結婚式を表す「ブライダル」は実はエールビールが語源となっている?

ブライダルの語源・ビールが関係?

ブライダルといえば、結婚式や結婚そのものを指す言葉として日本でも広く使われています。
このブライダルという用語について深く考える方は少ないかもしれませんが、実はその語源を調べてみるとかなり意外な事実が関係していることがわかります。

実は記事タイトルにもあるようにビールが深く関係しているのです。

ブライダルというと、お祝いのお酒としても用いられるシャンパンを想像する方が多いかもしれませんが、その語源と関係しているのは実はビールなのですね。
本記事ではブライダルとビールの関係性について、そしてビールからどのようにしてブライダルという言葉が生まれたのか解説していきます。

ビールを楽しむうえでのちょっとした豆知識やウンチクとして、ぜひ活用してみてください。

ブライダルという用語は「エール」が語源となっている

結婚式や婚礼など結婚関連の用語として使われる「ブライダル」ですが、イギリスの伝統的なビールである「エール」が語源となっています。

ブライダルという用語は、実は花嫁を表す「ブライド」とビールの一種である「エール」を組み合わせた用語なのです。
「ブライド+エール」が略され「ブライダル」となったとされています。

約5000年という長い歴史を持つビールですが、ブライダルという言葉が誕生した中世のイギリスでは「エール」というビールが主流でした。
エールを楽しむための酒場「エールハウス」が流行するなど、広く浸透したお酒だったようです。
一方でエールは、主婦による自家醸造が盛んで、エールハウスは主婦らが経営することも多かったようです。

また、エール(ビール)は、宗教的な影響もあってか婚礼の際の祝い酒としても用いられていました。
このことから、婚礼を表す言葉として、「花嫁(ブライド)とエール=ブライダル」が誕生したとされています。

ビールは実は神聖な飲み物?

ビールは液体のパンと考えられていた

パンは「キリストの肉」ビールは「液体のパン」と考えられていた

キリスト教において、神聖な飲み物というと、ワインを思い浮かべる方が多いかもしれません。
それはもちろん間違いではありませんが、実は中世ヨーロッパではビールも神聖な飲み物とされていました。

キリスト教では、ワインは「キリストの血」であり、パンは「キリストの肉」とされています。
そしてビールは「液体のパン」と考えられていたのです。

元々昔のビールは、現在のように大麦麦芽を発酵させたものというより、パンを作ってからそれに水を加え発酵させ作られていたとされています。
これがビールが液体のパンとされる所以でしょう。

また、昔ヨーロッパでは、ビールは主に修道院で作られており、巡礼者や貧者に提供されていたとされています。
このことからもビールが神聖な飲み物だったということがお分かりいただけると思います。

ちなみに現在も修道院で作られるビールや、修道院にルーツを持つビールは残っており、前者は主に「トラピストビール(トラピスト会の修道院で作られるビール)」、後者は「アビイビール」と呼ばれています。
どちらも主にベルギー産です。

ビールやワインは水代わりだった?
元々ヨーロッパは硬水地帯であり、昔は飲み水に適した水を確保することが難しかったとされています。
アルコール発酵させ、常温でもある程度保存が効くビールやワインは、飲み物として大変貴重だったようです。

まとめ

花嫁を表す「ブライド」という用語と「エール」を組み合わせて、イギリスで誕生したブライダルという用語。
当時イギリスはエールは婚礼の際の祝い酒であり、宗教的にも神聖な飲み物だったのです。
こういった事情があり、「ブライド+エール=ブライダル」という用語が生まれたのですね。

これがエールがブライダルの語源であると言われる所以です。

ちなみに現在ビールのタイプは大きく分けてエールとラガーに分類されますが、ラガーが誕生したのはエールよりもずっと後。
さらに、現在日本や大手海外ビールで主流となっているラガーの一種「ピルスナー」は、19世紀に誕生したまだまだ新しいビールです。

こういった知識は、必要不可欠ではありませんが、知っておくとお酒の場での会話が弾むかもしれませんし、ビールをより楽しむことができますね。
ぜひ豆知識やうんちくとしてご活用ください。

それではこの辺で。
以上「結婚式を表す「ブライダル」は実はエールビールが語源となっている?」でした。

【参考文献】
改訂新版日本ビール検定公式テキスト|日本ビール文化研究会

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

関連記事

  1. 黒ビールと淡色ビール・色が違う理由 黒ビールに淡色ビール…ビールの色合いが違うワケとは?
  2. クラフトジン×クラフトビールのコラボイベント クラフトジン×クラフトビールのコラボイベントが12/16に神保町…
  3. 羽根つき焼きおにぎり専門店&バー「GAO」 羽根つき焼きおにぎり!?東京の焼きおにぎりバー「GAO」の魅力と…
  4. ビールの製造工程 ビールの基礎講座 〜 ビールの製造工程を理解する
  5. 玉露と煎茶の違いとは 緑茶の基礎知識〜玉露と煎茶の違いとは?【簡単解説】
  6. 二日酔い対策・ウチワサボテン 二日酔い対策に「ウチワサボテン」が効くって本当?
  7. ビールと日本酒、太りやすいのはどっち? ビールと日本酒、太りやすいのはどっち?カロリーなど比較
  8. 酒で人生が変わってしまった男が語る「酒が危険である4つの理由」 酒で人生が変わってしまった男が語る「酒が危険な4つの理由」

おすすめ記事

国産ジンの造り手21社が新潟に集い、唯一無二のジンを創る「DistiRally NEXT 2024」始動! 国産ジンの造り手21社が新潟に集い、唯一無二のジンを創る「DistiRally NEXT 2024」始動!

この度、当メディア(LiquorPage)、および洋酒専門の酒販店・株式会社千雅は、国産ジンが造り手…

「ボンベイ・サファイア」が仕掛けるお酒の枠を超えたクリエイティブな表現とは?〜上海イベント取材 「ボンベイ・サファイア」が仕掛けるお酒の枠を超えたクリエイティブな表現とは?〜上海イベント取材

美しく輝くブルーのボトルが印象的なジン「ボンベイ・サファイア」日本でも広く親しまれている人気のジ…

広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催! 広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催!

水の都として世界的に知られるイタリアのベネチア市、そして中国地方最大の都市・広島市が友好協力関係にあ…

人気の記事

  1. あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表 日本酒版パーカーポイント
  2. ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介 ジャパニーズ・クラフトジン
  3. 日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ クラフトジンとは?
  4. ウイスキー世界売り上げランキングTOP20 世界ウイスキー売上ランキング
  5. 世界一売れているビールは?2015年世界シェアTOP10を発表! 世界一のビールは?

新着記事

関連記事

PAGE TOP