ジャパニーズクラフトジン「ROKU」 〜 開発者に聞く、誕生までのストーリーと込められたこだわり

炊き合わせ

炊き合わせのように、細部にこだわり仕上げるものこそジャパニーズクラフトだという

– ROKUには和食のような細やかさが反映されているということですか?
鳥井:
はい。そのまま愚直に造ると、アルコールで抽出されるものしか出てきませんし、私たちが(各素材を)味わった時に感じるリアルとはちょっと違うものになってしまうかなと。
素材ごとに条件を分けて蒸溜し、そうした色々なパーツを組み合わせて再構築することで、立体感が出てふくらみが生まれると思っています。

柚子や桜の香りが強いジンを造りたかったわけではなく、日本の“ニュアンス”があるジンを造りたかった

– ROKUといえば6つの和素材が特徴的ですが、なぜ6つなのですか?
鳥井:
当初は菊やすだち、わさびやほうじ茶なども検討しましたが、日本的でありながらも、できるだけ香味のバランスが良く、できるだけシンプルに選んだのが6つの和素材でした。(桜の花、桜の葉、柚子、山椒、玉露、煎茶)
6つと聞くと少ないと感じるかもしれませんが、多くすればするほどふくらみこそ生まれますが、何が何だかわかりにくくなる。それぞれのボタニカルがギリギリ感じられる範囲でした。
(ジンとして仕上げるためにジュニパーベリーやアンジェリカなど8つの素材もブレンド)

ROKUに使われる6つの和素材

ROKUに使われる6つの和素材

– 素材の個性が活きるということですね?
鳥井:
ただ、柚子や桜の香りが強いジンを造りたかったわけではありません。
全体で日本のニュアンスを感じてもらえるようなジンが目標だったので、香りが日本の四季にまたがっていることなど、そうした背景も含めて日本を感じてもらえるように造りました。
なので日本の素材を使ってるからジャパニーズジンという考えではなく、あくまで日本のニュアンスがあるジンということですね。

– 最終的にはROKUはどんなジンになったと思いますか?
鳥井:
ROKUにはジャパニーズらしい優しいニュアンスやほんのりとした甘みがあり、今までになかったタイプのジンだと感じています。
例えば玉露の少しクリーミーな感じですとか、桜や柚子のほんのりとした甘さなどを特徴として持たせたのですが、ただそれだけではどんどんジンから外れていく…だからこそ山椒でちょっとエッジを効かせたりとか、そういった調節もされています。
開発当時は、(ジンの本場)ロンドンと日本のバーテンダーに「これはジンの範疇か、これは日本的か」と何度も聞いて回っていたのですが、両国では感受性も違ったことから調整が大変でした。

ROKUのボトル

ROKUのボトル

ジンは夢の一つ

– どんな飲み方をオススメしたいですか?
鳥井:
私はジンのソニック(ソーダとトニックを半々)のようなちょっとドライなジン&トニックか、ギムレットとホワイトレディをよく飲みますが、オススメしたいのは、氷を一つだけ入れてそれ溶かしながら味わっていただく飲み方。
アルコール度数の変化による香りの変化によってROKUの特性が分かってくると思います。
それと1:5のソーダ割りもおすすめしています。
もう少し濃い方が良いと思われるかもしれませんが、香りの立ち方が程よいし、食中酒としてもぴったりです。

– 最後に、長年ジンに思いを馳せ、そしてROKUの開発を担当した鳥井さんにとって“ジンとは何”ですか?
鳥井:
夢の一つですね!
実は、1999年の弊社の創業100周年の際、それぞれの夢を掲げるという取り組みがあって、その時に「いつか和名のジンを飲みたい」と書いていたのですよ。
この夢を実現させるために欠かせないツールがジャパニーズジンだったというわけです。
それで今、ROKUです。
今では海外でも飲めるようにもなっていますし叶ったことにはなるのでしょうけど、何気なく行った海外のリゾートにまで置いていただいていたりすると本物だと思っていまして、次の夢はそれかなと思ってます。

ジンについて語る鳥井さん

鳥井さんにとって、ジンとは夢のひとつだという

– インタビューにご協力いただきありがとうございました!

まずは味わってみては?

1981年の高価格帯ジンの発売〜終売を一つの契機として、長年鳥井さんが思い描いていたものが形となった「ROKU」。
80年に及ぶサントリー社のジンの歴史において、ジャパニーズクラフトとして和食のように細部までこだわり抜かれた集大成のジンとも言えるでしょう。

まだROKUを未体験の方、まずは一度味わってみては?

固定ページ:
1

2

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

関連記事

  1. Amazonで人気のジン・クラフトジンランキングTOP12 [2021-8月版] Amazonで人気のジン・クラフトジンランキングTOP12 [2…
  2. 焼酎を使って造られている日本のクラフトジン12銘柄まとめ 焼酎を使って造られている日本のクラフトジン13銘柄まとめ
  3. 割材こそが重要?ナチュラル志向の飲料ブランド「フィーバーツリー」を徹底解説 割材こそが重要?ナチュラル志向の飲料ブランド「フィーバーツリー」…
  4. ジンってどんなお酒? ジンとはどんなお酒?定義や特徴、種類など基本をざっくり解説
  5. ジン&トニックの付け合わせ、ライムはもう古い?海外では“あの”フルーツが人気! ジン&トニックの付け合わせ、ライムはもう古い?海外では…
  6. クラフトジンで有名なお店・グッドミールズショップ クラフトジンで有名な「グッドミールズショップ」に行ってきた
  7. ジン・急増のワケ なぜ今ジンの銘柄数が急増しているのか?
  8. トニックがない場合どうする?ジンを家でもっと気軽に楽しむ方法 トニックがない場合どうする?ジンを家でもっと気軽に楽しむ方法

おすすめ記事

国産ジンの造り手21社が新潟に集い、唯一無二のジンを創る「DistiRally NEXT 2024」始動! 国産ジンの造り手21社が新潟に集い、唯一無二のジンを創る「DistiRally NEXT 2024」始動!

この度、当メディア(LiquorPage)、および洋酒専門の酒販店・株式会社千雅は、国産ジンが造り手…

「ボンベイ・サファイア」が仕掛けるお酒の枠を超えたクリエイティブな表現とは?〜上海イベント取材 「ボンベイ・サファイア」が仕掛けるお酒の枠を超えたクリエイティブな表現とは?〜上海イベント取材

美しく輝くブルーのボトルが印象的なジン「ボンベイ・サファイア」日本でも広く親しまれている人気のジ…

広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催! 広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催!

水の都として世界的に知られるイタリアのベネチア市、そして中国地方最大の都市・広島市が友好協力関係にあ…

人気の記事

  1. あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表 日本酒版パーカーポイント
  2. ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介 ジャパニーズ・クラフトジン
  3. 日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ クラフトジンとは?
  4. ウイスキー世界売り上げランキングTOP20 世界ウイスキー売上ランキング
  5. 世界一売れているビールは?2015年世界シェアTOP10を発表! 世界一のビールは?

新着記事

関連記事

PAGE TOP