シングルモルト、バーボン、ライなど…ウイスキー9種の違いを比較解説

ウイスキー各種を比較

幅が広く、とても奥が深いウイスキーの世界。
一言にウイスキーといっても、シングルモルトやブレンデッドウイスキー、バーボンやライウイスキーなど、多種多様なウイスキーがあります。

本記事では、ウイスキーの基礎知識として、世界にはどのような種類のウイスキーがあるのか、それぞれの定義や特徴などをご紹介しながら比較解説していきます。
本記事でご紹介するのは、モルトウイスキー、グレーンウイスキー、シングルモルト、ブレンデッドモルト、ブレンデッドウイスキー、バーボン、テネシーウイスキー、ライウイスキー、シングルポットスチルウイスキーの9種類です。

それでは見ていきましょう。

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モルトウイスキー、グレーンウイスキー、バーボンなど9種類をざっくり比較

まずは表にてそれぞれの特徴をざっくりとご紹介し、その後個別に詳しく解説していきます。

ウイスキーの種類主な原料蒸留方法備考
モルトウイスキー大麦麦芽のみ単式蒸留
グレーンウイスキートウモロコシなど雑穀連続式蒸留
シングルモルト単一の蒸留所で造られたモルトウイスキー
ブレンデッドモルト複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンド、別名ヴァッテッドモルト
ブレンデッドウイスキーモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド
バーボンウイスキートウモロコシ連続式蒸留アメリカのみ
テネシーウイスキートウモロコシ連続式蒸留アメリカ・テネシー州のみ
ライウイスキーライ麦連続式蒸留アメリカのみ(カナダ産は別物)
シングルポットスチル大麦麦芽、大麦単式蒸留アイルランドのみ、別名ピュアポットスチル
単式蒸留と連続式蒸留の違いはこちらの記事で解説しています。
単式蒸留と連続式蒸留の違いとは?

モルトウイスキーとは?

主な原料:大麦麦芽(モルト)のみ
蒸留方法:単式蒸留にて2〜3回(多くの場合2回)
主な産地:スコットランド、日本など
発芽した大麦

発芽した大麦。根を取り除き粉砕して使用する。

By Bapt-francoisOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

モルトウイスキーとは、大麦麦芽(モルト)のみを使用し、単式蒸留器(ポットスチル)で蒸留させたウイスキー。
元々はスコットランドが発祥のウイスキーと言われており、近年はご存知のように日本でも盛んに造られています。
連続式蒸留機と比べ、伝統的でアナログである単式蒸留器(ポットスチル)を用いて2〜3回蒸留を行います。(多くの場合2回)
そのため、原料の風味がよく残り、個性豊かな原酒が出来上がります。

「モルトウイスキー」とはあくまで原酒としての呼び方で、その名で売りに出る事はありません。
例えば、一つの蒸留所で造られたモルトウイスキーなら「シングルモルトウイスキー」に。
複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンドしたものなら「ブレンデッドモルトウイスキー」に。
グレーンウイスキーとブレンドすれば「ブレンデッドウイスキー」として売りに出されます。

グレーンウイスキーとは?

主な原料:トウモロコシ、小麦、大麦麦芽、未発芽大麦など
蒸留方法:連続式蒸留
主な産地:スコットランド、日本など
備考:主にブレンデッドウイスキー用

グレーンウイスキーとは、モルトウイスキーの原料が大麦麦芽だけなのに対し、トウモロコシや小麦、未発芽大麦などを混ぜて使用し、連続式蒸留機で蒸留させたウイスキー。
単式蒸留に比べ、近代的である連続式蒸留機(コラムスチル、パテントスチル)を使用することにより、短時間で大量に、かつ95%前後の高アルコールの原酒を作り出すことが可能になります。
そのため、原料の風味があまり残らない、クリアな原酒が出来上がります。

主にブレンデッドウイスキー用に使用されますが、近年はそのまま商品化されることもあります。
一つの蒸留所で造られたグレーンウイスキーなら「シングルグレーンウイスキー」になります。

主な銘柄

  • 知多(日本)
  • ニッカ・カフェグレーン(日本)
  • グレンダロウ・シングルグレーン(アイルランド)
  • コーヴァル・フォーグレーン(アメリカ)

シングルモルトウイスキーとは?

