ご存知の方も多いように、芋焼酎には、黒麹を使用した焼酎、白麹を使用した焼酎、そして黄麹を使用した焼酎があります。
なかでも黄麹は、元々日本酒に用いられている麹で、使用している銘柄は少ないのですが、魔王や富乃宝山など人気の芋焼酎に使用されています。
黒麹や白麹に比べ、芋臭さがないフルーティーで華やかな香りが特徴で、とても軽快ですっきりした味わいのため飲みやすい傾向が強いです。
そのため黄麹の芋焼酎は、女性や焼酎ビギナーの方からも人気があります。
しかしながら、黄麹の芋焼酎を探そうと思っても、麹のデータを一覧で確認できるページは中々ないのが現状。
ということで本記事では、黄麹を使用した芋焼酎をなるべく多くご紹介していきます。
有名銘柄を中心に全15銘柄を基本データや特徴などもに解説。
ぜひ焼酎選びにお役立てください。
⇒芋焼酎の黒麹・黄麹・白麹…それぞれの特徴や違いを簡単解説
黒麹・白麹の芋焼酎はこちらでご紹介しています。
⇒黒麹の芋焼酎【28銘柄】を基本情報や特徴とともにご紹介
⇒白麹の芋焼酎【30銘柄】を基本情報や特徴とともにご紹介
黄麹の芋焼酎・15銘柄まとめ
ここでは、有名な銘柄から限定商品まで幅広くご紹介。
もちろん全て黄麹を使用した焼酎です。
それでは見ていきましょう。
詳しくは下記をご参考ください。
【芋の種類について】
芋焼酎では、多くの銘柄で黄金千貫(コガネセンガン)を使用している。
他にもやや淡麗でフルーティーなジョイホワイトや、甘みの強い紫芋が使用されることも。
【蒸留方法について】
芋焼酎の蒸留方法は、常圧蒸留か減圧蒸留かに分かれる(ともに単式蒸留)
常圧蒸留では、原料の風味が残るしっかりした味わいになり、減圧蒸留ではクリアでスッキリした味わいになる傾向がある。
一般的には常圧蒸留が多いが、黄麹の芋焼酎では減圧蒸留も多くみられる
1. 富乃宝山
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
富乃宝山は、人気銘柄である吉兆宝山や白天宝山を手がける「西酒造」の黄麹銘柄で、おそらく同蔵元で最も有名な銘柄でしょう。
芋は黄金千貫を使用し、常圧蒸留という、よくある芋焼酎の造りながらも、味わいは一般的な芋焼酎とは異なります。
フルーティーで華やかな香りで、良い意味で芋っぽさが抑えられており、スッキリ飲みやすいのが特徴です。
数ある黄麹の芋焼酎の中でも特に有名かつ人気の銘柄で、飲みやすさも相まって、女性からも高い支持を得ています。
2. 魔王
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:減圧
魔王といえば、森伊蔵と村尾とともに「3M」などと言われ、芋焼酎の中でも群を抜く知名度と人気を誇る銘柄。
魔王は実は麹を非公表としているため、書籍等を見ても白麹とする記述や黄麹する記述が見られ、はっきりはしていないのですが、香りや味わいの特徴から黄麹の特徴が強く見られます。
魔王の特徴は何と言ってもその華やかな香り。
よくある芋臭さを全く感じず、フルーティーな白ワインのようなエレガントな香りは唯一無二です。さらに、減圧蒸留を採用しているため、軽快でスッキリしており飲みやすい味わいとなっています。
ただし、今でも入手困難でプレミア価格での流通がほとんどとなっているため、飲食店で飲む方が良いかもしれません。
3. 海
産地:鹿児島
芋の種類:ベニオトメ
蒸留方法:減圧
海も黄麹焼酎の人気銘柄。「くじら」で有名な大海酒造の黄麹銘柄です。
こちらの銘柄は、芋の香りが苦手な方向けに開発されており、そのためベニオトメを使用し、低温発酵、減圧蒸留という一般的な焼酎とは異なる造りとなっています。
海の特徴は、何と言ってもその飲みやすさ。
軽快でフルーティーな香り、淡麗でクセのない味わい、全体的にボトルデザインのような「爽やか」なテイストとなっており、良くも悪くも芋っぽさを感じない銘柄です。
好みは分かれがちですが、飲食店で勤めていた経験上、女性や焼酎ビギナーの方から特に好評の銘柄と言えます。
4. 伝
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
伝は、3つの蔵を持つ老舗蔵元「濱田酒造」の定番商品。
伝という名のとおり、伝統製法である甕仕込み、木桶での蒸留、そして甕貯蔵にて造られています。
今となっては少数派となった黄麹仕込みも、実は明治以前は主流とされていました。
伝統を重んじ造られた「伝」は、穏やかで優しい飲み口が特徴。
魔王や富乃宝山のような華やかさはありませんが、綺麗な酒質でいつ何時でも飲んでいられるような銘柄です。
5. 萬膳庵(まんぜんあん)
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
萬膳酒造が造る萬膳庵は、大人気銘柄である「萬膳」のいわば黄麹版で、ともに高い人気を誇ります。
