他のお酒にはない!テキーラだけに存在するある特徴とは?

テキーラだけの特徴

日本でも少しずつ「罰ゲームのお酒ではない」など正しい知識が浸透してきたテキーラ。
テキーラといえばメキシコでしか生産されないお酒で、サボテンではなくアガベという植物が原料となっているという話も少しずつですが有名になってきました。

しかしまだまだテキーラには、あまり理解されていないテキーラならではの特徴や魅力があります。

本記事で取り上げるのもそんなテキーラならではの特徴。
他のお酒にはなく、テキーラだけに存在する特徴であり、魅力の一つでもあります。

記事を読み終えた頃には、きっと美味しいテキーラが飲みたくなっていることでしょう。
それでは見ていきましょう。

テキーラは原料で値段が左右される?

Blue Agave, Tequila, Mexico

まず先に結論を言ってしまうと…
他のお酒にはなくテキーラだけに存在する特徴、それは原料であるアガベが多年生植物であること、そしてその栽培年数によって値段が左右されるということです。

ちょっと難しく感じるかもしれませんが、分かりやすく説明していきましょう。
まず多年生植物とはその名のとおり、何年にも渡って育っていく植物のこと。
テキーラの原料となるアガベはこの多年生植物にあたり、なんと10年以上も育ち続けます。

多くのお酒の原料となる穀物類は、基本的に一年生植物か二年生植物と呼ばれる1〜2年しか育たない植物です。
ワインの原料のブドウなどは多年生植物ですが、使用するのはブドウの実の部分で、これは一年サイクル収穫できます。
つまり、多くのお酒は毎年収穫できる原料を使用しているということですね。

一方、テキーラの原料となるアガベは、最短でも5年以上育てたものを使用するのが一般的で、使用するのも実や種ではなくアガベそのもの。
つまり一つアガベを使ったら、また新たなアガベを5年以上かけて育てなければなりません。

長年かけた育てた大型のアガベ
By HispanoamerikanoOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

このように、長年かけて育てた「原料」を使用するのは、よく知られるお酒の中ではテキーラだけ
そしてテキーラの場合、このアガベの栽培年数によって値段が左右されるのです。

この原料の栽培年数、つまりは原料の状態である程度グレードが決まるというのはテキーラの大きな特徴です。

栽培年数が長いとアガベだと高級テキーラになる

ではそのアガベの栽培年数によって値段はどう変わるのか?
すでにお分かりの方もいるかもしれませんが、より栽培年数が長い、つまり長年かけて育てた大きなアガベを使用したものが、より高級なテキーラになります。

栽培年数10年以上のアガベを使用したクエルボ・ファミリアとプラティノ

同じ蒸留酒類であるウイスキーは、原料で値段が左右されることはほぼなく、基本的に樽での熟成年数によって値段が決まり、より長く樽熟成させたものが高級になります。

実はテキーラも同じように樽熟成を用い、それによって

ブランコ(熟成なし、シルバーとも)→レポサド(2ヶ月以上熟成)→アネホ(1年以上熟成)

というように明確にグレードが分けがされます。(詳しくはこちら「ゴールド?シルバー?テキーラの色の意味とは?」をご覧ください。)
これももちろん値段が決まる要素です。

しかし、原料の時点でとても手間がかかるテキーラは、この原料のアガベの状態も重要な要素となり、

  • アガベの栽培年数の長さ
  • 樽での熟成期間

この2つによって値段が決まります。

これによって熟成させていない透明のテキーラなのに、とても値段が高い、といった銘柄があるわけです。
有名な超高級テキーラ「パトロン・プラチナ」などがこれにあたりますね。
ちなみにパトロン・プラチナでは、栽培年数10年以上の最高級の大型アガベだけを厳選して使用しているのだとか。

他にも「ドンフリオ」シリーズや最近発売された「クエルボ・プラティノ」などの有名高級テキーラは、いずれも10年以上栽培した大型のアガベだけを使用しています。
このことからも、栽培年数10年以上のアガベを使用すると高級テキーラになると言ってもいいでしょう。

アガベの栽培年数によって味わいはどう変化する?

テキーラを注いだグラス

ではそのアガベの栽培年数によって、味わいには変化はあるのか?

