世界で人気沸騰中のウイスキーカクテル…プロにその魅力とおすすめカクテルを聞いてみた

世界で人気沸騰中のウイスキーカクテル…プロにその魅力とおすすめカクテルを聞いてみた

「ウイスキー」と聞いて、あなたはどんな飲み方をイメージするでしょうか?
ハイボールやロック、ストレートといった飲み方をイメージする方は多いかもしれませんが、実は今、世界的にはそのカクテルが大人気なんです!
世界のバーにおけるカクテルの人気ランキング(詳細はリンクにて)で、7年連続でオールドファッションドが1位になるなど、近年のウイスキーカクテル人気は圧倒的です。

今回はそんなウイスキーカクテルの今についてお伝えするべく、Bar Thistle(バーシスル/名古屋市・伏見)で開催されたイベント「WLN(ウイスキーラバーズ名古屋)スピンオフカクテルイベント」を取材。
同店のオーナーバーテンダー・吉田俊也(としや)さんと3名のゲストバーテンダーに、ウイスキーカクテルの魅力や人気の理由、おすすめのカクテルなどを聞いてみました!

バーテンダーが語るウイスキーカクテルの魅力と人気の理由

日本でもよく知られるように、近年は世界的にウイスキーそのものの人気が過熱しています。
ハイボールやストレートなど、そのままに近い形で味わうイメージも強いウイスキーですが、実はそのカクテルは100年以上前からウイスキーの楽しみ方の一つとして確立されていました。

Bar Thistleの吉田俊也さんに話をうかがった

Bar Thistleの吉田俊也さん

とはいえ、なぜ今ウイスキーカクテルの人気が過熱しているのでしょうか?
バーおよびウイスキー業界ではとても有名な名古屋の名店で10年以上修行し、独立後もウイスキーとそのカクテルに注力するBar Thistleの吉田さんは次のように語ります。
「昨今のウイスキーブームがキッカケとなっているのは間違いありません。ウイスキーへの関心が高まっている中で、飲み手の方にとって最初はストレートに抵抗があっても、カクテルなら飲みやすいと感じられると思います。ウイスキーカクテルは、ベースとなるウイスキーの香りや味わいを感じやすいものも多いですし、ウイスキーの世界への入り口としてもぴったりなんです。また、世界で人気のオールドファッションドを筆頭に、ウイスキーの楽しみ方として積極的に発信するバーテンダーが多いのも人気の理由だと思います」
その人気は日本にも押し寄せ、近年はオールドファッションドに和のエッセンスを加えてみたり、独自のアレンジをするお店が増えているのだそう。

ツウな楽しみ方として人気のストレートとは違った魅力があるようで「味のスタイルや度数帯など、バラエティの豊かさはカクテルならではです。ウイスキーに様々な素材を漬け込んでカクテルに使うお店も増えていますし、他の素材と合わせることで、ウイスキーの特徴でもある複雑味が無限のように広がります。バーテンダー視点だと、初心者の方にも提案しやすいことも挙げられますね」と吉田さんは語り、自身のお店でもカカオニブを漬け込んだウイスキーなど様々な方法で提案しているそう。
そして、そうした工夫を凝らしたカクテルから、スタンダードなカクテルやストレートなどの楽しみ方に移行する若い方も増えているのだと言います。

コーヒーを使ったウイスキーカクテル

コーヒーを使ったウイスキーカクテル

つまりウイスキーカクテルは、ウイスキーの豊かな香りや味わいを感じやすいながらも、味や度数など表現方法が多様で、カジュアルにも本格的にもウイスキーを楽しめることが魅力と言えるでしょう。

進化するバーツールによって広がる可能性

バーテンダーがアレンジやアプローチをしやすいとされるウイスキーカクテルですが、それを後押しするようなツールの台頭も大きな影響を与えています。
代表例として挙げられるのが、自動車産業の中心地・豊田市に拠点をおく横山興業が、持ち前の研磨の技術を活かして製作したバーツールブランド「BIRDY.(バーディー)」のデキャンタです。

BIRDY.」のデキャンタ

BIRDY.のデキャンタ

「当店でも愛用しているのですが、このデキャンタにウイスキーを入れて複数回回転させるだけで、ウイスキーそのものの香りが際立ちます。例えば水割りに使用すれば味わいは非常になめらかになりますし、水との一体感が生まれます。回す方向を変えるだけで香りの立ち方が変わるんですが、それを飲み手の方も感じとれるという、魔法のようなツールです」と吉田さんは語ります。
実際にこちらのデキャンタを使用しているバーテンダーは多く見受けられ、ウイスキーカクテルをより面白くしていると言えるでしょう。

実際に人気のウイスキーカクテルは?

