テキーラのブランコ、レポサド、アネホの違いを徹底解説!

テキーラの特定名称・ブランコ、レポサド、アネホなど

ご存知の方も多いと思いますが、テキーラには、透明な色合いのテキーラとやや色づいたウイスキーのような色合いのテキーラがあります。
この色の違いは、テキーラの樽熟成の有無によるもの。

さらに詳しく見ていくと、テキーラには、樽熟成の期間の長さによって「ブランコ、レポサド、アネホ」などといったように特定の呼び方があります。
テキーラのラベルや商品名、メニューなどに表記されているので、気になった方もいるでしょう。
実は、この呼び方の違いによって、テキーラの色合いの濃淡に違いが生まれ、さらにそれだけでなく味わいにも違いをもたらしています。

本記事では、これら特定名称「ブランコ、レポサド、アネホ、エクストラ・アネホ」についての基礎知識を解説していきます。

テキーラの色合いは樽熟成の長さによって決まっている

ブランコやレポサドの解説に入る前に、テキーラの色合いについて少しだけ触れます。
テキーラには透明なタイプと、ややゴールドっぽく色づいたタイプがありますが、これは前述のように樽熟成の有無によるもの。

なぜ樽熟成によって色が変わるのか?
そう疑問に思う方もいるでしょう。

実は、熟成する前の、出来立てのテキーラは全て無色透明です。
木樽(オーク樽)で長期間熟成させることによって、樽の木の成分がテキーラに溶け出し、だんだん色づいてくるのです。
これはウイスキーも全く同じ。

樽熟成の様子

テキーラもウイスキーも、樽の木の成分が溶け出すことで色づいている

つまり、より熟成すればするほど、テキーラの色合いは濃くなるということです。
本記事のテーマである特定名称は、熟成期間の長さで決まっており、「ブランコ→レポサド→アネホ→エクストラ・アネホ」の順に熟成期間が長くなり、色合いも濃くなります

もちろん熟成によって影響が出るのは色合いだけでなく、香り・味にも影響が出ます。
これについては、ブランコやレポサド等のそれぞれの項目で解説します。

それではいよいよ本題、まずはブランコから見ていきましょう。

ブランコとは?その定義や特徴

熟成期間:無し、もしくは60日未満
色合い:透明
備考:別名シルバー、プラタ、ホワイトなど

ブランコ(Blanco)とは、基本的に樽熟成をさせない、透明な色のテキーラ。
よくシルバーやプラタなどの表記も見かけますが、同じ意味合いで使用されています。
どの銘柄からも基本的にはリリースされており、熟成がない分、販売価格は少し安めに。
樽熟成がないため、よりテキーラらしい味わいとなっており、原料であるアガベ本来の味わいを楽しむにはもってこいです。

ちなみにテキーラベースのカクテルに使用されるのは、基本的にはこのブランコです。

テキーラベースのカクテルはこちらでご紹介しています。
バーで飲みたい「テキーラ」を使った代表的なカクテル8選!

ブランコの味わい

あくまで一般的な傾向ですが、アガベ由来のハーブような青っぽい甘い香りはほぼ共通しています。
ものによっては、シトラス系の香りも。
味わいはフレッシュで、ややスパイシーで多少の甘みや苦味を感じることもあります。

レポサドとは?その定義や特徴

熟成期間:2ヶ月以上
色合い:やや薄いゴールド
備考:ゴールドという名称と混同されがちだが別物

レポサド(Reposado)とは、オーク樽で2ヶ月以上熟成させた、やや薄いゴールドに色づいたテキーラ。
レポサドもブランコ同様ほとんどの銘柄からリリースされており、販売価格はブランコより1〜2割高い程度です。

ちなみにレポサドとは「休ませた」という意味。
短いながらも樽熟成させていることで、樽由来の甘い香味が加わっており、ブランコよりやや落ち着いた味わいとなります。

ゴールドと混同されることが多いですが、レポサドとゴールドは全くの別物です。詳しくは後半で触れます。

レポサドの味わい

アガベ由来の青っぽい香りと樽のバニラ香のミックスで、ブランコより穏やかな香りとなっています。
甘み、辛み、苦味のバランスが良い。

アネホとは?その定義や特徴

熟成期間:1年以上
色合い:ゴールド、若いウイスキー
備考:樽のサイズは600ml以下、アニェホと呼ばれることも

アネホ(Anejo)とは、オーク樽で1年以上熟成させた、ゴールドに色づいたテキーラ。
アネホ以降は樽のサイズに規定があり、600ml以下の樽を使用しなければなりません。
ミクストテキーラなど安価なテキーラからはリリースされていないことが多く、名の知れたプレミアムテキーラではよく見かけます。
アネホ以降は基本的に高級品となり、どれだけ安くても3000円台、高いものなら1万円を超えるものも。

1年以上も熟成させているので、アガベ本来の香味というより、樽由来の甘い香味の方が強くなります。
ざっくり言えば、若いウイスキーに似た風味を持っており、飲み方もウイスキーのようにじっくり味わいながら飲むのが一般的です。

※プレミアムテキーラとは、アガベのみを原料とした、正式名称アガベ100%テキーラ。(ラベルに「100% de Agave」と記されている)
対するミクストテキーラとは、アガベ以外にも糖蜜やトウモロコシなども混ぜて生産したもの。(アガベは最低でも51%以上は使用)

こちらの記事で詳しく解説しています。
ハリウッドで大流行!プレミアムテキーラとはどんなもの?

