メキシコのお酒といえば、まずテキーラを思い浮かべる方が多いでしょう。
そんなテキーラと同じく、アガベという植物から造られる「メスカル」をご存じでしょうか?
日本では数年前まで、知る人ぞ知る存在だったメスカル。
しかし最近は、アガベスピリッツ(アガベを原料とした蒸溜酒)を揃えるバーやメキシカンレストランなどで、楽しむ機会が広がってきています。
2026年10月18日に東京・天王洲で開催された「メスカルの日」の記念イベントには、過去最多となる300名超が来場し、大盛況となりました。
では、メスカルの何が面白いのでしょうか?
日本の本格焼酎にも通じる地酒としての背景と、日本での広がりをご紹介します。
本格焼酎にも通じる、メキシコのローカルスピリッツ
メスカルは、アガベ、和名でリュウゼツランを原料とするメキシコの蒸溜酒。
現地では「マゲイ」とも呼ばれるこの植物を加熱し、発酵、蒸溜して造ります。

メスカルには、さまざまな種類のアガベが使われる
その面白さをイメージするうえで、身近な存在が、芋焼酎に代表される日本の本格焼酎です。
原料も製法も異なりますが、土地に根づき、地域の暮らしとともに受け継がれ、蔵や造り手ごとの個性を楽しめる点には、通じるものがあります。
メスカルにも、メキシコ各地の村で造られ、祭りや祝い事、家庭で親しまれてきた歴史があります。
いわば、メキシコのローカルスピリッツ、地酒といえるでしょう。
芋の品種や蔵の違いに興味を持って焼酎を選ぶように、メスカルも、原料や土地、造り手を知ることで、選ぶ楽しみが増えていきます。
原料や造り手を知るほど、飲み比べが面白くなる
テキーラにはブルーアガベという特定のアガベが使われますが、メスカルにはさまざまな種類のアガベが使われます。
複数種を組み合わせて造るものもあり、原料の選択が幅広いことが特徴です。
もちろん、原料の種類の多さが、お酒の優劣を決めるわけではありません。
テキーラにもメスカルにも、土地や造り手による個性があります。

日本でも多彩なメスカルが流通し、選択肢が広がっている
気に入った一杯と同じアガベを使う、別の造り手のメスカルを試してみる。
あるいは、同じブランドで、異なるアガベを使った銘柄を飲んでみる。
そんなふうに比較すると、自分の好みも探りやすくなります。
原料だけでなく、造り方にも違いがあります。
伝統的な製法では、アガベを地中の窯で蒸し焼きにし、石臼や大槌などで砕いてから発酵、蒸溜。
発酵に使う容器もさまざまで、蒸溜器には銅製のほか、粘土製のものを使う造り手もいます。
飲んで気に入った一本から、その造りを知り、別の一本へと飲み進めていく。
知るほどに飲んでみたいものが増えるところは、お酒好きにとって大きな魅力でしょう。

伝統的なメスカルの酒器「ヒカラ」
スモーキーさだけでは語れない、香りと味わいの幅
メスカルというと、スモーキーな香りを思い浮かべる方もいるかもしれません。
実際、煙を思わせる香りを持つブランドや銘柄は多く、その背景には、地中の窯でアガベを加熱する伝統的な製法があります。
ただ、スモーキーさはメスカルの個性の一つに過ぎず、その強さや他の香味とのバランスは銘柄によって異なります。
例えば、先日LiquorPageの「お酒を知る8つの質問」でも取り上げた「サンコスメ」。
エスパディンという品種のアガベを使用し、馬が引く石臼での粉砕や木桶での発酵、銅製の蒸溜器による二度の蒸溜を経て造られるなど、伝統的な製法を受け継ぐメスカルです。

