近年何かと“クラフト”に注目が集まる中で、ジンもまた“クラフトジン”が世界的にもてはやされるようになっています。
日本も含め、ここ数年で数え切れないほどのクラフトジンとされるブランドが登場していますが、大きなムーブメントの裏には、その土台を創った伝説的な英国ジンの存在があります。
いずれも世界的なシェアを誇る大きなブランドで、ご存じの方も多いかもしれませんが、それらへの理解なくして、クラフトジンとは何かを知ることはできません。
そこで今回は、クラフトジンのムーブメントへと繋がるジンの歴史を創った英国のジンブランド5つをご紹介します。
ゴードン
1769年にアレキサンダー・ゴードンが創業した「ゴードン」。
ジンクレイズ(ジンの暗黒時代)後のロンドンで、ジンの汚名を返上すべく努力を重ねることで質の高いジンを生み出すことに成功。また、ジンがまだ匿名に売られていた時代に、信頼性を高めるべくボトルにブランド名を記して売り出した初めてのジンともされています。
そうした功績が認められ、ジンとしては初めて英国王室御用達の認可を取得するなど、業界の発展やジンの地位向上に大きく貢献。現在も、(グローバルブランドとしては)世界で最も売り上げるブランドとして、ジンの普及に貢献しています。
ビーフィーター
1820年に薬剤師だったジェームズ・バローの手によって産声をあげた「ビーフィーター」は、ロンドン塔の近衛兵・ヨーマンウォーターズの愛称がブランド名となっており、ラベルに描かれた兵士の姿はブランドのシンボルとなっています。他ブランドが拠点を移転させる中、創業以降ロンドンの地で造り続け、ジンの聖地がロンドンであることをアピールしてきました。
その味わいはバランスに優れ、クラフトジンが持てはやされる今もなお、ジンの王道として多くのバーでカクテル作りを支えています。
タンカレー ナンバーテン
「タンカレー」は、1830年にチャールズ・タンカレーが創業しました。
2000年に発売された「ナンバーテン」は、小型蒸溜器タイニーテンを使用した少量生産のプレミアムジン。そのエレガントな味わいは発売後すぐに人気となり、プレミアムなお酒としてのジンを世界に広めました。
また、シェイカー型のそのボトルは、ジンがバーカルチャーを支える重要なお酒であることをアピールしています。
ボンベイ・サファイア
1761年創業のウォーリントン・ドライ・ジンを前身とする「ボンベイ」ブランドのフラッグシップ「ボンベイ・サファイア」。
1987年、ジン業界全体が深刻な低迷時期にあった中で誕生したこの銘柄は、鮮やかなブルーのボトルに身を包み、当時古臭いとも見られていたジンのイメージを覆すことに成功。また、使用するボタニカルを公開しないことが当たり前だった時代に、それを公開し、10種のボタニカルは全てボトルの側面にデザインとして施しました。そうしてジンが「ボタニカルの酒」であることを世間に知らしめました。
革新的なボンベイ・サファイアの登場は、低迷期を脱したキッカケともされているなど、ジン業界に大きな変化をもたらしたハイライトの一つです。
ヘンドリックス
スコットランドで誕生した「ヘンドリックス」は、ジンのもつ可能性を知らしめたブランドです。
1999年に発売されたこのブランドは、通常の香りづけのボタニカルの他に、バラとキュウリのエキスを加えるという斬新な手法で造られています。当時はどちらの素材もジンでの使用例はほぼないに等しく、素材選びに自由が効くジンの可能性に、飲み手だけでなく、造り手も気づかされました。
クラフトジンの大きな特徴の一つとして、ユニークなボタニカルの使用が挙げられますが、その流れを作ったのがヘンドリックスだったのです。
語りたくなるユニークな特徴、そしてその華やかな味わいから瞬く間にヒットし、高級なジンでありながらも今や世界で6番目に売れているブランドへと成長しています。
まとめ
こうした先駆者たちがジンの歴史を作り、また、革新を起こしてジンの新たな可能性を知らしめました。
それらが強固な土台となり、英国におけるクラフトジンのパイオニアとされる「シップスミス」や、47種ものボタニカルを使用した「モンキー47」、地元の素材に特化した「ザ・ボタニスト」など、今現在クラフトジンとして人気を集めるブランドの誕生を後押ししました。これらのブランドなしにクラフトジンの台頭はありえなかったと言っても過言ではないでしょう。
クラフトジンが持てはやされる今だからこそ「そもそもジンとは何なのか」味わいながら確かめてみては?
⇒ジン好きが選ぶ、まず味わっておきたい「定番クラフトジン」6選
⇒国産クラフトジンの造り手インタビュー記事まとめ
Amazonのジン・クラフトジンストアはこちら!
⇒Amazonのジンストア