あなたは「ジャックダニエル」を飲んだことはあるでしょうか?
とても有名なアメリカのウイスキーで、バーのみならず多くの飲食店で飲むことができます。
本記事では、ジャックダニエルを飲む前に、絶対に知っておきたい特徴や魅力、そして「実はバーボンではない」といったお話など…ジャックダニエルの基本情報についてお送りしてします。
これらを知っておくことで、ジャックダニエルを飲んだことがない方はもちろん、すでに飲んだことがある方も、今後さらにおいしく味わうことができるようになるでしょう。
知って飲むのと、知らずに飲むのでは、味わい方が変わりますからね。
それでは見ていきましょう。
ジャックダニエルが世界一売れているウイスキー?
「ジョニーウォーカーが世界一売れているウイスキーブランドだけど、単一銘柄ではジャックダニエル(オールドNO.7)が世界一売れている」という説を、よくよく見かけます。
しかしこれについては、出典が定かではないうえ、ブランド別でのデータはあっても、単一銘柄別での売上データがないので正確なことは分かりません。
Drinks International発表のブランド別の売り上げランキング(2019年年間実績)では、1位はインドのウイスキー「マクダウェルズ」。ジャックダニエルはというと、6位。世界で6番目に売れているウイスキーブランドということになります。
ただし、インドのウイスキーは原料の自由度が高く、世界的なウイスキーの定義からは逸脱しているため、データによっては一部のブランドが除外されていることもあります。
そうしたブランドを抜きで考慮すると、トップの「ジョニーウォーカー」に次いで、ジャックダニエルは世界で2番目に売れているウイスキーということになります。
ただし、銘柄ラインナップが多いジョニーウォーカーに対して、ジャックダニエルは主力銘柄「オールドNO.7」を絶対的な柱としていることから、「ジャックダニエル オールドNO.7」が単一銘柄では世界一とみなすのも、あながち間違いではないでしょう。
なお、アメリカンウイスキー(アメリカ産ウイスキーの総称)としては堂々の1位です。
なので、確実な情報としては「ジャックダニエルは、世界一売れているアメリカンウイスキー」ということですね。
⇒世界のウイスキー売上ランキングTOP30【2020版】
※データ出典元は英Drinks International(2019年の年間売り上げデータ)
ジャックダニエルはバーボンじゃない?
よく「ジャックダニエルはバーボンウイスキー」と捉えられがちなのですが、実はコレ、間違いです。
正しくはテネシーウイスキーに分類されます。
そもそもバーボンとは、原料の規定や熟成方法など定義に沿って作られたアメリカンウイスキーの一種で、生産地はアメリカであれば基本どこでも問題ありません。(現状95%程度がケンタッキー州産)
それに対してテネシーウイスキーは、そのバーボンの定義にさらに追加された項目があり(後述します)、生産地はテネシー州でなければいけないという決まりがあります。
ジャックダニエルはテネシー州リンチバーグで作られており、製法もその定義を満たしているため、バーボンではなくテネシーウイスキーに分類されるのです。
ちなみに「さらに追加された項目」と前述しましたが、それはテネシーウイスキーの味わいを決めるとても重要な工程で、その工程こそがジャックダニエルの味わいに大きく関係しています。
味わいの秘密 〜 チャコール・メローイング
ジャックダニエルの味の特徴は、なめらかな甘さと程よい香ばしさ。
バーボンと比べると違いは明らかで、ジャックダニエルの方が口当たりが優しく、一般的には飲みやすい味わいとなっています。
ジャックのその味わいの秘密は、バーボンには存在しない、テネシーウイスキー独自の製造工程「チャコール・メローイング」にあります。(この工程こそが「さらに追加された項目」)
チャコール・メローイングとは?
チャコール・メローイングとは「蒸留後のウイスキーをサトウカエデの木炭でゆっくり濾過をする」という、テネシーウイスキーには必須の工程。
サトウカエデはメープルシロップの元にもなる木で、この木炭を細く砕き、それをびっしり敷き詰めた桶で丁寧に濾過することで、穏やかで優しい口当たりと甘さが生まれています。
By ljv|Charcoal Mellowing, CC BY-ND 2.0
びっしり敷き詰められた木炭によるチャコール・メローイングは、完了までに4〜6日ほどかかる大変手間と時間がかかる工程。
しかしながら、この工程がなければバーボンとの違いはほとんどなくなり、味わいもほぼ同じとなることでしょう。
つまりはこのチャコール・メローイングによって、テネシーウイスキー、ひいてはジャックダニエルに独自の味わいが生まれているのです。
このようにテネシーウイスキーは製造にひと手間加えているため、一般的にはバーボンよりも値段がちょっぴり高くなりがちです。
ジャックダニエルの名前の由来
ここから先はちょっとした豆知識をご紹介。
まずはジャックダニエルというブランドの名前の由来について。
これに関しては、お気づきの方も多いと思うのですが、創業者の名前がブランド名の由来となっています。
1866年、ジャックダニエル蒸留所を創業したのが、ジャスパー・ニュートン・ダニエル(通称ジャックダニエル)です。
この名がそのままブランド名になっているということですね。
(なんと、若干20歳にして蒸留所と立ち上げたというのですから驚きです)
それから主力銘柄である「オールドNO.7」の名前の由来については、諸説あり真意は定かではないのですが…
「ジャックダニエル氏の7番目の試作品」との説が最も有名。
そのレシピを使用することになったので「オールドNO.7」の名がついた、という説です。
音楽の都で作られている!
