そう願いを込めてカクテル名を“アイオープナー”としました。ロンドン研修中からカクテル名とレシピは決まっていたのですが、日本に帰国し改めて調べてみると、ハリー・クラドックが考案したクラシックカクテルとして存在していることを知りました。名前を変えるべきか迷いましたが、私が感じたことを素直に表現したいという思いと、ハリー・クラドックが活躍したロンドンで思い浮かんだことにバーテンダーとしてご縁を感じ、同じ名前を使用させていただきました」
加藤さんが生み出したのは、『ボンベイ・サファイア』のシニア・ブランドアンバサダーであるサム・カーターさんに教わった、現地で人気上昇中だというジン版エスプレッソマティーニを独自にアレンジし、今回の旅でかきたてられた創造力を閉じ込めた、まさに集大成にふさわしい一杯でした。
もちろん、カクテルは加藤さんが在籍する奈良県桜井市にあるバーの名門『THE SAILING BAR』で味わうことができます。
新たな価値観と可能性を開く“アイオープナー”
ぜひ奈良まで味わいに訪れてみては?
それは、あなたの創造力をかきたてる一杯かもしれません。
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⇒ボンベイ・サファイア公式サイト
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