メスカル サンコスメ
インタビューで紹介されているのは、アガベのやさしい甘みと穏やかなスモーキーさに、柑橘やハーブのような爽やかさ、植物らしい青さが重なる味わい。
スモーキーさが強く主張するタイプではなく、さまざまな香味のバランスを楽しめる一本です。
⇒メスカル サンコスメ – お酒を知る8つの質問
メスカルを飲むときには、スモーキーさだけでなく、他の香りや甘み、口当たりにも注目してみる。
そうすると、銘柄ごとの違いが、より面白く感じられるはずです。
世界の人気に続き、日本でも楽しむ場所が広がっている
土地や造り手の個性を味わえるローカルスピリッツとして、産地の外でも人気を集めているメスカル。
AP通信がCOMERCAMの統計をもとに報じたところでは、生産量は2010年の約100万リットルから、2024年には1,100万リットル超へ拡大し、米国を中心に、海外で大きな市場を持つお酒になっています。(出典:AP通信)
日本でも、東京・蒲田の「Bar 若林」や月島の「Cuishe Mezcaleria(クイシェ・メスカレリア)」などが、早くからアガベスピリッツの魅力を伝えてきました。
Bar 若林のオーナーバーテンダー・若林祐一さんは、LiquorPageの「バーテンダーへの8つの質問」でも紹介しています。
最近では、広尾のバー「DBL」の系列店「CRUZA」が10月にオープン。
大阪にも、ミシュラン一つ星メキシカン「Milpa」が手がけるメスカルバー「METL」が誕生しています。
お酒や料理をよく知るプロたちが新たな店を手がけていることからも、メスカルへの注目の高まりがうかがえます。
タコスをはじめとするメキシカンの広がりも、メスカルに触れる機会と関係していそうです。
料理を楽しむ中で、その土地のお酒を飲んでみる。
メキシコのお酒としてテキーラに親しんだ人が、メスカルにも興味を持つ。
そんな自然な出会いもあるでしょう。

タコスなどのメキシカンを楽しむことも、メスカルに出会うきっかけに
旅先や食の好みが細分化する中で、お酒にも自分の関心に合う味や土地固有の背景を求める。
メスカルの奥行きは、そうした楽しみ方にも合うのかもしれません。
「メスカルの日」には過去最多の300名超が来場!
そうした関心の高まりを感じさせたのが、冒頭で触れた「Mezcal Day 5th Celebration Event 2026 in Tokyo」です。
10月21日の「メスカルの日」を記念して開催されるイベントで、5回目となる今回は過去最多の300名超が来場。
会場の「RIDE」は、多くの人でにぎわいました。
なお、LiquorPageは同イベントのオフィシャルサイト運営にも関わっています。

Mezcal Day 5th Celebration Event 2026 in Tokyoの様子
日本で販売されている多彩な銘柄に加え、日本未入荷のブランドも紹介。
メキシコからのゲストも迎え、飲み比べや交流を通じて、メスカルの個性や背景に触れられる機会となりました。
来場者の投票で人気の一杯を決める「Mezcalita of the Year 2026」も、大いに盛り上がりました。
メスカリータは、基本的にはマルガリータのベースをテキーラからメスカルに替えたカクテル。
今回はバーテンダーによるさまざまなアレンジが提供され、日本未入荷ブランド「4 by カサマシャ」を使った「ALITA」が優勝しました。

「4 by カサマシャ」を使ったメスカリータ「ALITA」
⇒Mezcalita of the Year 2026・カクテルリスト
原酒を比べる楽しみも、カクテルで新しい味に出会う楽しみもある。
こうしたイベントの盛況は、メスカルを楽しむ人の裾野が広がっている兆しとも受け取れそうです。
ストレートでも、ハイボールでも。好きな飲み方から楽しんでみる
メスカルは、ストレートで少しずつ味わうのはもちろん、ソーダ割りのハイボールでも楽しめます。
メスカリータや、ジンをメスカルに替えたメスカルネグローニなど、カクテルもさまざま。
原料や製法を知ってじっくり飲む日もあれば、食事と一緒に気軽に楽しむ日があってもよいでしょう。
日本では数年前までマニアックな存在だったメスカル。
今は、愛好家に加え、美味しいお酒、楽しいお酒、そしておしゃれな一杯として楽しむ人にも、その魅力が届き始めているのかもしれません。
まずは、バーで好みを伝えて一杯を選んでもらうのもおすすめです。
気に入ったら、どんなアガベを使い、どこで、誰が造っているのかを聞いてみてください。
その一杯をきっかけに、次に飲んでみたいメスカルが見つかるはずです。
「お酒を知る8つの質問」シリーズ
⇒お酒を知る8つの質問
「バーテンダーへの8つの質問」シリーズ
⇒バーテンダーへの8つの質問
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⇒Amazonのテキーラストア



















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