テキーラに危機?米国がメキシコからの輸入品に20%関税方針

テキーラの危機

「メキシコに壁を作る」と兼ねてから主張し、実際に行動に移そうとしているアメリカのトランプ政権。
ちょうど本日1/27のニュースですが、その壁を作る資金として、メキシコからの輸入品に対して20%の関税を課す方針を示唆しました。

このニュースが「テキーラの危機に何の関係が?」と思うかもしれませんが、実は大きく関係しています。

本記事では、トランプ政権のメキシコへの関税方針によって、テキーラに訪れるかもしれない危機について解説していきます。
いつものLiquorPageのテイストとは異なりますが、筆者的にどうしても気になるニュースだったので記事にしました。

アメリカはテキーラの最大消費国

なぜアメリカ・トランプ政権が示唆した「メキシコからの輸入品に関税20%の方針」がテキーラの危機に関係があるのか?

それは、実はアメリカはテキーラの最大輸出国(※1)であり最大消費国(※2)だからです。

ご存知の方も多いと思われますが、テキーラはメキシコのお酒です。
こちらの記事【テキーラの定義とは?名前の由来と生産地についても説明!】でも解説していますが、メキシコでのみ生産が許されるお酒です。

メキシコでのみ作られるテキーラ

日本で例えると日本酒+焼酎(本格焼酎)に匹敵する、国を代表するお酒です。
ただ日本酒+焼酎と違うのは、最も消費されている国が自国ではなく外国であること。

その最大消費国であり最大輸出国、つまり最も売れている国がアメリカなのです。

※1 Statistaより
※2 Economistより

現在は関税ゼロも、今後はテキーラも関税20%か

トランプ政権による「メキシコからの輸入品に関税20%の方針」は、現段階では方針を示唆しただけで本当に実現・実行するかはわかりません。
しかし、もし実行されたらテキーラにも20%程度の関税が課されることでしょう。

アメリカとメキシコでは現在、NAFTA(北米自由貿易協定)が結ばれていて、これにより両国間では輸入・輸出にかかる関税は撤廃されています。(カナダも含まれる)
もちろんテキーラの輸出・輸入も現在は関税なしで行われています。

この関税0%の状態から20%にアップするということは、意味することはテキーラの値上げです。
アメリカの販売代理店は、仕入れコストに20%もの関税がプラスされるわけですから、値上げせざる得なくなります。

単純に関税の分の20%相当が値上げされるとなれば、テキーラの売れ行きに大きく影響することは間違いありません。

特に影響を受けるのはクエルボなどスタンダード・カテゴリーのテキーラ

「メキシコからの輸入品に関税20%の方針」によってテキーラの値上げが実行された場合、特に影響を受けるのは一般的に低〜中価格帯であるスタンダード・カテゴリーのテキーラでしょう。
筆者的に特に影響が及ぶであろうと考える銘柄は、みなさんもよくご存知の「クエルボ」です。

クエルボは数あるテキーラの中でも、特にアメリカをメインのマーケットとする銘柄です。
その売上の大部分をアメリカに依存しているとされています。
加えてこのクエルボは、一般的に低〜中価格帯のテキーラでいわゆるスタンダード・カテゴリーに分類される銘柄です。
このスタンダード・カテゴリーのテキーラのターゲット層は、値上げには敏感な中間層です。
これにより関税20%による値上げを行った場合、売れ行きが落ち込むことが考えられます。

他にも「ホアレス」など、アメリカで売上基盤を築いているスタンダード・カテゴリーのテキーラは同様の影響を受けることが考えられます。

逆に、同じくアメリカが主なマーケットである「パトロン」は、高価格帯のプレミアム、スーパープレミアムにカテゴライズされる銘柄で、ターゲット層が富裕層なので、クエルボほどの影響はないと考えます。

テキーラ業界に忍び寄る危機…しかし他の酒類は…

いくらアメリカで人気があるテキーラといえども、このような外的要素による値上げは消費者の支持を得にくく、最悪テキーラ業界全体が衰退にも繋がりかねません。

特にアメリカでは、ウォッカやウイスキーなどテキーラの代わりとなる自国産のお酒がたくさんあり、値上げされた場合、消費者がテキーラを選ぶインセンティブは働きにくくなります。
ウォッカやウイスキーなど他の酒類に、そのマーケットを奪われるわけです。

様々なお酒が並べられた店内

しかし視点を変えれば、これら他の酒類にとってはチャンスで、特にサントリーのようにアメリカのウイスキー分野で大きな基盤を持つ企業にとっては、むしろ好転機なのかもしれません。

日本では現在も今後もテキーラは無関税なので影響はない

最後に念のため触れておきますが、このニュースはアメリカ・メキシコ間での出来事なので、日本への影響は特にありません。

そもそも日本とメキシコは、2004年に経済連携協定が結ばれており、発効直後からテキーラの関税は撤廃されています。
なのでこのニュースの影響による、日本でのテキーラの値上げはないものと考えます。

まとめ

まだ現段階では、アメリカのトランプ政権は「メキシコからの輸入品に関税20%の方針」を示唆しただけで、決まったわけではありません。
しかもこれはトランプ政権の一方的な思惑であり、仮に通知したとしてもそれをメキシコ側が承諾する可能性は低いものと思われます。
しかし、トランプ大統領は以前から「NAFTAの見直し」を掲げていただけに、テキーラの関税(メキシコ製品の関税)が見直される可能性は低くありません。

いずれにせよテキーラ業界には、今後何らかの影響が及ぶものとされます。
今後どのような展開を迎えるのか目が離せません。

小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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