12年などの年数表記がないウイスキーが増えているワケ

年数表記のないウイスキー

ウイスキーといえば「12年」や「18年」など年数表記があるもの、という認識の方も多いはず。
しかし近年、この年数表記のないウイスキーが増えているのはご存知でしょうか?

各ウイスキー銘柄から続々と新商品がリリースされていますが、おなじみの年数表記がないウイスキーばかりです。
実はこれにはウイスキー業界が抱えるある深刻な問題が関係しています。

本記事では年数表記のないウイスキーが増えている理由とその影響について、わかりやすく解説していきます。

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年数表記のないウイスキーが増えているワケ

年数表記のないウイスキーが増えている理由、それはウイスキーの原酒不足という問題が関係しています。

ウイスキーは樽で熟成させた原酒をブレンドして完成する

どういうことかというと…
まず、ウイスキーは樽熟成させた複数の原酒を、ブレンドさせて(混ぜて)ようやく一つのウイスキーとなります。
この時ブレンドされるのは、ある熟成年数のものだけでなく、12年ものや8年ものなどいくつかの熟成年数の原酒をブレンドされています。
実は、この時使用された最も若い原酒の年数が、ウイスキーのラベルに記され商品名となっているのです。
例えば山崎12年なら、12年以上の原酒だけを使っているということですね。

このブレンドに使用できる原酒が不足しているのです。
原酒そのものが減っているので、年数表記モノのように使用できる原酒に制限があるモノが作りにくくなっているというわけですね。

終売した山崎10年で例えると…
山崎10年には10年以上熟成させた原酒しか使えません。そもそも不足がちだった原酒の中から10年以上の原酒だけを使用しなければならないので、この10年以上の原酒がどんどん無くなっていく。その結果、先を見据えた安定生産・安定供給ができなくなりました。
このような理由があり、山崎10年は終売となり、代わりに年数表記のない「山崎」がレギュラーシリーズとなりました。

この「山崎」は年数表記のないぶん、使用する原酒に縛りがなく、今まで使用することができなかった若い原酒も活用できるというわけですね。

そもそも原酒不足に陥っているワケ

前述にように、ウイスキーは作ってから製品化まで時間がかかるモノ。
1980年から2000年代までの長い間、日本だけでなく世界のウイスキー業界は下火状態でした。
不遇の時代の先が見えない状態で、大量に原酒を作るわけにもいかなかったのです。

2000年代後半になりウイスキーの人気が回復。
しかしウイスキーをたくさん供給させようにも、使用できる熟成原酒の量が少なかったのです。

この問題を解決させるべく注目されたのが「山崎」のように年数表記のないウイスキー、通称NAS(Non age atatement、ノンエイジ・ステートメント)だったのですね。

年数表記がないウイスキー=低級品というのは誤解

ウイスキーがたくさん並べられた棚

年数表記のないウイスキーは、 NASまたはノンエイジ、ノンヴィンテージなどと呼ばれ、使用する原酒に縛りがないことから原酒不足問題を解決できるものとして注目されました。
これだけ聞くと、原酒不足というマイナス要因を背負ったウイスキーと感じるかもしれませんが、そうではありません。

そもそもウイスキーは熟成期間によって質が決まるわけではありません。
ざっくりいうと、NAS(ノンエイジ)はウイスキーの可能性を広げていると言っていいでしょう。

NAS(ノンエイジ)のメリットについても見ていきましょう。

多様な味わいのウイスキーが生まれやすくなる

使用する原酒に縛りがないNASは、若い原酒もフル活用できます。
例えば若い原酒と長期熟成の原酒をブレンドさせることによって、今までになかった味わいのウイスキーが出来上がるかもしれません。
それにウイスキー製造の技術は進歩し続けています。若くても質がよく素晴らしい味わいの原酒を作ること可能になっています。

現に、ブルイックラディやアードベッグなどの銘柄はNASシリーズが多いですが、それぞれに味わいの個性があり、いずれも素晴らしいものとなっています。
ある意味ではNASは現代にあったウイスキーと言えるでしょう。

コスパが良い(値段が安い)

ウイスキーは長期熟成のモノほど、手間がかかるので高価になります。
しかし、若い原酒もフル活用できるNASの場合、年数表記のあるウイスキーより製造コストが抑えられるので値段も安くなる傾向があります。

値段が安いにもかかわらず、全体的に質がよく、ウイスキーの味わいも多様になっているわけですから、コストパフォーマンスが優れていると言えるでしょう。
しかも、原酒の構成が自由なぶん供給も安定しやすくなるので、品切れリスクが少なくなります。

ウイスキー全体としては値上がり傾向にありますが、要因として原料費などの製造コストの高騰だけでなく、実はここにも原酒不足問題が関係しています。
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まとめ

NAS(ノンエイジ)と呼ばれる年数表記のないウイスキーが増えている理由は、原酒不足が関係していたということがわかりました。
しかし、この問題に対処するためだけのモノではなく、NASはウイスキーの可能性を広げ、そこから様々なメリットが生まれていることもわかりました。

年数表記のないNASと、12年や18年などのエイジステートメント、どちらにも特性やメリットがあり、一概に比較することはできません。
まずはご自分の舌で、どちらが好みか、しいてはどんな味わいのウイスキーが好みか、確かめて見てください。

それではこの辺で。
以上、「12年などの年数表記がないウイスキーが増えているワケ」でした。

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小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage代表 / CRAFTGIN.JP共同運営者 / ジンフェスティバル東京 運営事務局] 豊富な現場経験と長年のお酒愛によって、ジンを筆頭にあらゆるお酒の知識を持つ。ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆・編集にも携わる。

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