普段私たちが飲んでいるウイスキーは、どのようにしてその味わいになっているのか、ご存じですか?
「ウイスキーだから樽熟成の影響が大きい…?」
たしかにそれも大きな要素ですが、味わいを決める上では最も重要な工程とも言えるのが「ブレンド」です。
数多ある原酒からレシピを構成し、混合することで狙った味わいにする調整するという、製品として安定させる上でも重要な工程なのです。
ブレンドを担うブレンダーは、ウイスキーに関する役職の中でも花形ともされていますが、そんな憧れの役職をプロによるサポートのもと体験できる企画が始動します。
滋賀県長浜市にある国内有数の小規模蒸溜所であり、シングルモルト「長濱」やブレンデッドウイスキー「AMAHAGAN(アマハガン)」などを手がけることで知られる長濱蒸溜所が、ウイスキーのブレンド体験を専門とした『長濱ウイスキーラボ』を設立。
そこで当記事では、同企画の取り組みについて、実際に先行体験した感想なども踏まえてご紹介します。
長浜市と東京にラボを開業予定、未だかつてないウイスキーブレンドの専門店
良い製品ほど香味が複雑になるとされているウイスキー。
それぞれ微妙に異なる原酒を駆使しながら香味を緻密に設計し、リリースごとの中身のブレをなくすように均一にブレンドする人こそがブレンダーです。
本来は卓越した嗅覚とセンス、そして長年の経験を要する役職であり、誰でもなれるわけではありません。
そのブレンダーになったつもりでウイスキーのブレンドを気軽に楽しめるのが『長濱ウイスキーラボ』です。
同企画では、長濱蒸溜所の専属スタッフ付き添いのもと、ブレンドの魅力を知りながら、世界でひとつだけのMyウイスキーを作ることができるという、ウイスキーラバーにはとても魅力的な企画となる予定です。
その拠点を構えるのは2箇所。
1つは地元長浜市の閉校した小学校を活用した「AZAI FACTORY」
長濱蒸溜所はかねて同校を貯蔵庫として活用しており、その中に近々『長濱ウイスキーラボ』を設ける予定とのことです。
2つ目は、まだ場所は決まってはいないものの、東京都内に出店予定とのことで、首都圏在住の方も楽しめるようになります。
実は長濱蒸溜所では以前より、月に一度、実際に目で見て触れて、製造工程を体験できる「蒸溜体験ツアー」を行っており、とても好評だったとのこと。
ウイスキーの魅力を少しでも多くの方に伝えたいとの想いから、 新たなチャレンジとして立ち上げたのが『長濱ウイスキーラボ』なのです。
体験するとわかるウイスキーの奥深さと楽しさ
筆者は先日、同企画のオンライン先行会を体験したのですが、内容的にはウイスキーラバーはもちろん、ビギナーの方も楽しめるものでした。
オンラインということで、使用するのは事前に送付された原酒とキット。
中身はというと、長濱蒸溜所製のモルトウイスキーの原酒と、海外製のモルトウイスキー2種(5年と8年)、そして同じく海外製の3年熟成のブレンデッドウイスキーの合計4本。
それに加えて、ブレンド用ということ専用のスポイトとグラス、ブレンドレシピを記入するシートもセットになっていました。
先行会では、長濱蒸溜所のブレンダーである屋久さんが講師となり、ウイスキーのブレンドの魅力やノウハウなどが語られた後に、実際に自分自身でブレンド。
とはいえ、すぐさま実践に移るわけではなく、まずは4本の原酒をテイスティングし、それぞれの個性を知ることが先です。
料理と同じように、食材の個性、ひいては原酒の個性を把握しないことには良いレシピが作れないからです。
ブレンドに際しても、いきなり自分でレシピを考案するわけではなく、予め考案されたレシピに沿って自分の手でブレンドするという流れ。
そうすることで、ブレンドによって原酒がどのように変化していくのか分かる上、レシピの意図も教えてもらえるため、オリジナルレシピ考案の際のヒントになります。
そうした段階を踏んで、いよいよオリジナルレシピを作成することになるのですが、まずは最初にテーマ決め。
今回のテーマは「ハイボールに合うライトタイプのウイスキー」ということで、それがどういった味わいのウイスキーなのか自分なりに考えてみてから、4種類の原酒を駆使してレシピを考案、ブレンドしていきます。
実際にブレンドしてみると分かるのが、ほんのわずかでもレシピが変わるだけで仕上がりが異なってくるウイスキーの奥深さ。
品質の高い原酒だけを使えば良いわけでも、熟成年数が長い原酒を使えば良いわけでもなく、目指すべき味わいのためにどういった原酒が必要なのかが重要であり、原酒単体では決して状態が良いと言えないものや個性は強すぎるものでも活用することがあるそうです。
個性が様々な原酒を活かしながら、緻密なレシピ設計によって一つの製品が出来上がっていることを知ると、今後、ウイスキーの味わい方も変わってきそうです。
自分好みのウイスキーを作れるのがブレンドの魅力
前述したように、本来は特別な技術を要するウイスキーのブレンド。
それを気軽に体験しながらも奥深さに触れられるのが『長濱ウイスキーラボ』と言えるでしょう。
自分の鼻と舌を頼りに一つの作品を仕上げていくのは、とても楽しく、やりがいも感じられるもの。
一方で屋久さんは「自分好みのウイスキーを仕上げられるのがブレンドの醍醐味」と語り、同企画では楽しみながら自分に合ったオリジナルのウイスキーを作ってみてほしいとのことでした。
そんな『長濱ウイスキーラボ』の取り組みですが、先日実施されたクラウドファンディングでは、目標を大きく上回る支援が集まり、その注目度の高さがうかがえました。
また、LiquorPageでも何度か登場いただいている日本に10人しかいないマスター・オブ・ウイスキーの一人であり、新宿ウイスキーサロンのオーナーバーテンダーである静谷和典さんとともにブレンドを体験できる企画も予定しているそうで、ラボの開業を待てない方はこちらに参加してみても良いかもしれません。
詳細
【マスター・オブ・ウイスキーとブレンディング体験】
会場:新宿ウイスキーサロン
講師:静谷和典、屋久佑輔
日時:2022年1月15日(土) ①14-15時 ②16-17時
価格:30,000円(税込) ※定員(各回16名)に達し次第販売終了
プロジェクトを記念してボトリングされた特別なシングルモルト長濱(500ml)の特典付き
【長濱蒸溜所】
住所:滋賀県長浜市朝日町14-1
公式HP:https://www.romanbeer.com/whisky/
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