世界的なジンのムーブメントを発端に、ここ日本でも国産のクラフトジンが続々と誕生しています。
自由な発想や独自のアイデンティティーで造られるクラフトジンの中でも、その地域ならではの特産品をボタニカルとして用いる傾向が強い日本のジンは、日本人の舌に合いやすいのが特徴です。
今回は、アジア最大級のジンイベントの運営メンバーやジン専門書籍のライターなど、これまで数多くのジンのプロジェクトに携わってきたジン愛好家でもある筆者・小針真悟が、国産クラフトジンの中から、ジン初心者の方にもオススメのブランドを4つに厳選しピックアップ。
それぞれ特徴など基本的な情報を添えて簡単にご紹介します。
ベースとなるスピリッツに、ジュニパーベリーの他、ハーブや果皮、スパイスなど香りづけのボタニカルを複数種加え蒸溜される、華やかな香りが魅力のお酒。
1. 季の美
2016年10月にリリースされた、日本のクラフトジンのパイオニア的ブランドであり、王道の一つとして知られる「季の美」。
ジンの本場イギリスの専門家と、日本の専門家によるチームが、「(素材の宝庫である)京都なら最高のジンが造れるかもしれない」として創設した京都蒸溜所で製造。世界でも最も権威ある酒類コンテスト(IWSC 2018)での最高賞受賞など、今や世界的なジンブランドへと成長しています。
「まず最高のジンを造ってみよう、コストはその後」として開発が進められた季の美には、日本らしく米のスピリッツをベースに使用。「京都で造る意味」にもこだわっており、ボタニカルには玉露(茶葉)やゆず、山椒、生姜など京都産の素材をふんだんに使用し、和のエッセンスを与えています。
柚子を主体とした華やかな香りに玉露など奥ゆかしい香りが調和しており、ジン&トニックの他、シンプルな水割りやお湯割りにもピッタリな、まろやかな口当たりが特徴です。
⇒「季の美」独占取材!いかにして京都から“世界最高のジン”が生まれたのか?
2. ORI-GiN 1848 / オリジン1848
首里最古の泡盛の蔵元である瑞穂酒造が、創業170周年を機に、世界に羽ばたこうとジンの製造をスタート。2018年にリリースされたのが「ORI-GiN 1848」です。
「一口で沖縄の魅力が伝わるクラフトジン」をコンセプトに開発され、ほのかにトロピカルで澄んだ味わいが特徴の、さくらの酵母で仕込んだ泡盛をベースに使用。また、幻のパイナップルとも呼ばれる西表島産のピーチパインの他、シークヮーサーの葉、ヒハツモドキなど沖縄産のボタニカルが多く使用されています。
「トロピカル&リッチな味を目指し、他社のジンも含め成分分析をしながら仕上げた」というジンの味わいはまさにその狙い通り。ジンらしいジュニパーの香りがありながらも、温かい風を浴びながら飲みたくなるようなトロピカルなフレーバーが魅力の一本です。
味がしっかりしているため、ジン&トニックの他、ソーダ割りやオンザロックもオススメです。
3. SAKURAO GIN / 桜尾ジン
世界遺産・厳島神社がある広島県廿日市に拠点をおく中国醸造が、2017年に新たに創設したSAKURAO DISTILLERYで造られる「SAKURAO GIN」。
「ジンをとおして広島のことを知ってほしい」という願いが込められたこのジンには、広島の素材が活かされています。
瀬戸内レモンや柚子、緑茶など広島産のボタニカルを9種使用しながらも、リーズナブルな価格帯で販売される「ORIGINAL」の他、日本では中々手に入らない国産のジュニパーの他、桜の花や牡蠣の殻など全て広島産の素材で造られるプレミアムな「LIMITED」の2銘柄で展開。
どちらも伝統的なロンドンドライジンを見本としており、特にORIGINALは、ジンらしさがしっかり感じられながらも、和柑橘の香りも活きているのが特徴です。
「ジン&トニックにして美味しいジンを目指した」という開発者の言葉通り、ジン&トニックはオススメ。LIMITEDはオンザロックやシンプルな水割りでも良いでしょう。
4. KOMASA GIN / 小正ジン
焼酎の一大産地・鹿児島で130年以上酒造りに励んできた小正醸造が、長年培ってきた蒸溜の技術を活かすべく始めた洋酒づくりのプロジェクトの一環として、2018年にリリースした「KOMASA GIN」。
小正醸造は、鹿児島の酒蔵としては珍しく芋ではなく米焼酎造りに歴史があり、それゆえこのジンのベースには米焼酎を使用。鹿児島の冬を彩る世界最小のみかんともされる桜島小みかんをボタニカルの軸に造られています。
その特徴は、なんと言ってもみかんの香り。伝統的なジンとは少し異なりますが、爽やかで甘やかな優しい香りと米由来のまろやかな口当たりは、飲み手を選ばない傾向にあり、ジンを飲み慣れていない方や女性にも評判のブランドです。
爽やかにジン&トニックで、また、冬はお湯割りにしてみかんの香りでホッと一息着くのも良いでしょう。
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