テキーラといえば、ショット&塩&ライムで、一気にあおるように飲むのが定番の飲み方だと思っている方が多いでしょう。
しかし最近では、その飲み方は間違い、もしくはよくないとする声も聞かれます。
本当にこの飲み方は間違いなのでしょうか?
本記事では、これまで定番とされてきた「ショットで塩&ライム」という飲み方のちょっとした知識について触れつつ、もし間違いであればどんな飲み方があるのか、等を解説していきます。
テキーラの「ショットで塩&ライム」という飲み方は実は伝統的な飲み方
まず先に言っておくと、実はテキーラに「正しい飲み方」があるわけではありません。
自分が美味しいと思う飲み方の方がテキーラを楽しめるでしょうし、たとえそれが自己流だったとしても間違いではありません。
これはウイスキーなど他のお酒でも同じことで、形式にとらわれず自由に楽しめば良いのです。
さて、そうした前提がありつつ、「ショットで塩&ライム」という飲み方について解説しましょう。
実はこの飲み方は、テキーラの本場メキシコでは伝統的な飲み方とされています。
決して間違った飲み方ではないのです。
メキシコでは「カバジート」と呼ばれる縦長のショットグラスを使用し、塩とライムを用いる飲み方が伝統のスタイル。
塩とライムは、塩をトマトやスイカにかけると甘みが引き立つのと同じように、テキーラの甘みを際立たせる、つまりはテキーラを飲みやすくさせる効果があります。
ちなみにライムだけでなく、レモンやオレンジを使用することもあるようです。
なお、一気に飲み干す理由については、カバジートのルーツとなった、水牛のツノをくり抜いた容器クエルニートにありそうです。
これは底が尖っていたためテーブルなどにおくことができず、注いだテキーラは一気に飲む必要があったとされています。
それが慣習となり、今にも残るテキーラの飲み方となっているようです。
飲み方の手順
テキーラの、伝統的だとわかった「ショット&塩&ライム」という飲み方ですが、飲み方の手順を気にされる方が多くいます。
本記事でも少し触れておきましょう。
- 手の甲の親指と人差し指の間あたりをライムで濡らし、そこに塩を乗せる
- 塩を舐め、塩の味がしているうちにテキーラを飲み干す
- テキーラが残っているうちにライムをかじる
- 最後また塩を舐める
基本的にはこのような手順がメキシコでは一般的とされていますが、これも「正しい手順」というわけではありません。
ライムを先にかじっても良いでしょうし、あくまでもテキーラの飲み方は自由なのです。
ちなみに、ライムの切り方も自由ではありますが、かじりやすいくし切りが多く見られます。
最近ではストレートやロックなども一般化しつつある
ここまで「ショットで塩&ライム」という飲み方について解説してきましたが、近年はまた違った飲み方が台頭しています。
その飲み方とは、ウイスキーと同じようにストレートやロックで「じっくり」とテキーラを味わうという飲み方。
ゆっくり飲んでいたらキツいのではないか?と思ってしまいそうですが、テキーラに「キツいお酒」というイメージがあるのは、ショットで一気飲みしていることが関係していると思われます。
実のところ、テキーラのアルコール度数は38度もしくは40度が主流で、50度前後の銘柄も多く流通するウイスキーなどよりは、少し低い傾向があります。
当たり前ながら、ウイスキーやジンだって一気飲みしたらキツいのです。
じっくり味わうようにテキーラを飲んでみると、実は独自の甘みがあり、味わい深いお酒だということがわかっていただけるかと思います。
特に「プレミアムテキーラ」とも呼ばれる、近年大人気の100%アガベテキーラ(アガベのみを原料としたテキーラ)は、原料のアガベに由来する甘さや味わい深さに長けている傾向があり、銘柄ごとに個性もあるため、ストレートやロックなど、ゆっくり味わう飲み方の方がその魅力を堪能することができるでしょう。
⇒世界では「100%アガベテキーラ」が人気?日本とは違う世界のテキーラ事情
プレミアムテキーラにライムはいらない?
