メキシコが誇る美酒、テキーラ。
アメリカを中心に世界的に人気が急上昇しているテキーラですが、日本と世界とでは人気のテキーラが異なります。
アメリカを中心とした世界では、この記事のタイトルにもあるように、「100%アガベテキーラ」が人気なのですが、日本では異なるカテゴリーのテキーラが人気なのです。
それがどういった意味なのか、詳しく解説していきます。
「テキーラ」と「100%アガベテキーラ」という2つのカテゴリー
多肉植物であるアガベを主な原料に、メキシコの限られた地域のみで生産されるテキーラ。
そんなテキーラは、アガベの使用割合によって、2つのカテゴリーに分けられています。
一つは「テキーラ」というカテゴリー。
これは、糖分の51%がアガベ由来であればOK、つまり、原料比の半分以上アガベを使用すればOKというものです。
その他には糖蜜やブドウ糖などの糖分のほか、とうもろこし由来の糖分などが使用されるのが一般的。原料コストが比較的安く済むため、商品の販売価格も安い傾向にあり、カジュアルに楽しめるテキーラです。
そしてもう一つが「100%アガベテキーラ」。
こちらはその名のとおり、糖分の100%がアガベ由来であるもの、つまり、アガベのみで造られたテキーラを指します。
テキーラに使用されるアガベは、5〜10年ほどと長い時間を費やして育てられることから、素材としては高価。そのため、当然のように販売価格も高くなる傾向があります。
このカテゴリーのテキーラは、必ずボトルのどこか(割と目立つ場所)に「100% de agave」、「100% agave」といったように、アガベ100%のテキーラであることが記されています。
極端に言えば、他の素材も使用したカジュアルなテキーラか、アガベのみで造られたプレミアムなテキーラか、といったところです。
⇒テキーラができるまで 〜 独自の製造工程をざっくり紹介
世界では「100%アガベテキーラ」の方が人気だが、日本では「テキーラ」が人気
例えるなら、果汁51%のジュースか100%のジュースか、といったような違いがある「テキーラ」と「100%アガベテキーラ」。
もちろん、それらジュースと同じように、味も値段も変わってくるわけですが、実は、アメリカを中心とした世界各国では、「100%アガベテキーラ」の方が人気。
一方で日本では「テキーラ」が人気、といった大きな違いがあります。
例えば、テキーラの最大のマーケットであるアメリカでは、テキーラの全輸入量のうち、6割弱が「100%アガベテキーラ」カテゴリーとなっています。カナダやイギリス、イタリアなどでも同様です。
また、テキーラの全生産量の内訳を見ても、2019年の年間テキーラ生産量352万Lのうち、「テキーラ」が144万Lだったのに対し、「100%アガベテキーラ」は208万Lとその数を上回りました。
生産量においても、6割前後が「100%アガベテキーラ」だったのです。
しかも年々「100%アガベテキーラ」の生産量は増えており、今後その差はさらに開いていくとされています。
一方で日本はというと、2019年の輸入内訳のうち、なんと9割以上が「テキーラ」。「100%アガベテキーラ」は1割にも満ちません。
美酒としてのテキーラ
なぜそこまで日本で「テキーラ」が人気かというと、そもそも日本では、まだまだ「テキーラ=ショットで一気飲みするお酒」という特殊なイメージが根強いために(それは単なる飲み方の一つに過ぎません)、比較的安価なものに需要があるからだと考えられます。
かたや世界では、アメリカを中心にテキーラは美酒として捉えられ、ストレートでゆっくり味わうのはもちろん、ソーダ割りやカクテルにしてみたりと、その楽しみ方も様々。市場のプレミアム化が騒がれるほど、高価なテキーラにも人気が集まっています。
もちろん「テキーラ」と「100%アガベテキーラ」は、あくまでカテゴリーであって、各商品の優劣がつけられるようなものではありません。
ただ、こうしたカテゴリーがあること、そしてテキーラにも様々な商品があり、飲み方も多様であることを知っておくと、今まで以上にテキーラを楽しめるようになるかもしれません。
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