クラフトジンが世界的に盛り上がる中で、ここ日本でもその造り手が急増しています。
北は北海道、南は沖縄と、今や日本全国で造られるようになり、地元の素材などを活かした地域性あふれるジンがたくさん流通するようになりました。
そこで今回の記事では、日本のクラフトジンの造り手を地域別にご紹介。北海道から沖縄まで、合計11の造り手を独自にピックアップし、ジンの特徴なども添えながら、それぞれ簡単にご紹介します!
1. 紅櫻蒸溜所 / 北海道 (9148)
2018年4月、北海道・札幌市の紅櫻公園内に創業した「紅櫻蒸溜所」。こちらで“自由な世界、自由な発想、自由な価値観”という考えのもと造られるクラフトジンが「9148」です。
そうした考えのもと、定番銘柄の「9148 0101」には、北海道の名産品である昆布や干し椎茸、切り干し大根など、ジンのボタニカルとしては珍しい素材が使用されています。
また、ハマナスを軸にした「9148 0104」や、桜を使用した「9148 0396」など定期的に季節限定ボトルもリリースしています。
2. 山本酒造店 / 秋田 (ナイトトラベラー)
日本酒処・秋田の中でも特に高い人気を誇る「山本」などを手がける山本酒造店が、クラフトジン造りを開始。2020年9月に「ナイトトラベラー」をリリースしました。
日本酒の造り手らしく、自社の酒粕をベースとした粕取焼酎をベースに、地元産の桔梗やカミツレ、杉の葉、リンゴなど、秋田ならではの素材を軸に、合計20種類以上のボタニカルを使用し、新たに導入した国産蒸溜器で香りを抽出しています。
吟醸香も感じさせ、“日本酒の延長線上”にあるともいえるジンです。
⇒秋田の銘酒“山本”の造り手がクラフトジン「ナイトトラベラー」を発売!その全貌に迫る
3. 虎ノ門蒸留所 / 東京 (COMMON)
虎ノ門ヒルズ・ビジネスタワーの話題のスポット、虎ノ門横丁内に2020年春に誕生したのが「酒食堂 虎ノ門蒸留所」。
東京のど真ん中で、居酒屋としての顔も持つ都市型蒸溜所で造られるクラフトジン「COMMON」は、“TOKYO LOCAL SPIRITS”をコンセプトとしており、東京の島焼酎をベースとしたジンです。
また、定期的にリリースされる「季節のジン」シリーズでは、これまでにカモミールやみかんの花、それから東京・青梅の梅など、季節を感じさせる素材を活かしたジンが製品化されています。
⇒造り手に聞く – 東京産のジン「COMMON」と「虎ノ門蒸留所」誕生秘話
4. NUMBER EIGHT DISTILLERY / 神奈川 (NUMBER EIGHT GIN)
横浜みなとみらいの新観光スポット・ハンマーヘッド内のレストランバー“QUAYS pacific grill”の店内にある「NUMBER EIGHT DISTILLERY」。2019年秋に誕生した蒸溜所で造られるクラフトジンが「NUMBER EIGHT GIN」です。
同店ではビールの醸造とコーヒーの焙煎も行っていることから、ホップとコーヒー豆もボタニカルとして使用。また、レストランを営業する中で本来なら廃棄されてしまうアボカドの種も活用し、フードロスやサスティナビリティを考慮しながら造られています。
日本でもトップクラスの現役バーテンダーが、開発から製造まで手がけているのも大きな特徴です。
⇒造り手に聞く – レストラン蒸溜所で造られる日本初のジン「NUMBER EIGHT GIN」開発秘話
5. 越後薬草 / 新潟 (80 “YASO” GIN)
新潟県上越市に拠点を置く「越後薬草」は、創業40年の中で、野草の酵素を活かした飲み物や食品などを手がけてきた健康食品メーカーです。
いわば薬草使いのプロであり、その技術と知見を活かしてお酒造りもスタート。よもぎなどの野草を軸に80種の素材からなる「80 “YASO” SPIRITS」をベースに、ジュニパーベリーやジンセンベリーなど23種のボタニカルを加え、香り付けしたのが「80 “YASO” GIN」です。
2020年に誕生したブランドながら、すでに国産クラフトジンの市場で多くのファンを獲得しています。
6. 京都蒸溜所 / 京都 (季の美)
古都・京都に、日本初のジン専門蒸溜所として誕生した「京都蒸溜所」から2016年にリリースされたクラフトジンが「季の美」。すでに世界的な賞を数多く受賞するなど、日本はおろか世界に名を轟かすジンとなっています。
そんな季の美の特徴は、京都らしさにこだわっていること。地元産の玉露や柚子、山椒、生姜など京都の食を彩る素材を使用し、繊細な和の香りを再現。また、伏見の名水を用いている他、歴史を感じさせる唐紙の文様が施されたボトルデザインなど、このジンをとおして京都を感じられる仕上がりとなっています。
⇒「季の美」独占取材!いかにして京都から“世界最高のジン”が生まれたのか?
