今こそ知っておきたい4大ジンの一つ「ビーフィーター」、王道であるワケとは?

今こそ知っておきたい4大ジンの一つ「ビーフィーター」、王道であるワケとは?

ジンは今、クラフトジンのムーブメントもあり、世界的に人気が急上昇しているお酒です。
ここ日本でも、国産クラフトジンが続々と登場していることなどから注目が集まり、飲み手が急増しています。

「ビーフィーター」といえば、赤い兵隊のラベルでおなじみのジン。コンビニなどでも売られていることから、日本でも絶大な知名度を誇ります。
ジンの定番でもあり、真新しさはありませんが、クラフトジンがもてはやされている今だからこそ、改めて知っておきたいブランドです。

今回は「ビーフィーター」を知る上で欠かせない誕生ストーリーと味わいの特徴、そして今だからこそ増す重要性の意味についてご紹介していきます。

200年前、若き薬剤師が立ち上げた「ビーフィーター」

ジンの代表的なスタイルである“ロンドンドライジン”の中でも、象徴的ブランドの一つである「ビーフィーター」。そのルーツは200年前にまで遡ります。
薬剤師をしていた若きカナダ人、ジェームズ・バローは、1820年にロンドンのとある蒸溜所を買収し、ジンの製造を開始。この頃のジンはといえば、粗悪なジンがはびこっていた暗黒の時代が終わり、名だたる伝説的なジンが誕生し、高品質化に向かっていくという、ブランドの黎明期でした。
ジェームズ・バローは、薬剤師として持ち合わせていた知見を活かし、オリジナルのジンを完成させると、それに「ビーフィーター」と名付けました。
「ビーフィーター」とは、ロンドンの象徴でもあるロンドン塔の近衛兵の別称。国王主催のパーティーで、残った牛肉の持ち帰りを許可されていたことから、“Beef eater”と呼ばれていたことにちなんでいます。

ロンドンといえば“ジンの聖地”として知られていますが、この地で誕生したジンの造り手のほとんどは、長い歴史の中でロンドン市外に拠点を移していました。そんな中でも「ビーフィーター」は、歴史の長いジンとしては唯一ロンドンの地を離れず、いわば聖地を守ってきました。

ビーフィーター蒸溜所

200年間ずっとロンドンでジンを造り続けてきた

今では「ビーフィーター」は、「ゴードン」、「タンカレー」、「ボンベイ」とともに“4大ジン”の一つに数えられ、世界におけるブランド別売上ランキングでは5位を記録(※2019年間実績、Drinks Internationalより)するなど、世界中で人気を獲得しています。

カクテルのベースとしても重宝されるバランスに長けた味わい

200年もの間、大都市ロンドンで、ジンとしての品質を研ぎ澄ませてきた「ビーフィーター」。
そうしたことから“正統派のロンドンドライジン”と喩えられることも少なくありません。

その中身は、新しいジンのムーブメントに流されることなく、伝統を守り続けています。
そもそもジンは、ベースとなるスピリッツ(お酒)に、ジュニパーベリーというハーブの他、様々なボタニカル(ハーブやスパイス、フルーツ)を加え、蒸溜することで独特の香りが与えられるお酒。「ビーフィーター」では、一般的な糖蜜由来のスピリッツではなく、よりコストがかかるグレーン(穀物)由来のスピリッツをベースに、世界中から調達された9種ボタニカルを24時間漬け込み、蒸溜して造られています。
そうして得られるのは、まさに“正統派のロンドンドライジン”らしい味わい。ジュニパーベリーのウッディなハーブ香が香りつつも、柑橘の華やかさも感じられ、派手すぎず、簡素なわけでもない、バランスに長けた味わいです。
そうした味わいは、カクテルのベースとしてもピッタリ。ジンといえば、「ジン&トニック」や「ネグローニ」、そして「マティーニ」など、様々なカクテルに使われるお酒でもあります。
近年よく見られる主張が強いジンではないからこそ、どんなカクテルにも適合してくれるのです。

ジン&トニック

ジン&トニック、蒸溜所によれば付け合わせ(ガーニッシュ)のオススメはレモンかグレープフルーツだそう

だからこそ、「ビーフィーター」は、世界のバーシーンで長い間支持され、日本のバーでも重宝されているのでしょう。

クラフトジンがもてはやされる今だからこそ増す、王道としての重要性

さて、冒頭でもお伝えしたように、今は世界中でクラフトジンに大きな注目が集まっています。
ユニークな素材を使用したり、個性的な特徴や味わいを持つブランドが多いクラフトジンですが、その台頭の裏には、「ビーフィーター」など4大ジンに代表される、長い間ジンの歴史を紡いできたブランドの存在があります。
そうしたジンを知らずして、クラフトジンを深く楽しむことはできないと言っても過言ではないでしょう。

そもそもロンドンドライジンは、ジンの基準ともなる王道のスタイル。ジンの香りや味わいの軸となることも多く、まずこれを体験しておくことで“ジンとは何か”を知ることができます。
「ビーフィーター」は、そのロンドンドライジンを象徴するブランドの一つ。決して派手ではないからこそ、クラフトジンを味わう前に、そして、様々な個性のクラフトジンを楽しんで後に、戻ってきたくなるようなジンだといえます。

ビーフィーターのボトル

「ビーフィーター」を知っておくことは“ジンとは何か”を知ることにもつながる

つまり、クラフトジンに注目が集まる今だからこそ、「ビーフィーター」は王道としての重要性を増しているのです。

「ビーフィーター24」と「ピンクストロベリー」

ここまで主に、伝統という側面で、「ビーフィーター」について解説してきましたが、実は革新的な取り組みも行っています。

2008年に発売された「ビーフィーター24」は、現在のマスターディスティラー(製造責任者)であるデズモンド・ペインさんが、日本のお茶に、ジンのボタニカルとしての可能性を感じて生み出したプレミアムジン。定番商品のボタニカルをベースとしながら、日本の煎茶と中国緑茶も用いることで、ほんのり苦みを効かせ、まろやかな味わいとなっています。
今でこそ、特に日本のジンでは、お茶を使うケースは珍しくありませんが、「ビーフィーター24」はいち早くそれを取り入れていたのです。

また、2019年には、イチゴを活かした「ビーフィーター ピンクストロベリー」の日本での販売がスタート。
こちらは通常のジンに、フルーツのエキスなどなんらかの素材を加えることで色味と香味を与えた“ピンクジン”にあたるタイプで、イチゴの甘美なフレーバーが、ジンの爽やかさと調和しています。

ビーフィーター ピンクストロベリー

鮮やかな色合いの「ビーフィーター ピンクストロベリー」

一方で2021年1月には、ボトルデザインの一部を変更することを発表。ラベルを再生可能な紙素材に変更し、キャップを金属製にすることで、プラスチックの使用量を年間410トン削減させるのだとか。
近年重要視される環境への配慮や、サスティナブルな取り組みも行っているようです。

詳細


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【ビーフィーター24】
ボタニカル:
ジュニパーベリー、レモンピール、コリアンダーシード、アーモンド、セビルオレンジピール、オリスルート、リコリスルート、アンジェリカルート、アンジェリカシード、グレープフルーツピール、日本の煎茶、中国緑茶
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ボタニカル:「ビーフィーター ジン」と同じ
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著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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