今まさにブームとなっているジン。
しかしながら一般的には「ジントニックのお酒」のイメージが強く、まだまだ「あまりよく知らないお酒」であるのが現状です。
あまり知られていないのも当たり前と言えば当たり前で、ウイスキーやワイン、テキーラなどと比べて圧倒的に情報量が少ないお酒でもあります。
そういった背景もあり、リカーページではジンの基礎知識を項目ごとに記事にして配信しています。
今回のテーマは「そもそもジンはどのような工程でできているのか?」について。
ジンの製造工程とは言いつつ、ジンには様々な種類があり、それぞれ工程が異なるという、なんともややこしいお酒でもあります。
というわけで今回の記事では、より主流である「ドライジン」に絞り、その製造工程を、お酒にあまり詳しくない方でも分かりやすいよう解説していきます。
それでは見ていきましょう。
ジンとは、ベースのスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどの「ボタニカル」を数種加え蒸留させてできるスピリッツ。
ジュニパーベリーは必須だが、ボタニカルのレシピは各銘柄様々。度数は40〜50度が一般的。
ドライジンの製造工程をまずはざっくりご紹介
まずはざっくりと、ドライジンがどのような工程で造られているのかご紹介。
その後、各項目を詳しく解説していきます。
【ドライジンの製造工程】
- 原料(雑穀や糖蜜)
- 糖化・発酵
- 連続式蒸留
- ベーススピリッツが完成
- ボタニカルの風味づけ
- 再蒸留(単式蒸留)
- 瓶詰め
- ドラインジン完成
このような工程で造られているのですが、注目すべきは「ボタニカルの風味づけ」です。
これは「ボタニカルのお酒」であるジンならでは工程で、他の蒸留酒にはない工程です。
この工程をよく知ることでジンへの理解が深まります。
次項から各工程の解説をしていきます。
原料〜ベーススピリッツができるまで
まずは原料からベースとなるスピリッツが出来上がるまでの工程を解説。
ベーススピリッツの原料となるのは、主にトウモロコシや大麦、小麦などの雑穀、もしくはサトウキビから採れる廃糖蜜。
ここ最近大きなブームとなっているクラフトジンでは、リンゴやお米などが使用されるケースもあります。(とはいえ少数派)
いずれにせよ、ドライジンを造る上で、この時点ではボタニカルは使用しません。
原料が穀物の場合、発酵させるために必要不可欠な糖分を含まないため「糖化」という工程が必要です。
これを経ることで、穀物類の主成分であるデンプンを糖分に分解し、原料を発酵可能な状態にします。
その後原料に酵母を加え、発酵。
発酵によって、度数が低いお酒が出来上がります。
今度はそのお酒を、度数を高めるために蒸留。
蒸留は、より効率的に高アルコールのお酒を造り出せる「連続式蒸留」を主に用います。
連続式蒸留によって出来上がるお酒は、アルコール95度以上のかなりニュートラルなスピリッツ。
これがベースとなるスピリッツ、つまりはベーススピリッツです。
ベーススピリッツは自分たちでは造らない?
ここまでベーススピリッツができるまでの工程を解説しましたが、実はベーススピリッツを自ら造る生産者は少数派。
多くの生産者は、ベーススピリッツは業者から仕入れたものを使用しているのだそうです。(自らベーススピリッツを造る生産者から聞いた話)
しかし最近では、ベーススピリッツにもこだわりを持って自ら造る生産者も少ないながらも増えてきており、季の美やカフェジンなどの日本のジンやコーヴァルなどがこれにあたります。
ボタニカルの風味づけ〜ドライジン完成まで
次に、ベーススピリッツに注目すべきボタニカルの風味づけと再蒸留を行います。
しかしその前に、ベーススピリッツに水を加え、アルコール度数を60度程度に下げます。
度数を下げる理由は、その方がボタニカルの香味・風味を抽出しやすいから。
こうして下準備が整ったベーススピリッツにボタニカルの風味づけと蒸留を行うのですが、主に2つの方法があります。
主な2つの方法とは「バスケット法」と「浸漬法」
どちらも単式蒸留を用いるのですが、ボタニカルの抽出方法が異なります。
それぞれ見ていきましょう。
ジンの製造において、ボタニカルは通常4〜10種程度使用され、そのレシピは各銘柄異なる。
まずジンの定義上ジュニパーベリーは必須。その他にはコリアンダーシードやレモンピールなどがよく使用される。
ボタニカルについて詳しくはこちらの記事では解説しています。
⇒ジンによく使用されるボタニカル20種まとめ
ボタニカルの抽出方法① バスケット法
バスケット法とは、蒸留の際にボタニカルが入った「バスケット」を蒸気が通ることで風味づけがされる、という製法。
この製法では、直接ボタニカルが漬け込まれているわけではないため、一般的に香り・味ともに全体的に軽やかなものになります。
しかし、この製法を採用している銘柄は少ない傾向にあります。
ボタニカルの抽出方法② 浸漬法
浸漬法とは、ボタニカルをベーススピリッツに直接漬け込み(数日程度)、それを蒸留することで風味を得る、という製法。
こちらの製法では、ベーススピリッツに直接ボタニカルの風味が加えられるため、一般的に香り・味ともに全体的にしっかりしたものになります。
多くのジン銘柄では、この浸漬法を採用しています。
⇒ジンの基礎講座〜ボタニカルの抽出・蒸留方法とは?
これらの製法によって、ボタニカルの風味がついたお酒が出来上がります。
最後に、これに水を加えて、アルコール度数を40〜50度程度(各銘柄任意の度数)に調整し、瓶詰めして「ジンの完成」です。
まとめ
以上がドライジンの製造工程です。
ボタニカルという若干ややこしさを感じる材料を用いる分、複雑に思われることが多いジンですが、その製法は「ベーススピリッツにボタニカルを加えて蒸留するだけ」という意外にもシンプルな工程であることがお分かりいただけたかと思います。
クラフトジンが大きなブームとなっている今、こうしたジンの基礎知識を知っておくことで、今後情報がよりスムーズに入ってくるようになることでしょう。
それから、普通に味わう上ではこれらは必要な知識ではありませんが、知っておくときっと味わい方が変わります。
ジンの銘柄選びも、より楽しくなるかもしれませんね。
それではこの辺で。
⇒日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ
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