アネホの味わい

樽由来のバニラ香を感じ、蜂蜜のような甘い香りやフルーティーな香りも。
味わいはなめらかでコクがあり、はっきりと甘みを感じます。

エクストラ・アネホとは?その定義や特徴

熟成期間:3年以上
色合い:ブロンド、古いウイスキー
備考:樽のサイズは600ml以下

エクストラ・アネホとは、オーク樽で3年以上熟成させた、ブロンドのような濃い色合いのテキーラ。
テキーラの特定名称の最上級にあたり、最高級のテキーラとなります。
当然ながらとても高価で、基本は1万円以上、高いものなら5万円以上するものも。

エクストラ・アネホをリリースしている銘柄は少なく、日本で流通しているものだとラインナップは限られます。
また商品名に「エクストラ・アネホ」と付くことが少なく、各銘柄の最上位の特別なシリーズとしてリリースされることが多いのも特徴。
(例:ドンフリオのエクストラ・アネホの場合、ドンフリオ・エクストラ・アネホではなく「ドンフリオ・レアル」としてリリースされている)

樽熟成期間がかなり長いため、樽由来の甘い香味がかなり強く、ウイスキーやブランデーのような複雑な香りとなります。

エクストラ・アネホの味わい

樽由来の強いバニラ香を感じ、蜂蜜やシナモンなどの甘く芳醇な香り。
味わいは、アルコール感や雑味、エグ味が少なく、スムースでクリーミーな甘みがあり、余韻が長く続きます。

エクストラ・アネホの代表銘柄

  • ドンフリオ・レアル
  • エラドゥーラ・セレクシオン・スプレーマ
  • クエルボ・レゼルバ・デ・ラ・ファミリア
  • アハ・トロ・エクストラ・アネホ

レポサドとゴールドは全くの別物である

ゴールドの色合いのテキーラ

テキーラの中には、ゴールドと名乗った、レポサドのようにやや色づいた銘柄があります。
その色合いやイメージから、レポサドとゴールドは混同されることが多いのですが、これらは全くの別物です。
レポサドが熟成度を示す名称であるのに対し、ゴールドは単純に色を表したもの。
さらにいうと、ゴールドには規定や定義はありません

そのためゴールドと名乗っている銘柄の多くは、レポサドのテキーラとブランコのテキーラを混ぜたり、カラメル色素などを添加することでゴールドの色合いのテキーラを造っています。

ちなみにゴールドと名乗るテキーラは、アガベ100%のプレミアムテキーラには皆無で、ミクストテキーラでよく見られます。

産地によって色づきが違う?

テキーラには、バジェス地方とロスアルトス地方という二大産地があるのですが、同じアネホでも産地が違うと色づきも違うケースが多く見られます。

これは熟成に使用する、樽の状態の違いが深く関係しています。
バジェス地方では新樽を使用するのに対し、ロスアルトス地方では、バーボンウイスキーなど何らかのお酒の熟成に使用した「中古樽」を使用するケースが多いのです。
当然ながら新樽の方がより樽の成分がテキーラに溶け出しやすく、熟成が早く力強く進み、テキーラの色が濃くなります。
一方の中古の樽では、熟成がゆっくり穏やかに進み、テキーラの色はやや薄くなります。

つまり、バジェス地方のテキーラは色合いが濃い傾向があり、ロスアルトス地方のテキーラは色合いが薄い傾向がある、ということです。

まとめ

ここまで「ブランコ、レポサド、アネホ、エクストラ・アネホ」について、基礎知識や特徴を解説してきました。

最後にざっくりをまとめると…

  • ブランコ:基本は熟成なしの透明なテキーラ
  • レポサド:樽熟成2ヶ月以上で、やや薄く色づいたテキーラ
  • アネホ:樽熟成1年以上で、ゴールドに色づいたテキーラ
  • エクストラ・アネホ:樽熟成3年以上で、ブロンドに色づいた最高級品

このように、樽熟成してあるものとないもの両方が市場に出回っているのはテキーラならではかもしれません。(他にはラムなど)
樽熟成によって、香り・味わいはかなり変化しますから、それだけテキーラの味の幅は広いということになります。

たとえ同じ銘柄でも、熟成度によって味わいが全然異なるのもテキーラの醍醐味と言えるかもしれません。
ぜひ違う熟成度で飲み比べしてみてください。

それではこの辺で。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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