主な原料:大麦麦芽(モルト)のみ
蒸留方法:単式蒸留にて2〜3回(多くの場合2回)
主な産地:スコットランド、日本、アイルランドなど
備考:単一の蒸留所で造られた(ブレンドされていない)モルトウイスキー

前述のように、一つの蒸留所で造られたモルトウイスキーを商品化したものがシングルモルトウイスキー。
ピートの使用量、単式蒸留器の形状、樽熟成の方法など、様々な要因によって味わいに違いが生まれ、銘柄ごとの個性が強烈なのがシングルモルトの特徴です。
主な産地はスコットランドや日本ですが、最近ではアメリカやアイルランド、その他のウイスキー新興国からもリリースされるようになりました。

甘いフレーバーのものから辛いフレーバーのもの、フルーティーな香りのものからスモーキーな香りのものまで、幅が広く奥が深いのがシングルモルト。
近年ファンは増加傾向にあるものの、ブレンデッドウイスキーやバーボンなどと比べると、マーケットはまだまだ小さいのが現状です。

主な銘柄

  • グレンモーレンジィ(スコットランド・ハイランド)
  • マッカラン(スコットランド・スペイサイド)
  • グレンフィディック(スコットランド・スペイサイド)
  • グレンリベット(スコットランド・スペイサイド)
  • ラフロイグ(スコットランド・アイラ島)
  • ボウモア(スコットランド・アイラ島)
  • 山崎(日本)
  • 白州(日本)
  • 余市(日本)

ブレンデッドモルトウイスキー(ヴァッテッドモルトウイスキー)とは?

主な原料:大麦麦芽(モルト)のみ
蒸留方法:単式蒸留にて2〜3回(多くの場合2回)
主な産地:スコットランド、日本など
備考:複数の蒸留所で造られたモルトウイスキーをブレンドしたもの

ブレンデッドモルトウイスキーとは、シングルモルトが一つの蒸留所のモルトウイスキーであるのに対し、複数の蒸留所のモルトウイスキーをブレンド(混ぜる)したものを指します。
複数の蒸留所の原酒をブレンドすることにより、シングルモルトと比べ個性の主張は控えめにはなり、やや飲みやすいものが多い傾向にあります。

以前はヴァッテッドモルトなどと呼ばれていましたが、今はブレンデッドモルトと呼ぶ方が一般的です。

主な銘柄

  • イチローズモルト・ダブルディスティラリーズ(日本)
  • 竹鶴(日本)
  • オールド・パー18年(スコットランド)
  • モンキーショルダー(スコットランド)
  • ジョニーウォーカー・グリーンラベル(スコットランド)

ブレンデッドウイスキーとは?

主な原料:−
蒸留方法:−
主な産地:スコットランド、日本、アイルランドなど
備考:モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドしたもの

ブレンデッドウイスキーとは、モルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンド、つまり混ぜ合わせたもので、主にスコットランドや日本で造られています。
ブレンドの比率は、一般的なブレンデッドウイスキーでモルトウイスキー40%、グレーンウイスキー60%。高級品となるとモルトウイスキーが多く使用される傾向があります。
このようにブレンドすることで、万人受けするような、飲みやすい味わいのウイスキーとなっています。

市場に出回る多くのスコッチや日本のウイスキーはこれにあたり、スコッチに限っては、全スコッチの92%がこのブレンデッドウイスキーだと言われています。

主な銘柄

  • 角(日本)
  • 響(日本)
  • 富士山麓(日本)
  • シーバスリーガル(スコットランド)
  • ジョニーウォーカー(スコットランド)
  • バランタイン(スコットランド)

バーボンウイスキーとは?

主な原料:トウモロコシ(51%以上)、大麦、ライ麦、小麦
蒸留方法:主に連続式蒸留(一部単式蒸留も)
主な産地:アメリカ(主にケンタッキー州)
備考:内側を焦がした新樽で熟成

バーボンウイスキーとは、アメリカで造られる「アメリカンウイスキー」の一種。
アメリカンウイスキーのなかでも、トウモロコシを51%以上(つまり原料比の半分以上)使用し、なおかつ内側を焦がした新樽で熟成させたものを指します。
アメリカ内陸部の気候と、内側を焦がした新樽を用いるという他のウイスキーにはない決まりがあることによって、熟成が早く進み、パワフルな味わいのウイスキーが出来上がります。

なお、全バーボンの95%近くはケンタッキー州産(※)となっていますが、近年はクラフトウイスキーのブームによりアメリカ各地で造られるようになっています。

※ウイスキーガロアVol.3より

主な銘柄

  • ジムビーム(ケンタッキー州)
  • フォアローゼズ(ケンタッキー州)
  • ワイルドターキー(ケンタッキー州)
  • バッファロートレース(ケンタッキー州)
  • ブラントン(ケンタッキー州)
  • ブッカーズ(ケンタッキー州)
  • コーヴァル(イリノイ州)
バーボンウイスキーについて詳しくはこちらの記事で解説しています。
バーボンウイスキーの定義解説〜他のウイスキーとの違いを知る

テネシーウイスキーとは?