テキーラとして一般的に広く知られている銘柄の多くは、実は前述した100%アガベテキーラではないタイプのものが多く、そうしたテキーラは、原材料にアガベ以外のもの(糖蜜やとうもろこし由来のアルコールなど)も用いて造られています。
テキーラとしては安価であるという魅力がある一方、100%アガベテキーラと比べると、飲んでいてどうしてもアルコールの刺激を感じやすくかったり、みなが飲みやすいと感じるものではないというのが正直なところ。
もちろん単なるカテゴリーだけで品質の優劣がつけられるわけではありませんが、やはりそうした安価なテキーラが「ショットで塩&ライム」という飲み方で飲まれていることが多いというのが実情でしょう。
一方で、原材料にアガベのみしか使用しない100%アガベテキーラ(プレミアムテキーラ)は、比較的高価なものが多いながらも、アルコールの刺激が感じにくいものが多い傾向にあり、その味わい深さからこだわり派のテキーラともいえます。
生産者のこだわりも強く、「うちのテキーラにはライムや塩は使わないように」とお願いするものもあるほど。実際に、ハリウッドスターのジャスティン・ティンバーレイクが手がける「901」は、「ライムがいらないテキーラ」として大々的にプロモーションされていました。
このような背景もあり、「テキーラはこの飲み方!」と決めつけずに、シチュエーションやテキーラの種類によって、飲み方を変えていくのが良いのかもしれません。
他にも多様なテキーラの飲み方が一般化
ここまでご紹介した飲み方以外にも、テキーラには様々な飲み方があります。
近年は、若い世代を中心にカジュアルな飲み方にも人気が集まっています。
例えばテキーラのソーダ割り。
テキーラハイボールとも呼ばれますが、銘柄の個性を活かしつつ喉越しや爽快感を得られるので、プレミアムテキーラなどでもしばしば用いられる人気の飲み方です。
好みでライムやレモンを搾れば、フレッシュ感も得られます。
また、本場メキシコでは、コーラなどの炭酸飲料で割った飲み方が大人気だとされています。
そしてもちろん、「マルガリータ」や「テキーラサンライズ」などのカクテルも人気の飲み方です。
特に、世界的には大人気の「パロマ(グレープフルーツジュースと炭酸、塩で作るカクテル、テキーラカクテルとしてはマルガリータに次ぐ2番目の人気を誇る)」は度数が低く、柑橘とほんのり塩味が効いた爽やかな味わいなため、日本人にもピッタリの飲み方です。
また、前述したコーラ割りに、塩とライムジュースを加えたテキーラカクテル「バタンガ」も、同じく度数が低く爽やかにテキーラを楽しめるため、オススメの飲み方です。
そもそもテキーラは世界的には美酒としてみなされており、他の多くのお酒と同様に、テキーラの飲み方・楽しみ方もまた多様なのです。
これらを踏まえれば、「ショットで塩&ライム」だけが、テキーラの王道の飲み方ではないことがわかっていただけるかと思います。
美味しいと思う飲み方でテキーラを楽しもう
ここまでテキーラの飲み方について解説してきました。
近年は日本でも、プレミアムテキーラなど高級なテキーラや、カクテルの人気がでてきたこともあり、「ショットで塩&ライム」は間違い(もったいない)という意見が出てくるようになったのかもしれません。
しかし、その飲み方はメキシコでは伝統的な飲み方の一つですし、間違いということではありません。
冒頭でも触れましたが、テキーラに「正しい飲み方」があるわけではありません。
本記事で取り上げたように、実はテキーラにも様々な飲み方がありますし、自分が美味しいと思う飲み方の方がよりテキーラを楽しめるでしょう。
「正しい飲み方」にとらわれず、自分にあった飲み方でテキーラを楽しんでいただければと思います。
(もちろんあまり無理はしないように!)
それではこの辺で。
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【参考文献】
テキーラ大鑑|廣済堂出版 著・林生馬