ジャックダニエルが作られるテネシー州は、「音楽の都」とも言われ、音楽のカルチャーが盛んなことで有名な地域。
関連する人物を挙げるとキリがないのですが、例えばエルヴィス・プレスリーや、今でいうとテイラー・スウィフトがテネシー州にルーツがあります。
また、ジャスティン・ティンバーレイクやマイリー・サイラスはテネシー州出身です。
そんな音楽が盛んな地域で作られていることもあってか、ジャックダニエルは数多くのミュージシャンに愛されています。
例えば、レッドツェッペリンのジミー・ペイジやローリングストーンズのミック・ジャガーなど数々のスターが、実際にジャックダニエルを手にしている写真が多く見つかっています。
それから、往年の大スターであるフランク・シナトラは特にジャックダニエルを愛したとされ、彼の名がついた「ジャックダニエル シナトラセレクト」が2012年に発売されているほど。
黒いラベルデザインからは、どこかロックやジャズを思わせる音楽的な要素を感じますが、実際のところ音楽と非常に関係が深いウイスキーでもあるのです。
ジャックダニエルの銘柄は1種類だけじゃない!
黒いラベルの「オールドNO.7(ブラック)」が有名なジャックダニエルですが、実はそれ以外にも多くの銘柄がリリースされています。
とりわけ飲みやすいと人気の「ジェントルマンジャック」や、選び抜かれた一つの樽から瓶詰めされる、中級者向けの「シングルバレル」、それから近年大人気のリキュール「テネシーハニー」など、限定品も合わせると7〜8銘柄ほどリリースされています。
⇒ジャックダニエル各銘柄の特徴と違いを比較解説!
ジャックダニエルのオススメの飲み方
ブランドについての基礎がわかったところで、その飲み方が気になる方も多いはず。
ジャックダニエルのオススメの飲み方を4つに絞り、それぞれざっくりご紹介します。
オンザロック
もちろんストレートもオススメですが、個人的にジャックダニエルは、氷を加えたオンザロックの方がオススメ。
氷が溶け出し、薄まっていくことで独自の甘みを感じることができます。
ジャックコーク
言わずと知れたコーラ割り。ジャックダニエルの定番の飲み方として、アメリカでは缶の商品が売られているほどです。
甘く香ばしい味わいはクセになります。
アップルジャック
アップルジャックとは、ジャックダニエルのリンゴジュース割りのこと。実はアメリカンウイスキーとリンゴは相性が良いのです。
他社ブランドですが、ウイスキー×リンゴのリキュールなどもある他、こちらのアップルジャックはブランドの公式サイトにも掲載されています。
オールドファッションド
しっかりカクテルとして味わいたい方にオススメなのが、オールドファッションド。
こちらのカクテルは今、世界のバーで最も人気があるとされており(※)、一度は味わってみることをオススメします。
材料さえあれば、専門的な器具は使わずに作成できるので、自宅で試してみるのも良いでしょう。
⇒世界のバーで人気のカクテル・ランキング TOP50 [2021年版] 〜 レシピ付きでご紹介
まとめ
ここまでジャックダニエルについて、ひととおり理解いただける情報をご紹介してきました。
しっかりと知ったことによって、今後はよりおいしく味わえることでしょう。
最後にジャックダニエルについてまとめると…
- 世界一売れているアメリカンウイスキー
- バーボンではなくテネシーウイスキー
- 味わいの秘密はチャコール・メローイング
- 名前の由来は創業者ジャックダニエル
- 数多くのミュージシャンに愛されている
まだ、という方はぜひ味わってみてください。
それではこの辺で。
⇒ジャックダニエル各銘柄の特徴と違いを比較解説!
⇒シングルモルト、バーボン、ライなど…ウイスキー9種類の定義を比較解説
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【参考文献】
ジャックダニエル・ブランドサイト
ウイスキーコニサー資格認定試験教本2009 スコッチ文化研究所