甕壺仕込み、木桶蒸留など昔ながらの製法によって、手間暇かけて造られており、萬膳、萬膳庵ともに逸品。
黄麹を使用する萬膳庵は、萬膳よりスッキリしており、華やかで甘い香り、優しい口当たりが特徴。
希少な銘柄のためプレミア価格で出回ることが多い銘柄でしたが、近年は落ち着いてきています。
6. 前田利右衛門(まえだりえもん)
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:ー
前田利右衛門は、指宿市にある指宿酒造が造る人気の芋焼酎。
前田利右衛門とは、実在した人物で、江戸時代中期に琉球から日本にさつま芋を持ち込んだ人物とされています。
黄麹らしい華やかな香りが特徴で、いくつか利右衛門シリーズがありますが、この「前田利右衛門」が一番飲みやすい銘柄です。
味わいはまろやかで優しい口当たりとなっており、焼酎ビギナーの方にもオススメです。
8. 全量黄麹石蔵
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
全量黄麹石蔵は「白金乃露」などを造る白金酒造の銘柄。
こちらの銘柄は、甕壺仕込み、木桶蒸留といった昔ながらの製法で造られており、手間暇かけて造られた高級銘柄で、その造りゆえ限定品となっています。
魔王や富乃宝山、海などとは違い、昔ながらの製法として黄麹を使用しているため、味わいはやや異なりますが、黄麹らしい華やかな香りは健在。
味わいはややしっかりしており、コク深いのが特徴です。
7. もぐら黄麹
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
もぐらは、麦焼酎「さそり」なども手がける「さつま無双」が造る芋焼酎で、本来は白麹仕込みなのですが、限定生産で黄麹版を生産。
もぐらといえば、無濾過(現在は無濾過に近い荒濾過)によるとても芳醇で骨太な味わいが人気の焼酎。
通常の白麹のもぐらとは明らかに違う、フルーティーな香りとなっており、芳醇な味わいながらもまろやかで優しい口当たりとなっています。
元々希少な銘柄でしたが、現在は生産していないのかめっきり見かけなくなりました。
9. 小さな小さな蔵で一所懸命に造った焼酎です 黄麹
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
その長い名のとおり、小さな蔵で造られた黄麹焼酎。飲みやすさが特徴です。
10. 国分・黄麹蔵
産地:宮崎
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧・減圧
「純芋」や「芋麹・芋」などを手がける国分酒造の黄麹銘柄。爽やかな香りが特徴です。
11. 至高の紫
産地:鹿児島
芋の種類:えいむらさき
蒸留方法:ー
「前田利右衛門」を造る指宿酒造の銘柄で、紫芋である「えいむらさき」を使用した限定品です。
12. 天璋院篤姫・黄麹
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
「伝」を手がける濱田酒造が造る黄麹焼酎。爽やかでシャープな飲み口が特徴です。
13. 黄猿
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧・減圧
多くの焼酎を造り出す「小正醸造」の猿シリーズ。他にも黒猿、白猿などがあります。
14. さくら白波
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
薩摩酒造の有名銘柄「白波」の黄麹バージョンです。
15. 明治の正中
産地:鹿児島
芋の種類:黄金洗顔
蒸留方法:常圧
「白波」で有名な薩摩酒造の銘柄で、昔の製法を再現し造られています。黄麹のなかでは芋っぽさは強め。
まとめ
ここまで黄麹を使用した芋焼酎15銘柄をご紹介してきました。
気になる銘柄は見つかりましたでしょうか?
黄麹の芋焼酎は、黒麹や白麹のそれと比べて芋臭さが少なく、フルーティーで華やかな香りとすっきり爽やかな味わいで飲みやすいのが魅力。特に女性や焼酎ビギナーの方にはおすすめのタイプです。
もちろんここでご紹介しきれていない芋焼酎もありますから、黄麹焼酎をお探しの方ぜひ色々な銘柄を試してみてください。
黄麹仕込みは各銘柄の一要素の過ぎず、銘柄ごとにもちろん個性はありますので。
それではこの辺で。
⇒黒麹の芋焼酎【28銘柄】を基本情報や特徴とともにご紹介
⇒白麹の芋焼酎【30銘柄】を基本情報や特徴とともにご紹介
⇒芋焼酎の黒麹・黄麹・白麹…それぞれの特徴や違いを簡単解説
⇒焼酎でよく見る「減圧蒸留」と「常圧蒸留」の違いって何?
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【参考文献】
焼酎手帳|東京書籍 監修・SSI
焼酎ぴあ|ぴあMOOK