ジンとはどんなお酒?定義や特徴、種類など基本をざっくり解説

ジンってどんなお酒?

ジンといえば、ジントニックやマティーニなどカクテルで有名なお酒。
おそらく、多くの方が一度は味わったことがあるお酒ではないでしょうか?

しかし、名前は知っていても、「ジンとはどんなお酒?」という基本情報については意外と知られていません。
そこで本記事では、ジンとはそもそもどんなお酒なのか、製法や特徴などの基本情報を簡単に解説していきます。

ジンについて、ざっくりと理解することができます。

ジンとはボタニカルで風味づけされた蒸留酒

ジンとは、簡単にいうとボタニカル(ハーブや果物の皮、スパイスなど草根木皮)で風味づけされたお酒。
大きく分けると蒸留酒(スピリッツ)にあたり、なおかつ4大スピリッツにも数えられるお酒で(他はウォッカ、ラム、テキーラ)、その筆頭として挙げられるのがジンです。
他の4大スピリッツと同様にアルコール度数は40〜50度前後。
ジンはカクテル用としてとりわけ多くのカクテルで用いられており、マティーニやジントニックなど王道カクテルにも使用することから、バーでは欠かすことができないお酒もであります。

ジンの定義

ジンにはロンドンジンや蒸留ジン、それに単純なジンなど、製造規定の異なるいくつかのスタイルがあります。
当然それぞれ微妙に定義は異なるのですが、以下の2点は共通しています。

  1. ジュニパーベリーの香りを主とする
  2. 最終アルコール度数が37.5度以上

ジンに使用するボタニカルは、銘柄によりレシピが異なり、数種用いるのが一般的ですが、ここにあるようにジュニパーベリー(杜松の美)は必ず用いなければなりません。逆に言えば、ジュニパーベリーの他は何を使用してもOKということでもあります。
ちなみに、定義が厳しい順だと「ロンドンジン>蒸留ジン>ジン」となるものの、多くの有名銘柄はより厳しいロンドンジンにあたります。(ロンドンとは言うもののロンドン産である必要はない)

ジンはどうやってできている?

ジンは、ベースとなるスピリッツ(ベーススピリッツ)にジュニパーベリーを含むボタニカルを数種加え蒸留させ造られています。

まずはベーススピリッツについて…
これは、主に糖蜜やトウモロコシなどの穀物類を原料に発酵→蒸留させたもの。
そのベーススピリッツに、ジュニパーベリーをメインに、他コリアンダーシードやアンジェリカなどのボタニカルを数種加え、もう一度蒸留させることでボタニカルの香味が抽出され、独特の香味を持つジンが出来上がります。

ジュニパーベリー

ジンに必ず使用されるジュニパーベリー

このように複数のボタニカルを使用するため、ジンはボタニカル由来の香りが強く、ハーブのような華やかな風味が際立つお酒となっているのです。

使用するボタニカルの種類やレシピは各銘柄異なり、この違いが銘柄の個性となります。
一般的なジンでは5〜10種程度使用する銘柄が多いです。

ボタニカル各種についてはこちらで解説しています。
【ジンによく使用されるボタニカル20種まとめ】
製造工程・ボタニカル抽出方法はこちら。
【ジンの基礎講座〜ドライジンの製造工程を簡単解説!】
【ジンの基礎講座〜ボタニカルの抽出・蒸留方法】

基本はドライ・ジンにあたる

一口にジンといっても、実は様々な種類があります。
主流である無色透明でオーソドックスなドライ・ジン、ジュネヴァと呼ばれるものなどが挙げられます。
また、近年は、ウイスキーのように樽熟成させた色づいたジンも多く出回っています。
しかし圧倒的多数はドライ・ジンにあたり、単純にジンと言った場合、ドライ・ジンを指します。

伝統的な主産地はイギリスとオランダ

イギリス・ロンドンの風景

ジンの主な産地として、歴史的にも有名なのがイギリスとオランダ。

有名なドライ・ジンは、多くがイギリスで作られており、これらはロンドン・ドライ・ジンとも呼ばれます。
ジンの定番銘柄は、ほとんどがこのロンドン・ドライ・ジンにあたります。

もう一つの主産地・オランダは、さらに長い歴史を持ちます。
オランダで「ジュニエーヴル」という名で作られていたお酒が、17世紀後半にイギリスへと渡り、その名が独自に省略され「ジン」と呼ばれるようになったとされています。
現在オランダ産の(独自の規定を満たした)ジンは、ジュネヴァと呼び区別され、ドライ・ジンとは少し風味が異なります。

