今、お酒の世界では、世界的に低アルコールの流れがきています。
健康志向の高まりから、あえてお酒を飲まない選択をする「ソーバーキュリアス」といった言葉がもてはやされるようになるなど、お酒を取り巻く環境は年々変化しているのです。
そんな中で、北米を中心に、若者の間で人気急上昇中のお酒が「ハードセルツァー」。
今の世の中の志向を汲み取った、新しい低アルコール度数の炭酸飲料です。
今回はこのハードセルツァーについて、どんなお酒なのか簡単にご紹介します。
低アルコール・低カロリー?「ハードセルツァー」とは一体?
いつでもどこでもすぐに飲める、ビンや缶に入ったカクテルのような、栓を開けてそのまま飲めるお酒のジャンルを「RTD」と呼びます。
缶チューハイやハイボール缶、最近話題のボトルカクテルなどが代表的ですが、今回ご紹介する「ハードセルツァー」もこのRTDにあたります。
ハードセルツァーとは、アメリカでは炭酸飲料を指す“セルツァー”と、アルコールを指す“ハード”を組み合わせた用語で、簡単にいうと“アルコール入りの炭酸飲料”のことを言います。
一般的にはサトウキビの糖蜜由来のアルコールに炭酸水を加え、フルーツやハーブ、スパイスなどのフレーバーを付与したもの。そのアルコール度数が5度前後と低いことと、低カロリーで低糖質、グルテンフリーなど健康面にも配慮されているのが大きな特徴です。
日本でいう缶チューハイに近いものなのですが、今アメリカなど北米の若者で大きな人気を集めている理由を見るに、少し違った飲料のようです。
ハードセルツァーと缶チューハイの違い
缶チューハイは、主に原料を問わず高度数のアルコール(スピリッツ)をベースに、度数調整しながら炭酸を加え、フレーバーを付与します。
一方でハードセルツァーは、そのベースはサトウキビ由来のアルコールが一般的であるものの、缶チューハイも同じ原料を使用するケースがあることに加え、あとの製法も基本的に同じ。
ハードセルツァーがアルコール入りの炭酸飲料を指すことを考えると、ハードセルツァーと缶チューハイはほぼ同じと言っても良いかもしれません。
しかし掘り下げていくと、いくつか違いがあることがわかります。
まず一つは、ハードセルツァーの大きな魅力でもある“低カロリーで低糖質、グルテンフリー”の商品がほとんどであること。
実は、日本の缶チューハイは、決して低カロリーではなく、ビールと同じくらい糖質も含まれています。
ハードセルツァーと缶チューハイの成分を比較すると以下のとおり。
【100mlあたりの成分比較】
お酒の種類 | カロリー(kcal) | 炭水化物/糖質(g) | たんぱく質(g) |
一般的なビール | 40 | 3.1 | 0.3 |
一般的な缶チューハイ | 52 | 2.9 | 0 |
ハードセルツァー(ニュートラ) | 28 | 0 | 0 |
データ元:食品成分データベース・文部科学省
ハードセルツァーが、いかに低カロリーで低カロリーかがわかります。
こうした成分の違いもあってか、その味わいは甘さ控えめでスッキリしている傾向があるとされ、それも人気の理由の一つなのだとか。
もう一つ。5度前後と、アルコール度数が低いこともハードセルツァーの大きな特徴です。
今、アメリカでは、健康志向が高まっており、特にミレニアル世代(20代前半〜30代後半)を中心とした若者の間では、前述したソーバーキュリアスがもてはやされるなど、お酒の志向がだんだんと低アルコール(またはノンアルコール)にシフトしてきています。
そうした若者の志向を汲み取った商品であるから、人気が急上昇しているのでしょう。
日本の缶チューハイもアルコール度数は同程度ですが、高アルコールのストロング系チューハイが人気を集めていることを踏まえると、ある意味真逆の動きをしているともいえます。
最後にもう一つ、パッケージがスタイリッシュであることもハードセルツァーの特徴として挙げられます。
日本の缶チューハイは老若男女楽しむこともあってか、パッケージはいかにも缶チューハイらしい画一的なものが多いですが、ハードセルツァーは若者に支持されていることもあって、一見するとお酒とは思えないような、シンプルでスタイリッシュなパッケージが多いのです。
SNSでも紹介したくなるようなデザイン性の高さは、若者を多く惹きつける要因になっていると思われます。
日本で楽しめるハードセルツァー
ここまで、缶チューハイと比較しながらハードセルツァーをご紹介してきましたが、残念ながら、今のところ日本にはあまり商品が入ってきていません。
そんな中でも楽しめるのが「ニュートラ」というブランド。
こちらはウォッカをベースとしたハードセルツァーながら、そのベースに用いているのがカナダ産のクラフトウォッカ「NÜTRL Vodka」という、贅沢な商品です。
前述した缶チューハイとの成分比較で数値を参考にした商品であり、低カロリーで糖質ゼロ、グルテンフリー。アルコール度数は5度であり、そのパッケージはかなりシンプルという、いかにもハードセルツァーらしい商品と言えるでしょう。
ハードセルツァーがどんなものか気になる方は、まずは一度試してみては?
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