それはズバリ、栽培年数が長い大型のアガベを使用したテキーラの方が、基本的に甘い味わいになります。
大型のアガベの方がアガベ自体に含まれる糖分が多くなるからです。

基本的には、6年前後の若いアガベを使用すると、少し苦味を感じるビターな味わいになり、
10年前後の大きなアガベを使用すると、甘みの多い味わいになる傾向があります。

よく高級なテキーラは甘くて飲みやすいと言われますが、それはこのアガベの栽培年数も関係しているということですね。

他にもアガベは、その産地によっても甘みの強さが変わると言われていますが、本記事では割愛させていただきます。

テキーラは樽での熟成期間でも味わいが変わります。
より長く熟成させたアネホなどの方が甘くまろやかになるのですが、これは樽由来の成分によるもので、アガベ本来の味わいは熟成なしのブランコがより強く感じます。

栽培年数が長いアガベを使ったテキーラ銘柄

ここでは栽培年数が長いアガベを使ったテキーラ銘柄をご紹介。

前述のように栽培年数が長いアガベを使ったテキーラは、値段も高くなります。
しかし甘みが強く飲みやすいものが多いので、気になるものがあればぜひ試してみてください。

なおせっかくですので、アガベ本来の味わいが出る、熟成なしのブランコテキーラに絞り紹介していきます。
ちなみに全てアガベ100%の、いわゆるプレミアムテキーラです。

ドンフリオ

言わずと知れた有名プレミアムテキーラ「ドンフリオ」
テキーラ界の伝説の男「フリオ・ゴンザレス」が作り上げたブランドは、10年以上栽培させた大型のアガベを使用。
そのためアガベ由来のシトラスっぽい甘みを強く感じることができ、飲みやすい味わいテキーラとなっています。

なお、ドンフリオは現在ブランコだけが日本では正規輸入がないため、ブランコは全て並行輸入品となります。
とはいえもちろん味わいに差異はないのでご安心を。

カサノブレ

カサノブレは有名ギタリストのカルロス・サンタナがオーナーの一人となっていることでも有名なテキーラ。
そしてこのカサノブレがもう一つ有名なのが、オーガニック・テキーラであること。
アガベも大型のものを使用し、10〜12年かけて育てたものを使用すると言われています。
そのためアガベ本来のシトラスのような甘みを感じる味わいとなっています。

アラクラン


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黒いボトルそしてそこに描かれたサソリが特徴的なテキーラ「アラクラン」
アメリカ東海岸で特に人気が高いと言われる銘柄で、ブランドサイトによればアガベは7〜10年栽培のものを使用。
上記2銘柄と比べるとやや若いアガベを使用しているため、甘みという点では劣りますが、蒸留方法の違いも相まってこちらはクリーンな味わいとなっています。

チナーコ

チナーコは、テキーラの主要産地ハリスコ州からかなり離れたタマウリパス州で作られる唯一のテキーラ。
そしてこのチナーコはアメリカのプレミアムテキーラ・ブームの火付け役になったテキーラなんだとか。
アガベは8〜12年栽培のものを使用。味わいはアガベ由来甘みをしっかり感じるものとなっています。

クエルボ・プラティノ

誰もが知るテキーラブランド・クエルボ。そのクエルボの高級シリーズ「ファミリア」のブランコバージョンです。
今年3月に発売なったばかりの新商品ながらも、人気ブランドの最高峰シリーズであること、なおかつ数あるブランコテキーラの中でも最高峰であることから話題になっているテキーラです。
アガベは10〜12年栽培のものから厳選して使用。手間がかかったテキーラであるため値段も高めですが、一度は味わってみる価値があります。
味わいはアガベの味わいをしっかり感じながらも、高級品らしくまろやかでスムースな味わいとなっています。

まとめ

他のお酒にはなくテキーラだけにしかない特徴、それは…

原料(アガベ)が長年かけて育てられるもので、より長年かけたアガベを使用したテキーラが高級になる

ということがわかりました。
ウイスキーなど他のお酒では原料ではなく熟成年数に値段が左右されることが多いなか、原料自体の状態(栽培年数)にも値段が左右されるのはテキーラならではです。

ぜひ次回テキーラを飲むときは、アガベの栽培年数にも注目してみてください。
全てのテキーラ銘柄でアガベの情報が開示されているわけではありませんので、確実に、とはいえませんが専門店のスタッフやバーテンダーなら教えてくれるでしょう。
またAmazonなどの通販でも掲載されていることがあるので是非チェックしてみてください。

それでは、以上「他のお酒にはない!テキーラだけに存在するある特徴とは?」でした。

参考文献:テキーラ大鑑・廣済堂出版 著・林生馬

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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