また、近年は「クラフトジン」なる少量生産で個性豊かなジンが世界的なブームとなっており、こちらは世界各地で生産されています。(実は日本でも)

クラフトジンについてはこちらの記事で解説しています。
日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ

ジンの語源

前述のようにジンは元々、ジュニエーヴルという名のお酒でした。
ジュニエーヴルとはフランス語でジュニパーベリーを意味し、風味づけにジュニパーベリーを用いていたことからそう名付けられました。
しかし、これがスイスの都市ジュネーブと発音が似ていたことから、区別するため「ジュネヴァ」と呼ばれるようになります。
このジュネヴァがイギリスへ渡り同国でも造られるようになると、略される形で「ジン」と呼ばれるようになり、これが一般化したとされています。

ジンの特徴や味わい

前述のようにジンは、ボタニカルの風味が際立つ個性的なお酒。
特徴は何と言っても、ハーブのような複雑で華やかな香り。
味わいも特徴的で、ボタニカルや果皮などを連想させる爽やかな苦味や辛味があります。

ただし、主流であるドライ・ジンとオランダ産のジュネヴァ・ジンとでは、製法が少し異なるため風味も異なります。

ドライ・ジンの特徴

前述したように「ベーススピリッツ→ボタニカルを加え蒸留」という工程で作られます。
ベーススピリッツは主に連続式蒸留という製法で造られたもの。連続式蒸留で造られたベーススピリッツは、雑味のないクリアなものとなっています。
それをベースに出来上がるジンは、ボタニカルの華やかな香りがありながらも、味わいは他の洋酒と比べクリアでドライな風味になる傾向が。
カクテル用に用いられるのは、基本的にこのドライ・ジンです。

ジュネヴァの特徴

「ベーススピリッツ→ボタニカルを加え蒸留」という工程自体はドライ・ジンと共通ですが、ベーススピリッツに大麦麦芽などの穀物も使用し、主に単式蒸留という製法を用いて造られたベーススピリッツを使用しています。
単式蒸留では原料の風味が残りやすく、原料の一部に麦芽も使用しているため、それをベースに出来上がるジュネヴァはやや風味が濃厚でコクがある味わいになる傾向が。
主にストレートなど、そのまま飲むのが基本スタイルとされています。

ジンを使用したカクテル

ジンはその爽やかでドライな風味から、カクテルのベースとして多く用いられています。
せっかくですので、ジンを使用した代表的なカクテルをご紹介しましょう。

  • ジントニック
  • マティーニ
  • ギムレット
  • ネグローニ
  • オレンジ・ブロッサム
  • シンガポール・スリング
  • ジン・フィズ

おさえておきたい主要なジン銘柄

ここでは特に主要なジンで、飲食店や酒屋でよく見かける定番銘柄をご紹介。
これらのジンだけでも知っていれば十分でしょう。

ビーフィーター

最も代表的なジン銘柄の一つと言われるのがビーフィーター。
きっと多くの方が、このラベルを一度は見たことがあるのではないでしょうか?
クセが少なく、クリアな味わいからカクテルのベースとして好まれ、バーでは重宝する銘柄です。

ボンベイ・サファイア

プレミアム・ジンとして名高いのがボンベイ・サファイア。
ひときわ美しいボトルが特徴的で、香りがとても華やかな銘柄です。
プレミアム・ジンとはいっても2,000円前後で購入できます。

タンカレー

ジン好きの方にファンが多いのがタンカレー。
特にタンカレーNO.10という銘柄は人気が高く、風味が洗練されていることからロックでもよく飲まれます。

まとめ

ここまでジンの定義や産地、特徴など基本情報をざっと説明していきました。
しかし基本的には、以下の点だけ覚えておけば問題ないでしょう。

  • ボタニカル(ハーブや果皮)で風味づけされた蒸留酒
  • マティーニなど様々なカクテルで使用されるお酒
  • アルコール度数は大体40〜50度

少し詳しくなりたいと思う方であれば、銘柄名なども覚えておくと良いかもしれません。

今までは、ウイスキーのようにあまり銘柄などジンそのものにスポットが浴びることは少なかったのですが、最近ではクラフトジンの流行によって、国内外で注目が集まっている分野でもあります。
あまり基本情報を知られていないお酒だけに、少し詳しく知っておくと他の人と差をつけられるかもしれませんね。

それではこの辺で。
以上、「今更聞けない!ジンってそもそもどんなお酒?」でした。

【参考書籍】
スピリッツ銘酒事典|新星出版社 著:橋口孝
Liqul No.7|酒育の会

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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