シングルモルト・スコッチでは、産地の違いを覚えておくことはとても重要です。
ワインと同じように産地で傾向が分かれるからです。
そこでリカーページでは、スコットランドのシングルモルト主要6産地を、それぞれ産地ごとに記事にしてご紹介していきます。
- スペイサイド
- ハイランド
- ローランド
- キャンベルタウン
- アイラ
- アイランド(アイランズ)
本記事ではアイランズモルトについて、入門編としてウイスキー初心者の方でもわかりやすいよう簡単に解説していきます。
記事後半では、アイランズのモルト銘柄を簡単にご紹介します。
これらを知っていればウイスキー選びにも役に立ちます。
アイランズモルトとは?
By Drawn by User:Briangotts as Image:Scotch regions.png and converted to SVG by w:User:Interiot,CC BY-SA 3.0, Link
アイランズモルトとは、アイラ島を除く、スコットランドの島々で作られるシングルモルト・スコッチの総称です。
より具体的にはスカイ島、オークニー諸島、ジュラ島、アラン島、ルイス島などの蒸留所で作られるシングルモルトを指します。
実は、以前はスコッチの主産地としての「アイランズ」は存在せず、産地分けの際には「ハイランド」の中にこのアイランズモルトも含まれていました。
しかし、近年独立して見られるようになり、アイラ島以外の前述した島々のモルトは「アイランズモルト」と呼ばれるようになりました。
スペイサイドなど他の主産地とは違い、産地として語られることが少なく、各銘柄ごとに語られることが多く、日本でも有名で人気の高い「タリスカー」や「ハイランドパーク」も、実はこのアイランズモルトに含まれています。
アイランズとはどんな産地?
アイランズは前述したスカイ島やオークニー諸島などの島々からなっており、スコットランドの北側ハイランド地方に位置しています。
グラスゴーやエジンバラなどの大都市を擁する都会的な南側ローランド地方とは異なり、自然が多く残されているハイランド地方。
そこに位置する島々ということで、いずれの島も人口が少なく、産業は牧畜や漁業、観光などとされています。
By Shadowgate – Flickr: Ring of Brodgar in Orkney, CC BY 2.0, Link
中でも北端に位置するオークニー諸島とスカイ島は特徴的です。
オークニー諸島は、石器時代の遺跡が多く残り、これらは「オークニー諸島の新石器時代遺跡中心地」として世界遺産に登録されています。さらに海賊バイキングの影響が多く残るとされ、スコットランドの中でも異国とも言われているようです。
一方スカイ島は、切り立った山々や遺跡、古城、海岸線など絶景ポイントが多く、ピクサー映画の「メリダとおそろしの森」の舞台になった島とされています。観光客に非常に人気の島でスコットランド随一の観光スポットです。
ちなみにオークニー諸島ではハイランドパークが、スカイ島ではタリスカーが作られています。
アイランズ・モルトの味わい・特徴
アイランズモルトは、数々の島で作られているため、「アイランズモルトといったら…」という全体を指す特徴を語るのは難しいです。
ただ、そのぶんそれぞれの島での個性が強く、例えばスカイ島のタリスカーは海の潮っぽさを強く感じるスパイシーな風味で、方やオークニー諸島のハイランドパークは穏やかでまろやかな甘みを感じるなど、別々の特徴を持っています。
よく「島や海の近くで作られるウイスキーは潮っぽい特徴が出る」とも言われるのですが、それを感じさせない穏やかな味わいのアラン島のアランモルトなど、実に多様です。
さらに、アイランズモルトは主な銘柄だけでも7つと少ないので、アイランズモルトという大きなくくりで見ずに、各蒸留所・各銘柄ごとに見るのが良いかもしれませんね。
アイランズモルトの代表銘柄
アイランズにある蒸留所で作られるモルト銘柄について簡単にご紹介します。
ハイランドパーク
すでにご紹介したハイランドパークはオークニー諸島に蒸溜所があり、スコットランド最北端に位置する蒸留所とされています。
蜂蜜のようなまろやかな甘みと少々のスモーキーさが入り混じるバランスに優れた味わいで、シングルモルトの中では初心者でも飲みやすい部類に入ります。
タリスカー
巨大蒸留酒メーカー・ディアジオ社が所有する大人気モルトで、蒸留所はスカイ島にあり、強風や荒波など厳しい気候の中で作られています。
アイラモルトに似たようなスモーキーな味わいで、強烈な潮っぽさがあり、スパイシーハイボールなる胡椒を入れて飲むハイボールがオフィシャルで存在するなど、スパイシーなモルトの代名詞ともなりつつあります。
スキャパ
スキャパはハイランドパーク同様、オークニー諸島で作られるモルトで、有名ブレンデッド・スコッチ「バランタイン」のキーモルト(主要な原酒)としても使用されています。
麦芽を乾燥させる際にピート(※)を使用しないため、爽やかで軽やかな酒質で飲みやすい味わいです。
アイルオブジュラ
アイラ島に近いジュラ島で作られるアイルオブジュラ。しかしアイラモルトのような強烈さはなく、比較的穏やかな味わいです。
麦芽はピートをほとんど使用せず、クリーミーな甘さと少々の潮っぽさが入り混じる特徴的なモルトです。
アランモルト
こちらはアラン島のアイルオブアラン蒸留所で作られるシングルモルトです。比較的新しい銘柄で、蒸留所の創業は1995年です。
基本的にはノンピート麦芽(ピートを使用しない麦芽)を使用し、麦本来の甘さを感じる味わいとなっています。
ちなみにピートを使用した麦芽を用いたモルトは「マクリームーア」というブランド名でリリースされています。
他のアイランズモルト銘柄
- トバモリー
- レダイグ
- アビンジャラク
ピートとは、コケや草などが堆積してできた泥炭(燃料)のことで、スコッチでは麦芽の乾燥をさせる際に使用し、このピートを燃やした熱気で麦芽を乾燥させます。
この時に出る煙を麦芽が吸収することによって、スコッチ特有のスモーキーフレーバーが与えられます。
詳しくはこちらで解説しています。
⇒ウイスキーでよくみる「ピート」とは一体何なのか?
まとめ
アイランズモルトについての理解は深まりましたでしょうか?
最後にざっくりとまとめると…
銘柄ごとに個性が異なり、潮っぽさが強いものから穏やかで甘みのあるものまで多様なモルトが存在する。
といったところでしょうか。
特に日本ではタリスカーとハイランドパークの人気が高く、バーや専門店以外でも見かけることができます。
まずはこれらの銘柄から試して見るといいかもしれませんね。
それではこの辺で。
以上、「シングルモルト入門〜「アイランズモルト」を簡単解説!」でした。
【参考文献】
ウイスキーコニサー資格認定試験教本・スコッチ文化研究所
ウイスキー完全バイブル・ナツメ社
⇒シングルモルト入門〜「アイラモルト」を簡単解説!
⇒シングルモルト入門〜「スペイサイドモルト」を簡単解説!
⇒シングルモルト入門〜「ハイランドモルト」を簡単解説!
⇒シングルモルト入門〜「ローランドモルト」を簡単解説!
⇒シングルモルト入門〜「キャンベルタウン」を簡単解説!
こちらの記事もおすすめです。
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