芋焼酎、麦焼酎、米焼酎の違いと特徴をざっくり説明!

芋焼酎、麦焼酎、米焼酎

ご存知のとおり、焼酎には芋、麦、米など様々タイプがあります。
これらはもちろん、原料の違いでタイプが分けられているのですが、ちょっぴり誤った理解もされがちです。

「芋焼酎は芋だけで作られている?」
実は違うのです。

そこで本記事では芋焼酎、麦焼酎、米焼酎の3タイプの違いと特徴について、分かりやすくご説明していきます。
それでは見ていきましょう。

芋、麦、米など主な焼酎に共通する「焼酎ができるまで」

芋焼酎にしろ、麦焼酎にしろ、焼酎ができるまでの工程は基本的に変わりません。
大まかでも良いので、これらの製造工程を知っておくと、より焼酎の理解が進みます。

  1. 【製麴(せいぎく、米or麦を米麹、麦麹に変える)】
  2. 【一次仕込み(発酵)】
  3. 【二次仕込み(主原料を入れて再度発酵)
  4. 【蒸留(度数を高める)】
  5. 【貯蔵・熟成】
  6. 【瓶詰め(完成)】

泡盛以外の焼酎は、いずれもこの工程で作られています。

実は焼酎の製造工程、日本酒の製造工程とさほど違いがありません。
ただし一つだけ大きな違いがあり、それが「蒸留」です。
この蒸留という工程を経ることで、焼酎が焼酎らしくなるのです。

つまりは焼酎は日本酒を蒸留させたお酒と捉えることができる、ということ。
芋焼酎など主な焼酎は、日本酒に各々の主原料を加えて「蒸留させたもの」ということです。

この製造工程の途中、より具体的には③の「二次仕込み」の段階で、何を加えるかによって芋焼酎なのか麦焼酎なのか、はたまた米焼酎なのかが決まっているのです。

蒸留とは
お酒のアルコール度数を高める工程。
アルコールと水の沸点の違いを利用する技術で、モロミを熱で温め蒸発していく蒸気を冷やすことで、より純度の高いアルコールを取り出す。

芋焼酎の基礎知識

さつまいも

芋焼酎は、基本的に最初からさつま芋は使わずに、二次仕込みの段階でさつま芋を投入して作られています。
つまり、芋焼酎はさつま芋だけで作られているわけではありません。

芋焼酎の原料

米(米麹と表記される)、さつま芋

味の特徴

主要焼酎の中ではコクがある、芋独特の香り強く、ほんのり芋の甘みがある

主な生産地

鹿児島、宮崎、九州各地

芋焼酎の特徴

芋焼酎は、さつま芋だけで作られていると思っていた方は少なくないでしょう。
筆者も焼酎を知る前はその一人でした。

しかし実は、まずは米をベースに作られていたのです。
これは、さつま芋だけではお酒を作るのが難しい(アルコールを作りづらい)ため、米の力を借りているとされています。
実際、一般的な原料の割合でいうと【米麹1:さつま芋5】とほぼさつま芋なのですが、作り出されたアルコールへの寄与度は【米麹4:さつま芋6】とかなり米の力に頼っていることがわかります。

芋焼酎は、割って飲む場合は基本は水割り、お湯割りだけだったのですが、最近ではソーダ割りも普及しつつあります。

麦焼酎の基礎知識

麦焼酎の原料の麦

麦焼酎は、芋焼酎とは違い、基本的には麦(大麦)のみで作られています。
銘柄によっては、芋焼酎のように米(米麹)をベースに、二次仕込みで麦を投入して作られるケースもあります。
ですが、基本「麦のみ」の認識で問題ないでしょう。

麦焼酎の原料

大麦、麦麹(稀に米麹)

味の特徴

芋と比べるとややあっさりめ、麦の香ばしい香りと味わい

主な生産地

大分、九州各地

麦焼酎の特徴

麦焼酎は基本麦のみで作られるので、シンプルで覚えやすいと思います。

麦焼酎の主原料の大麦は、ビールやウイスキーの主原料にもなっています。(発芽させているかどうかの違いはあり、麦焼酎の場合未発芽大麦を使用)
そのため芋焼酎のように、米の力を借りずとも十分にアルコール発酵させることができるのです。

大麦を用いた蒸留酒という点ではウイスキーと同じなのですが、基本的にはウイスキーのように樽での長期熟成を行わないため、味わいが全く異なるお酒になります。(なかには樽熟成の麦焼酎もある)

ちなみに麦焼酎は、他の焼酎とは違い味がわりとシンプルなので、サワーのベースとして使用することもできます。
例えば、麦焼酎でウーロンハイやレモンサワーを作ると、普通のそれより香ばしいものに変わります。
麦焼酎の麦茶割り、という面白い飲み方もあります。

米焼酎の基礎知識

米焼酎に使われる米

米焼酎は、米のみで作られています。
シンプルに考えれば、日本酒を蒸留させたものが米焼酎です。

米焼酎の原料

米、米麹

味の特徴

米のほのかな甘み、フルーティーな香り、すっきり爽やか

主な生産地

九州、全国各地

米焼酎の特徴

主要焼酎の中では最もすっきりしていて、口当たりが良いのが米焼酎の特徴。
とはいえ、米本来の旨味もしっかり感じることができます。

芋焼酎と麦焼酎はほとんどが九州地方で作られていますが、米焼酎は日本酒の酒蔵が作ることもあるため、生産地は全国各地に広がっています。
有名な日本酒「十四代」や「八海山」も米焼酎を作っています。

しかしながら、米焼酎としておそらく最も有名で浸透している銘柄は、熊本産の「鳥飼」かと思われます。
鳥飼は、日本酒の吟醸酒のようなフルーティーで華やかな香りが強く、口当たりが良いので、焼酎初心者の方にもおすすめです。

まとめ

ここまで、とてもざっくりとでしたが芋焼酎、麦焼酎、米焼酎の特徴や違いについてなど解説してきました。
これらの違い、お分かりいただけたでしょうか?
芋焼酎は芋だけでなく、米も使用していことはちょっと意外だったかもしれません。

ちなみに芋焼酎は、焼酎好きな方は好んで飲まれますが、実は苦手な方も多かったりします。
もし芋焼酎が苦手であれば、初めは麦もしくは米焼酎から慣れていくと、次第に芋焼酎もおいしく感じれるようになっていきます。

ぜひ色々な焼酎を飲んでみてください。

それではこの辺で。
以上、「芋焼酎、麦焼酎、米焼酎の違いと特徴をざっくり説明」でした。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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