7. 中野BC / 和歌山 (槙 -KOZUE-)
梅酒や日本酒の製造で全国的に有名な和歌山の「中野BC」。2017年にリリースしたクラフトジン「槙 -KOZUE-」は、和歌山の自然や風土が表現されており、地元の名産である温州ミカンやレモン、山椒に加え、高野槙(こうやまき)の葉をボタニカルとして使用しています。
また、2019年には地元・紀州のスギとヒノキを活かしたウッディなジン「香立 -KODACHI-」もリリース。いずれも、ボタニカルの浸漬や蒸溜には、梅酒造りやアロマの精油造りも手がける中野BCの技術と知見が活かされており、素材の香りがしっかり表現されたジンとなっています。
8. SAKURAO DISTILLERY / 広島 (SAKURAO GIN)
世界遺産・厳島神社がある広島県廿日市に拠点をおく中国醸造が、2017年に創設したスピリッツ&ウイスキー蒸溜所が「SAKURAO DISTILLERY」。
“ジンをとおして広島のことを知ってほしい”という願いが込められた「SAKURAO GIN」は、世界的な品評会でカテゴリー最高賞を受賞するなど、すでに海外からも評価されています。
瀬戸内レモンなど広島産のボタニカルを9種使用しながらも、リーズナブルな価格帯の「ORIGINAL」の他、桜の花や牡蠣の殻など全て広島産の素材で造られるクラフトジン「LIMITED」の2銘柄があります。
⇒広島から世界に羽ばたくジン「SAKURAO」の開発者に聞く、誕生ストーリーと広島へのこだわり
9. 尾鈴山蒸留所 / 宮崎 (OSUZU GIN)
焼酎処・宮崎の中でも「百年の孤独」や「㐂六」などを手がけることで全国的に知られる黒木本店が、別屋である「尾鈴山蒸留所」で、新たな蒸溜設備を導入してウイスキーとジンの製造をスタート。2020年春に誕生したのが「OSUZU GIN」です。
“大地の香水”を目指して造られたジンは、人気の芋焼酎「山ねこ」の原酒をベースに、金柑、日向夏、ゆず、榊(さかき)など地元宮崎の素材を中心とした8種類のボタニカルを使用。なかでも、神棚や祭壇に用いられることで知られる榊は、創業家の先祖が神主だったことにちなんでいるなど、独自のストーリーも有しています。
⇒尾鈴山蒸留所が手がけるクラフトジン「OSUZU GIN」が発売!造り手が語る特徴とこだわり
10. 大山甚七商店 / 鹿児島 (JIN 7)
日本においては、ジン造りに欠かせない蒸溜の設備とノウハウを持つことから焼酎メーカーの参入が多く見られます。そのため焼酎の名産地である九州、特に鹿児島には国産ジンの造り手が集中しています。
温泉で有名な指宿市の海沿いに拠点を構える「大山甚七商店」は2019年夏に「JIN 7」をリリースしてジンの市場に参入。定番銘柄である「series 00」は、自社の芋焼酎をベースに、日本最古のハーブ農園「開聞山麓香料園」でのみ国内栽培される希少なハーブ「芳樟(ほうしょう)」を軸に使用しているのが特徴です。
また、同造り手が呉服屋をルーツとしていることから、ボタニカルのレシピを洋服の品質表示タグに模したラベルに記し、ボトルにあしらわれているのもユニークなポイントです。
11. 瑞穂酒造 / 沖縄 (ORI-GiN 1848)
沖縄にも現在3社ほどジンの造り手がいます。
首里最古の泡盛の蔵元である「瑞穂酒造」は、創業170周年を機に、世界に羽ばたくべくジンの製造をスタート。2018年にリリースされたのが「ORI-GiN 1848」です。
“一口で沖縄の魅力が伝わるクラフトジン”をコンセプトに開発され、さくらの酵母で仕込んだ泡盛をベースに、幻のパイナップルとも呼ばれる西表島産のピーチパインの他、シークヮーサーの葉、ヒハツモドキなど沖縄産のボタニカルが多く使用されています。
“トロピカル&リッチ”な味わいが特徴的なクラフトジンです。
⇒沖縄発トロピカルなジン「ORI-GiN 1848」~ 開発者に聞く、誕生ストーリーとジンに込めたこだわり
⇒国産クラフトジンの造り手インタビュー記事まとめ
⇒ジン好きが選ぶ、まず味わっておきたい「定番クラフトジン」6選
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