主な原料:トウモロコシ(51%以上)、大麦、ライ麦、小麦
蒸留方法:主に連続式蒸留
主な産地:アメリカ・テネシー州のみ
備考:バーボンに木炭濾過工程を加えたもの

テネシーウイスキーもアメリカンウイスキーの一種。
テネシー州産で、なおかつバーボンウイスキーに木炭ろ過を加えたものを指します。
木炭ろ過はチャコールメローイング製法とも言われ、サトウカエデの木炭をぎっしり敷き詰めたろ過槽で時間をかけてろ過することで、甘くクリアな風味となります。
世界一売れているアメリカンウイスキーである「ジャックダニエル」は、実はバーボンではなくテネシーウイスキーです。

主な銘柄

  • ジャックダニエル
  • ジョージディッケル

ライウイスキーとは?

主な原料:ライ麦(51%以上)、トウモロコシ、大麦、小麦
蒸留方法:主に連続式蒸留
主な産地:アメリカ産
備考:内側を焦がした新樽で熟成、カナダのライウイスキーとは異なる

ライウイスキーのアメリカンウイスキーの一種。
ライ麦を51%以上使用し、内側を焦がした新樽で熟成させたものがライウイスキーです。
一般的には未発芽のライ麦が使用され、発芽させたライ麦麦芽を使用したものはライモルトウイスキーとなります。
バーボンよりややスパイシーな味わいが特徴です。

カナダ産にもライを使用したウイスキーがありますが、これとは全く定義の異なるウイスキーです。

主な銘柄

  • オールド・オーヴァーホルト(ケンタッキー州)
  • ジムビーム・ライ(ケンタッキー州)
  • ワイルドターキー・ライ(ケンタッキー州)
  • テンプルトン・ライ(アイオワ州)

シングルポットスチル(ピュアポットスチル)ウイスキーとは?

主な原料:大麦麦芽、未発芽麦芽
蒸留方法:単式蒸留で3回
主な産地:アイルランドのみ
備考:アイルランド産

アイルランドのウイスキーのなかでも、最も伝統的と言われるのがこのシングルポットスチルウイスキー。
アイリッシュウイスキー独特のもので、大麦麦芽だけでなく未発芽の大麦も使用し、単式蒸留で必ず3回蒸留を行います。
こうすることで、スコッチのシングルモルトよりライトながらも、穀物のフレーバーがしっかりしており、独特のオイリー感があるのが特徴です。

近年、アイリッシュウイスキーの復活とともに注目されているウイスキーです。

主な銘柄

  • グリーンスポット
  • イエロースポット
  • レッドブレスト
シングルポットスチルウイスキーについてはこちらの記事でも解説しています。
アイリッシュウイスキーが今アツい!定義や特徴、銘柄をおさらい
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まとめ

ここまでウイスキー9種類の定義や特徴などをご紹介してきました。

ご紹介にあるようにそれぞれの種類によって、原料が違えば蒸留方法、そして産地やスタイルも違うという、この多様性こそがウイスキーの魅力と言えるでしょう。
本記事では、ウイスキーの「種類」をテーマとしましたが、他にも、例えば「国」をテーマにすれば各国ウイスキーの定義が異なり、ウイスキーの味わいやスタイルが異なります。
このようにとても奥が深く、知的好奇心をくすぐるのがウイスキーの世界でもあります。

もしもウイスキー初心者の方であれば、まずはこれらのウイスキーをまんべんなく試してみると良いかもしれません。
きっとどの種類が好みなのか、はっきりわかってくることでしょう。

それではこの辺で。

【参考文献】
改訂世界ウイスキー大図鑑|柴田書店 監修・チャールズ・マクリーン
ウイスキー完全バイブル|ナツメ社 監修・土屋守

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小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPageオーナー / GINfest.TOKYO運営メンバー] 豊富な現場経験や長年のお酒愛によって、ジンを筆頭にあらゆるお酒の知識を持つ。

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