日本では伝統的にハイボールや水割りもカクテルの一つとして捉えられています。
シンプルながらも、その中に細やかな技術とエッセンスを閉じ込めることで、より香りや味わいの表現を洗練させているのです。
実際にBar Thistleでも、ハイボールや水割りは圧倒的に人気だそうで、単なる飲み方ではなくカクテルという認識のもと味わってみると、新たな発見があるかもしれません。

オールドファッションド

オールドファッションドなどはお店によってアレンジが加えられていることも多いという

一方でその他のカクテルについては、やはりスタンダードカクテルが人気のよう。
「オールドファッションドやマンハッタンはやはり人気ですが、サイレントサードも人気がありますね。サイドカーやホワイトレディのウイスキー版にあたるカクテルで、それらと同じように人気があります」
吉田さんは、それらのカクテルにアレンジを加えているそうで「マンハッタンはあらかじめBIRDY.のデキャンタで材料を混ぜ合わせ、その後2ヶ月以上寝かしてからご提供しています。一方でオールドファッションドは、一般的にはレモンやオレンジのスライスを添えるのですが、当店では果汁にして加え、それらをBIRDY.のデキャンタで混ぜ合わせます。また、通常は角砂糖を加えてすり潰すのですが、当店では丸氷に黒糖のシロップをまとわせ、それを角砂糖代わりにしています。甘さがより引き立つオールドファッションドですね」と語ります。
王道のカクテルながらも、お店ごとにアレンジが加えられており、それらの違いを楽しめるのもウイスキーカクテルの魅力と言えそうです。

4名のバーテンダーがおすすめするウイスキーカクテル

今回取材した「WLNスピンオフカクテルイベント」では、Bar Thistleの吉田さんのほか、新宿ウイスキーサロン(東京・新宿)の静谷和典さん、Scotch & Branch(京都市)の辻英和さん、Bar K-9の後藤啓輔さんといった、ウイスキーとカクテルに精通するバーテンダーがゲストとして参加し、腕を奮っていました。
その4名のバーテンダーに、それぞれ一つずつおすすめのウイスキーカクテルを教えていただきました。

1. Bar Thistleオリジナル 水割り / 吉田俊也さん

Bar Thistleオリジナル 水割り
材料:ウイスキー、水

吉田俊也さん

吉田さん

BIRDY.のデキャンタで作る水割りで、当店では氷を入れずに常温のままチューリップ型のグラスでご提供しています。
香りの変化も楽しめる水割りで、アルコールを感じにくくなっているため、最初の一杯や食中酒としてもぴったりです。

2. エスプレッソマンハッタン / 新宿ウイスキーサロン 静谷和典さん

エスプレッソマンハッタン
材料:ミクターズ(アメリカンウイスキー)、オリジナルスイートベルモット、ティアマリア(コーヒーリキュール)、バレルエイジドコールドブリュー(水出しコーヒー)、自家製エスプレッソシロップ、ビターズ、コーヒー豆

静谷和典さん

静谷さん

人気のコーヒーカクテルであるエスプレッソマティーニと、マンハッタンを掛け合わせたカクテルです。
ウイスキー樽を使用したバレルエイジドコールドブリューコーヒーにより、オーク樽のリッチな質感を残したテイストとなっております。

3. The Scotch & Branch Cocktail / Scotch & Branch 辻英和さん

The Scotch & Branch Cocktail
材料:グレンアラヒー12年(シングルモルトスコッチ)、カルパノクラシコ(ベルモット)、チナール(ハーブリキュール)、チョコレートビターズ、オレンジピール、オランジェット

辻英和さん

辻さん

当店(Scotch & Branch)のシグネチャーカクテルで、チョコレートがけのオレンジを思わせる甘苦い味わいが特徴の一杯です。
マンハッタンやゴッドファザーが好きな方には特におすすめしたいカクテルです!

4. ミントジュレップ / K-9 後藤啓輔さん

ミントジュレップ
材料:コーヴァル(バーボンウイスキー)、ライム、シュガーシロップ、ミントの葉、ソーダ

後藤啓輔さん

後藤さん

100%オーガニックコーンを使用した「コーヴァル」のバーボンは、口当たりが柔らかいのが特徴です。
それにライムやミントの清涼感と加え、BIRDY.のデキャンタを使用することで最大限に香りを立たせ、ベースと副材料の相性を高めました。

Bar Thistleについて

今回取材にご協力いただいたBar Thistleの情報です。

Bar Thistle(バー シスル)

【Bar Thistle】
名古屋のオフィス街・伏見に2019年にオープンしたウイスキーとカクテルに特化したバー。
“Thistle”はスコットランドの国花・アザミを意味し、同国のウイスキーを中心におよそ500本のウイスキーを取り揃える。
カクテルはクラシカルなものから、ミクソロジーの技術を取り入れたものまで多様なスタイルでご提供。カカオニブやエルダーフラワーなどを漬け込んだ自家製ウイスキーも12種類ラインナップし、自家製ポトフやビーフストロガノフなど充実した食事メニューとともに楽しめる。

住所:愛知県名古屋市中区錦2-15-20 三永伏見ビルB1 << MAPをみる >>
営業:16:00〜1:00 土日祝14:00〜23:00 水曜定休 ※時短要請中は営業時間に変更あり
電話:052-228-8869
SNS:[Instagram] [Facebook]
公式HP:https://www.bar-thistle.com/

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著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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