テキーラができるまで 〜 独自の製造工程をざっくり紹介

テキーラができるまで 〜 独自の製造工程をざっくり紹介

今、アメリカを中心に世界的なムーブメントとなっているテキーラ。
日本でも輸入量が増すなど注目度が高まっているところですが、どのように造られているのか、その製法についてはまだあまり知られていません。

そこで今回は、テキーラの総合情報誌「TEQUILA JOURNAL 2020」を参考にしながら、テキーラ独自の製法についてご紹介!
どのように造られているかを知ることで、今まで以上にテキーラを美味しく味わえるかもしれません…

目次

※用語をタップすると移動します。

1. アガベの栽培

テキーラの主原料となるアガベアスル(英名ブルーアガベ)は、大型の多肉植物。多年生の植物でもあり、原料として収穫できるようになるまで、なんと5〜10年もの期間栽培しなければなりません。
お酒の原料は基本的に各年収穫できるものがほとんどで、テキーラのように複数年栽培しなければならないケースは異例中の異例とも言えます。
アガベの質がテキーラとしての質に大きく影響するため、選定なども行われながら丁寧に栽培されます。

2. 収穫

テキーラの原料となるのは、アガベの茎の部分(「ピニャ」と呼ばれる)。ヒマドールと呼ばれる職人が、専用の刃物を用いながら葉を切り落とし、ピニャを取り出します。
アガベ自体の質はもとより、ピニャの皮をどれだけ切り落とすか、また、芯の部分をカットするかどうかも、味わいに影響を与える要素。各造り手はテキーラの特性に合わせて決めます。

3. 糖化

アルコール発酵には糖分が必要不可欠ですが、そのままのアガベでは糖分がないため糖化と呼ばれる工程が必要です。
一般的には、「マンポステラ」と呼ばれるレンガ製のオーブンか、「アウトクラべ」と呼ばれる蒸気圧力釜で加熱しながら、アガベに含まれるイヌリンを糖化へと分解させます。

4. アガベの搾汁

糖化が済んだアガベを搾り出して、ジュース状にする工程。
「ローラーミル(シュレッダーとも呼ばれる)」や「タオナ」と呼ばれる回転式の石臼を使いながら搾汁します。タオナによる搾汁は伝統的な手法であり、ごく僅かな造り手が今も続けています。

5. 発酵

搾汁したアガベのジュースに酵母を加えてアルコール発酵させる工程。酵母の働きによって、アガベジュースの糖分がアルコールへと分解されます。
テキーラに用いられる酵母は様々で、自社で培養したオリジナルの酵母を用いるケースもあり、酵母の種類はテキーラの味わいに影響が出るともされています。
また、アガベを搾汁した際に出る繊維(バガス)を加えるケースもあり、様々な条件で発酵されています。

6. 蒸溜

テキーラはその定義上、2回以上蒸溜をしなければなりません。蒸溜とは、沸騰・蒸発させた気体を冷やして液体に変えること。アルコールと水は沸点が違うことから、その差を利用して、より度数の高いアルコールを取り出します。
蒸溜を経て出てくる液体の最初(ヘッド)と最後(テール)の部分をカットして、より酒質が安定した真ん中の部分(ハート)を取り出します。このときの度数は大体55〜65度前後です。

7. 熟成

テキーラの熟成は適宜行われます。その熟成期間によってクラスが分けられ、全く熟成を行わない、または60日未満の熟成であれば「ブランコ」または「シルバー」になります。60日〜1年未満、オーク樽で熟成させると「レポサド」に。そして1年以上オーク樽で熟成させると「アネホ」になります。
熟成のクラスによって、見た目は香り、味が大きく変化します。

8. ろ過・加水

テキーラはその定義上、瓶詰め時のアルコール度数が35〜55度でなければなりません。(大多数が38度または40度)
熟成を終えたテキーラ原酒の度数はこれを大きく上回るため、水を加えて度数調整が行われます。
また、フィルターを通してのろ過や冷却してのろ過が行われ、不純物をとりのぞき、液体としてのテキーラが完成します。

9. 瓶詰め・出荷

度数調整とろ過を終えたテキーラは専用に機器にて、瓶に詰められます。
テキーラのボトルは、その形状も様々。個性豊かなボトルに詰められ、いよいよ市場に出荷されます。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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