テキーラの危機!原料のアガベ不足が深刻に、価格も急騰…今後どうなる?

テキーラの原料「アガベ」の深刻な不足問題

テキーラ業界に危機が訪れています。
テキーラに必要不可欠の原料「アガベ」の不足に悩まされているのです。

アメリカを発端とする近年のテキーラ人気が皮肉にもアガベ不足を招いた格好で、アガベの価格が2年前の6倍にまで高騰し、業界を悩ませているのだとか。

本記事ではこのニュースについて、そもそもなぜテキーラの需要が増すことで、アガベ不足が深刻になるのか、また、今後どういったリスクがあるのか、などを解説しています。
テキーラの需要増でテキーラそのものでなく、原料のアガベが不足するのには、それにまつわる厳しい規定や栽培の難しさなどが関係しています。

それではみていきましょう。

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テキーラの原料「アガベ」の使用には厳しい規定が

まず、そもそものテキーラの主な原料「アガベ」についてふれていきましょう。

テキーラの主原料はアガベと呼ばれる大型の多肉植物。
テキーラ造りにはこの植物の茎を用いられるのですが、使用される原料のうち51%以上、つまり半分以上アガベを使用しなければならないと規定があります。
しかし近年は、プレミアムテキーラとも呼ばれるアガベ100%テキーラ、つまりアガベだけでできたテキーラの人気が急上昇し、定番となりつつあります。
要するに今日のテキーラ造りには大量のアガベを使用される、というわけです。

とはいえテキーラの規定上、アガベは、メキシコの定められた5つの州のものしか使用できず、しかもその品種はブルーアガベでなければならず、厳しい規定をクリアしなければなりません。
例えばビールやウイスキー造りなどではよくある「外国産の麦芽を使用」といったことが、テキーラでは不可能なのです。

少し厳しすぎると感じるかもしれませんが、テキーラはそもそも「メキシコの美味い地酒」が世界に羽ばたいたもの。
そのため、質や伝統、独自性を守ろうと、原産地呼称で定められたお酒でもあり、CRT(テキーラ規制委員会)によって厳しい規定が定められているのです。

アガベはお酒の原料では唯一、栽培に複数年かかる

ただでさえアガベにまつわる規定が厳しいテキーラですが、このアガベ、実は栽培がとても難しい植物なのです。

というのもアガベの栽培には複数年の年月を要し、テキーラ造りに使用されるアガベはなんと5〜10年前後栽培されたものがほとんど。
ワインに使用されるブドウや、ビール、ウイスキーに使用される穀物などを筆頭に、お酒の原料は単年で収穫できるものがほとんどで、アガベのように収穫するまで長い年月を要するのは極めて稀と言えます。

(当然、より長い期間育てたアガベを使用したテキーラほど高額になる、アガベの質はテキーラの価格が決まる重要な要素の一つ)

つまり、今テキーラ造りに使用されているアガベは、5〜10年ほど前に植えられたもの。
このように融通が利かない原料であるため、原料が不足したからといってすぐに対応できるものではないのです。

アガベの特異性こそがテキーラの魅力ではあるのですが、今回のニュースだけに観点を絞れば、むしろ仇となっていると捉える他ありません。

なぜ深刻なアガベ不足に?

パトロンを筆頭に、プレミアムテキーラの市場が急成長した結果、アガベ不足が深刻になった。

パトロンを筆頭に、プレミアムテキーラの市場が急成長した結果、アガベ不足が深刻になった。

深刻なアガベ不足を招いたのは、アガベにまつわる厳しい規定や栽培の難しさが関係しているのは間違いありませんが、それだけでは深刻なアガベ不足の理由にはなりません。
そもそもはテキーラ自体の人気が急上昇したことが招いた結果です。

日本ではまだ「ショットで一気飲みするお酒」というイメージの方が一般的かもしれませんが、アメリカなどを筆頭に海外では「高級なお酒」「セレブなお酒」としてイメージが向上しています。
特にプレミアムテキーラ市場の伸びは凄まじく、アメリカ向けの輸出はここ10年で3倍近くも増加

これは生産者の予想を大きく上回るもので、予想以上にテキーラ市場が成長したため、アガベの栽培が間に合わなくなったというわけです。

アガベの価格高騰により、今後は生産者が倒産、またはテキーラの大幅な値上げも

深刻なアガベ不足に陥った結果、アガベの価格は急騰しています。
2016年に3.85ペソ(1キロあたり)だったものが、今や22ペソになり、たった2年でなんと6倍もの価格に跳ね上がっています

そうなるとどうなるのか?
まずメーカー側は、利益が圧迫され、苦境に陥るかもしれません。
大規模メーカーはまだしも、小規模メーカーにとっては頭が痛い問題で、倒産リスクも考えられます。

また、消費者側にとっては、テキーラ自体の大幅な値上げという事態も考えられます。

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原料不足の解消は少なくとも2021年以降か

ではこの問題はいつ解消するのか?
テキーラの生産者によれば、アガベの栽培年数を考えると、2021年までこの問題は続く見通しだとか。

酒類全体を見渡せば、例えばウイスキーでも原酒の不足が深刻な事態となっています。
現代人の嗜好が多様化したことで、様々なお酒が飲まれるようになった結果、ウイスキーなりテキーラが想定以上に伸び、モノが不足する事態に陥っているのです。
嬉しい悲鳴なのかもしれませんが、思っている以上に自体は深刻なのかもしれません。

今後の展開の目が離せません。

【参考文献】
アングル:メキシコでテキーラ原料不足が深刻化、人気が裏目に|ロイター

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小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage代表 / CRAFTGIN.JP共同運営者 / ジンフェスティバル東京 運営事務局] 豊富な現場経験と長年のお酒愛によって、ジンを筆頭にあらゆるお酒の知識を持つ。ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆・編集にも携わる。

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