焼酎といえば、ロックや水割り、お湯割りなどで楽しむイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。近年ではソーダ割りも、幅広いシーンで親しまれるようになっています。
一方、バーシーンに目を向けると、焼酎をベースにした個性豊かなカクテルを見かけることも、今では珍しくなくなりました。
新しいアプローチで造られる焼酎や、バーテンダーが開発に携わるブランドの登場、焼酎カクテルを楽しめるイベントの開催など、その動きはさまざま。
今回は、そんな焼酎カクテルの魅力と、国内外のバーシーンで起きている新たな動きをご紹介します。
芋焼酎なのにライチや柑橘の香り?多彩な焼酎の個性
焼酎と一口に言っても、その種類は実にさまざま。芋、麦、米、黒糖などの原料はもちろん、麹や酵母、蒸溜方法などによっても香りや味わいは大きく変わります。
なかでも近年、注目したいのが、華やかな香りを持つ個性的な焼酎です。
例えば、濵田酒造の芋焼酎「だいやめ〜DAIYAME〜」。独自の熟成技術によって香りを引き出した「香熟芋」を使用し、ライチを思わせる香りを実現しています。
また、国分酒造の「flamingo orange(フラミンゴオレンジ)」も、オレンジを思わせる香りが特徴的な芋焼酎。「鹿児島香り酵母1号」を使用するなど、造り方にも工夫が見られます。

フラミンゴオレンジはラベルデザインもコンセプトに合わせている
どちらも香りの個性が際立っており、焼酎を飲み慣れていない人にも、その特徴がわかりやすく伝わるようなインパクトがあります。
一方、焼酎の新たな魅力を引き出すため、商品開発に独自のアプローチを取り入れる造り手もいます。
若潮酒造の「GLOW」は、エピソードごとに異なるテーマを掲げ、製法などの詳細を非公開にすることで、先入観にとらわれず焼酎を楽しむことを提案するシリーズです。
松露酒造の「Colorful」は、異なる品種や製法の芋焼酎をブレンドし、香味の多様性を追求するシリーズ。炭酸割りやお湯割りだけでなく、カクテルのベースとしての使用も提案しています。
こうした個性豊かな焼酎は、カクテルの材料としても興味深い存在です。フルーツやハーブ、その他のお酒と組み合わせるだけでなく、焼酎そのものの香りや味わいを主役にするなど、楽しみ方はさまざま。焼酎の種類によって異なる個性を、カクテルを通じて楽しんでみるのも面白そうです。
造り手とバーテンダーが一緒に焼酎を造る時代に
近年、焼酎の造り手とバーテンダーが共同で商品を開発する取り組みも見られます。
その代表例が、2020年に発売された「The SG Shochu」です。
世界的に活躍するバーテンダー・後閑信吾氏が率いるSG Groupと、熊本の高橋酒造、鹿児島の薩摩酒造、大分の三和酒類が共同開発した焼酎ブランド。
KOME(米)・IMO(芋)・MUGI(麦)の3種類を展開し、カクテルでの使用を主な目的として開発されました。
アルコール度数は、一般的な本格焼酎よりも高い38〜40度に設定。ジンやラム、ウォッカなど、カクテルのベースとして広く使われるスピリッツと同程度の度数にすることで、ほかの材料と組み合わせても焼酎の個性を生かせるよう考えられています。
そのSG Groupが2024年に東京・丸の内にオープンしたのが「The SG Tavern」です。焼酎をはじめとする日本のお酒を使ったカクテルを楽しめるお店として親しまれています。
造り手がお酒を造り、バーテンダーがそれを使う。それだけでなく、双方の知識や経験を持ち寄って、一つの商品を生み出す。
こうした取り組みも、焼酎の可能性を広げるきっかけになっています。
イベントで広がる焼酎カクテルの輪
焼酎カクテルへの関心は、特定のバーやバーテンダーだけにとどまりません。
2026年2月には、宮崎県主催の焼酎カクテルイベント「TOKYO MIX UP WEEK」が開催され、東京都内を中心に約60店舗のバーが参加しました。
宮崎県が継続的に展開してきた「SHOCHU Mix Up」の一環として開催されたこのイベントでは、各店舗が宮崎の本格焼酎を使ったオリジナルカクテルを提供。これまでの取り組みで生まれた焼酎カクテルは、累計1,000種類を超えるといいます。
期間中は、焼酎の造り手を招いたイベントや、国内外のゲストバーテンダーによるイベントなども開催されました。

尾鈴山蒸留所の山猿を使ったカクテル
こうした取り組みからも、造り手やバーテンダーを通じて焼酎の新たな魅力に触れる機会が広がっていることがうかがえます。
三和酒類の麦焼酎「iichiko彩天」は、もともと米国のカクテル市場で展開されていたブランド。2025年6月より日本でも発売され、大規模なカクテルコンペティションをはじめ、さまざまなバーイベントを通じてその魅力を発信しています。
同年9月にはイタリアのリキュール「カンパリ」とのコラボレーションも実施。焼酎とカンパリを組み合わせたネグローニなど、新しいカクテルの提案も行われました。

いいちこ彩天とカンパリを使った「麹ネグローニ」
こうした国内外での取り組みを通じて、焼酎を使ったカクテルに出会う機会も増えています。これまで焼酎にあまり馴染みがなかった人にとっても、その魅力を知るきっかけになりそうです。
進化系のお茶割りから本格カクテルまで、焼酎をもっと自由に
焼酎の楽しみ方に新たな広がりが見られるのは、カクテルだけではありません。
例えば、居酒屋などでも親しまれている焼酎のお茶割り。近年では、茶葉の種類や抽出方法にこだわり、焼酎との組み合わせを追求するお店も登場しています。
一方、バーでもお茶を取り入れた焼酎カクテルが提供されています。単に焼酎をお茶で割るだけでなく、茶葉の香りや味わいを生かし、ほかの材料と組み合わせることで、より複雑な味わいを表現できるのも魅力です。
もちろん、焼酎を使ったカクテルは、自宅でも気軽に楽しめます。例えば、好みの焼酎をソーダやトニックウォーターで割ったり、柑橘類やハーブを加えたり。いつもの焼酎も、ちょっとしたアレンジで違った表情を見せてくれるかもしれません。

そして、バーでバーテンダーの技術や発想が詰まった焼酎カクテルを味わうのもおすすめです。次にバーへ行った際には、焼酎を使ったカクテルがないか、バーテンダーに聞いてみてはいかがでしょうか。
普段から焼酎を飲んでいる人も、あまり馴染みがない人も、思いがけないお気に入りの一杯に出会えるかもしれません。
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