みなさんビールの原料についてはご存知でしょうか?
CMなどでも、よく「大麦麦芽が〇〇」や「〇〇麦芽を使用!」などと宣伝されているので、「麦芽なるものから作られている」とそれとなく知っている方は多いと思われます。
ここで素朴な疑問…
なぜ単純に麦ではなく「麦芽」なのでしょうか?
そもそも麦と麦芽って何か違うのか?
というわけで本記事では、ビールの原料「麦芽」について、一体どんなものなのかをわかりやすく説明していきます。
麦芽とは大麦ちょっとだけ芽を出させたモノ
麦芽は麦と何が違うのか?
麦芽とは、大まかに言うと麦で間違いはありません。
具体的に麦の穂についている種(稲でいうとコメですね)を少しだけ発芽させた状態のものを言います。
麦芽という名前のとおり「芽が出た麦」ということです。
ちなみに麦芽は英語だと、malt(モルト)と言います。
↓こちらが麦芽です。
By Peter Schill – Self-photographed, CC BY-SA 2.0 de, Link
麦芽の作り方
収穫した大麦の種を、まずは水に浸し、ちょっと芽が出て麦芽になった段階で水から出して乾燥・焙煎させます。
乾燥させ水分を飛ばすことで、成長が止まるので麦芽の状態をキープできます。
このように麦芽を作るには手間がかかります。
ではなぜ、そのままの麦ではなく、敢えて手間のかかる麦芽にするのでしょうか?
わざわざ麦芽にする必要があるのか?
手間をかけてまで、麦芽を使用する理由…
それは、麦芽の状態でないと、うまくお酒が作れない(発酵をさせにくい)からです。
発酵とは、糖分をアルコールに変えることです。
酵母菌が糖分を食べて、それをアルコールに分解して外に出すことで、原料がお酒に生まれ変わります。
実は麦やコメなどの穀物には、この発酵に必要な糖分が十分には含まれていません。
これらの穀物の主成分は、ご存知デンプンなのですね。
しかしデンプンには、麦やコメが持つ酵素によって自らを糖分に分解することができるという特性があります。(糖化といいます)
このデンプンの糖化は、麦芽の状態の方がスムーズにより多くの糖分を生み出せるのです。
つまり、麦芽にすることで糖分を生み出しやすくし、発酵させやすくしているんですね。
なので、コメにしろ麦にしろ芽をだす必要はありません。
⇒そもそも発酵とは何か?をお酒初心者向けに簡単解説!
ウイスキーもビールと同じく麦芽から作られている
ご存知の方もいるかもしれませんが、ウイスキーの主原料も麦芽(モルト)です。
ウイスキーもビール同様、二条大麦の麦芽をほとんどビールと同じ工程で発酵させています。
出来上がったものを蒸留させて、蒸留からできたものを今度は樽で熟成させて、ようやくウイスキーとして世に送り出されます。
勘づいた方もいらっしゃると思いますが、ウイスキーを蒸留させる前のモノは要するにビールです。
つまりは、ざっくりいうとビールを蒸留させるとウイスキーになるということです。
ビールとウイスキーは兄弟と捉えると覚えやすいかもしれませんね。
ただ、ビールとウイスキーとでは味が全然違いますね。
そう考えると蒸留や熟成の力はすごいですね。
⇒ウイスキーや焼酎でよく聞く「蒸留」とは何か?を簡単解説!
まとめ
麦芽について、おわかりいただけたでしょうか?
麦芽とは、大麦の芽を少しだけ出させたもので、それを使用することでビールを作りやすくしている、ということです。
ビールにわざわざ麦芽を使用しているのにはしっかりと理由があったのですね。
これらは必要不可欠な知識ではありませんが、知っておくとお酒が少し楽しくなりますよ。
それでは今回はこの辺で。
以上、ビールの原料「麦芽」とはそもそもどんなもの?でした。